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元書店員の乱読日記 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2009-05-28

女子大生達のひと夏のダイアリー/「シンデレラ・ティース」「ホテルジューシー」

まったく正反対の二人のヒロイン

  • シンデレラ・ティース」の主人公、叶咲子は、上品で可愛らしく守ってあげたくなるお嬢様タイプ。
  • 「ホテルジューシー」の主人公、柿生浩美は、長身コンプレックスで、面倒見の良い姉御肌タイプ。

性格はまるで違うけれど、二人は仲良し。

これから夏休みにかけてアルバイトするという方も多いかと思いますが、こんな普通の女子大生二人が、それぞれ別のアルバイトを見つけ、お仕事を通して人間として成長していく、ひと夏の体験を綴った小説を読みました。


都会の夏休みアルバイト

シンデレラ・ティース

シンデレラ・ティース


咲子のアルバイト先は、よりもによって子ども時代から大嫌いな歯医者さんの受付になってしまった。

オフィス街のビルにある完全予約制の歯医者さんだけれども、何よりも患者さん達に心地よく治療を受けてもらう事をモットーにしていることもあり、スタッフはみな感じの良い人たちばかり。(除く院長のセクハラ発言w)

さまざまな事情を持った患者さん達が来院する中、おっとりとした咲子ちゃんが、治療に不安を持つ患者さん達への気配りを通じて社会人としての基礎を学び、歯科医の受付としてひたむきに頑張り成長していく姿が、とても微笑ましくて応援したくなります。

スマートな草食系イケメン男子、歯科技工士四谷くんとの恋愛も、育ちがいいんだろうなぁという二人らしく、とてもほのぼのとしていて、まるで「小さな恋のものがたり」みたい。

姉妹編として刊行された、沖縄のホテルへとアルバイトに行った「ホテルジューシー」の主人公、柿生浩美の物語とクロスして、携帯電話でお互いのバイトでの状況を報告し合ったりしているのも楽しいです。


沖縄夏休みアルバイト

ホテルジューシー

ホテルジューシー


浩美のアルバイト先は当初は石垣島のホテルだった。しかし、ひょんなことから個性的なオーナー代理とスタッフのいる那覇のホテルへ助っ人に借り出されたのが運の尽き。

年の離れた弟妹の面倒に追われる大家族の長女として、ひたすら生真面目に生きてきた浩美の人生観を根底から覆すような、ハチャメチャな日々が幕を開ける・・・

  • 美味しくて素朴な沖縄家庭料理を作ってくれる、心優しきホテルの主婦料理人、照子さん。
  • セブンアップやコカ・コーラファーストフードが大好きで、「きんさん、ぎんさん」*1みたいにマイペースで可愛らしい、清掃係のおばあちゃんズ「センばあ」と「クメばあ」。
  • 昼はどうしようもないグータラ男だけど夜になると人が変わる、ドクターペッパー好きのオーナー代理。

・・・ううう、やばいみんな大好きだーーーっ!

だって、こんな愛すべき人達を好きにならずにいられるっ?と、主人公の浩美ちゃんでは無いけれど、すぐにこの物語とキャラ達に陥落してしまった。

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ちなみに私も、オーナー代理と同じく「チェリーコークドクターペッパー)」派♪なんか、「薬臭い」と私の周りでも不評なのが悲しい・・・美味しいのになぁ。最近売ってるところが少なくて、たまに見つけるとお宝を発見したような嬉しさになりますw

けれど、この物語はただ南国の楽園の楽しい出来事だけを綴った甘いお話じゃなくて、観光地としての光と影を強く描き出したリアリティが、たまらなく心に沁みるのです。

透明な海と青い空、大らかな人々、沖縄料理、賑わう市場・・・そんな素敵な南国に何かを夢見てやってきたはずの若者が、バックパッカー達がインドメキシコなどで沈没するように、いつしか目的を見失い身を持ち崩していく。それもまた一つの現実。

とてもほろ苦くて、同じように浮かれた気分で「パラダイスのような沖縄」とイメージを持って読んでいた私は、この物語に描かれた観光地の持つシリアスな一面に、ボケボケした頭に冷たい水をぶっかけられたような衝撃を受けました。


誰かにとっての現実は、誰かにとっての夢物語

二つの物語を読んで思った事は、うまく言えないけれど、読み手の価値観によって物語の受け止め方が違うって当たり前のことを強く感じました。

私にとって「シンデレラ・ティース」は自分とは世界が違う物語。優等生で、可愛くて、上品なヒロイン。だからこそ、違う人生を客観的な目で見て楽しむおとぎ話のような小説

「ホテルジューシー」は、ヒロインの頑なさ、不器用さなどに、思わず自分を重ねてしまう共感の物語。過去の自分の青臭さと重なる部分があって、自己嫌悪に悩んで、葛藤して肩を落とす浩美と、「もー、ホントバカだね」って一緒に泣いて笑ってしまう。自分の通ってきた人生の道をヒロインが歩いていく様はとても気恥ずかしいけれど、同時に涙が出るほど胸が熱くなる。

シンデレラ・ティース」だけを読んだだけではわからないエピソードで、「ホテルジューシー」のヒロイン浩美が、「シンデレラ・ティース」の咲子に感じるコンプレックスや葛藤は、向き合うのは本当に苦しい感情だけれどよくわかるんです。

でも、読む人によっては「シンデレラ・ティース」の方が過去や現在の自分を投影していて、「ホテルジューシー」の方が、眩しく光り輝いて夢のような生き方なのだとも思う。

どちらの生き方が良いとか悪いとかじゃなく、本の中にある夢も現実も私には嬉しくて楽しい。二人ともキラキラと美しい輝きをはなつ、最高にチャーミングなシンデレラ達です。これから読まれる方は、ぜひ二冊合わせて読んでみて下さい。

あと、過去記事にも書いたんですが*2装丁がとても爽やかでお気に入りです。ホントに作品のイメージにぴったり。

RonronRonron 2009/05/28 20:01 こんばんわ
僕もチェリーコーク派です!違った。そこじゃなくて・・・(w。
「誰かにとっての現実は、誰かにとっての夢物語」ってフレーズ、とても素敵ですね。美しいですーって言いたかったんです(w。

ex_bookex_book 2009/05/28 21:05 どもどもっ!
チェリーコーク派のRonronさんw、こんばんは〜っ^^
同士が名乗り出て下さって大変心強いですw

うわぁん、そんな風に感じていただけたなんて、めちゃ嬉しいです♪
ありがとうございます^^

最近は青春小説に触発されて、
一人「瑞々しい気持ちでいたいキャンペーン中!」開催中につきw
ちょっと青臭いことつぶやいてみちゃったり〜(照れ

RonronRonron 2009/05/30 02:11 青春小説に触発されてますか・・・。
そう言えば、片岡義男さんや喜多嶋隆さんの本を読んで、たまに懐かしんでますね。早く大人になりたかったときに読んでた本です。物語の中に車やバイクが出てきて、そんな格好良い大人になりたかったんですね。
「瑞々しい気持ちでいたいキャンペーン中!」に便乗してみよーかな(笑。

ex_bookex_book 2009/05/30 09:33 こんにちはで〜す^^

うんうん、若かりし頃に影響を受けた本ってずっと心に残ってます。
うわっ、懐かしい!昔の角川書店の青春小説は良かったですよね。
片岡義男さんも喜多嶋隆さんも、タイトルがすごくロマンティックで素敵でした!
(スローなブギにしてくれとか、ポニーテールはふり向かないとか)
当時の男子達の憧れがぎゅっと詰まってたんですねぇ。(しみじみ)

Ronronさんも「瑞々しい気持ちでいたいキャンペーン!」にぜひw
心がささくれだってる時に、あの頃の気持ちを思い出すとホント癒されます〜^^

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