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2012-06-01 -(Friday)-
■初心者が見落とす4つの実験の勘所|論文あるのみ

ここのところ、散発的に行った実験をまとめ、なんとか統一的な視座を表明しようとしている。
散発的なものだから、データはハードディスクの中でバラバラに入っているだけではない。さまざまなバージョンのものが重複しておいてある。しかも、それに対応する実験ノートの記述もバラバラで、何冊もの実験ノートをニシヘヒガシヘ、なんとかして完成まであと一歩に漕ぎ着けた。
大学院にはいりたての年若い生物学徒には、是非、以下の四件は強調してもしすぎることはない。
「どれもあたりまえじゃないか」「いくつか相互におなじものじゃないか」と、賢い方は仰るに違いない。しかし、私はここで、いま賢さを涵養している最中の初学者に向けて書いている。
実際この四つは、私が見るところ、実験のタツジンと呼べる人たちがおろそかにすることがなく、また、初学者ほどその重要性に気がつかないものである。
特に、あらゆる実験の細目を、Excelのような(私ならGoogle Docsを使うが)スプレッドシートに、通し番号をつけて記載していくのが、これからはいいのではないか。プライマーオリゴや、プラスミドコンストラクトの整理にExcelを利用している人は少なくない。それをすべての実験に適用してはどうかという提案である。
そしてこれが「構造化する」ということの内実である。繰り返し言うように、構造化されたものだけが知だ。
構造化のための戦術は、
- 図を描く、
- 表を作る、
- 文章を書く。
つまり論文を書くということに等しい。論文だ、論文あるのみ。
しかし、もう一つ、方法がある。emerging trendであり、圧倒的に正しい方向性としては、それをいかに「機械可読的」にするか……つまりコード化・記号化して「構造」そのものにするか……
それは生物学に限らぬ。
およそ(人文を除く、社会科学も含めた)広義の「科学」すべてについて、当然妥当すべきである。ここで言っているのはつまり、「文体」は否定されなくてはならない、ということである。
2012-05-29 -(Tuesday)- 『初版 古寺巡礼』について

昨年のことになるのか、和辻哲郎の死去から満五十年が経過して、パブリックドメインに入り、青空文庫に、岩波文庫版の『古寺巡礼』がおさめられたはずである。
憶測:団塊商法。カネもありヒマもありインテリコンプレックスもたっぷりの団塊世代にあてこみ、あわよくばこの「初版」がパンのように売れ、奈良古寺巡礼にいそしむ老夫婦からじゃぶじゃぶとおカネをしぼりとろう……あまたの「受験参考書復刊」ブームに倣って……ソウシテ出版不況ニヒトハナサカセテヤルノダ! ガンバルゾー! ガンバルゾー! ガンバルゾー!
書店で、現物を手にした私は指先からそういう邪悪な「念」を感じ取った。しかし購入の決定は迅速だった。
しばらく読む時間がなかった。そして、四月の末に、奈良のあたりを近鉄で何度か往復する機会があり、書棚からふと手にしたのがこの「初版」だった。
率直に申し上げて、読んでいて苦痛だった。いささかもおもしろくない。図版も古く、地図も無い。もっと多くの写真を満載した、豪華版にすれば良かったのに。
なまじ外国語に通じてしまって批評趣味を覚えた大学出の三文文士が、見よう見まねで宝庫を独善的にたずねて、好き勝手なことをいうだけだ。せいぜいブログレベルである。それだけならいいが、仏像にぺたぺたと触れたとも書いてある。おい触んな。お触り禁止*1。
和辻の盛名だけ高いことに関しては、特段の驚きはない。別の著作『風土』が、これまた思い込みと独り善がりを、悪い意味での「修辞」で糊塗した駄作だからである。梅棹忠夫も、和辻はヨーロッパで何を見てきたのか、と揶揄している。
和辻哲郎は読書人(≠哲学徒)にとって「日本の哲学者」としてイメージされる存在の代表格にあがる。独り善がり、思い込み、修辞、せいぜい西欧の横流し……およそ「日本の哲学者」の帯びる悪いイメージ、悪いところを体現したような存在に、これら二冊を読んだところで思えてきた。
だとすれば、九鬼周造は(少なくとも『「いき」の構造』では)いいところを体現しているし、西田幾多郎は日本の哲学者の「現実」か。「哲学」が、せいぜい、人生論にしか読まれないという現実だ。
2012-05-28 -(Monday)-
■即読にまさる速読はない/構造化されたものだけが知だ

これらは、本を読み、知識を得ようとするときに念頭しなくてはいけないテーゼである。
「即読にまさる速読はない」
即読は勝手に作ったことばである。
関心が芽生えたら、すぐに手に取る。買ったらすぐに読み始める。*1
それ以上に、多く、よく、速く、読む方法は、あるまいと思われる。
また、あの、同じテーマに沿って読む方法(シントピカルリーディング)も、このバリエーションであることを明察されることだろう。
これに関連して、もうひとつのテーゼも同様に考えることができる。
「構造化されたものだけが知だ」*2
多く読むことの必要を改めて説くべきだろう。多く読むとは、つぎの三つの場合に分たれる。
このうちのどれが必要か、ということではない。三つがいずれも本質的である。
「1. 同じ著者のものを系統的に読むこと」は、構造化の前提となる、対象となるテーマの背景を、「自分ひとりの身に」網羅的に取り入れるうえで非常に効率的である。
「2. 同じテーマについて多くの著者のものを読むこと」は、テーマを多面的に観察することで、構造を把握しやすくする。
「3. ひとつの本をくりかえし読むこと」は、読み落とし・読み違い・読みすべりを注意深く取り除くことができる。
2012-02-29 -(Wednesday)- 2月の読書メーター

読んだ本の数:14冊
読んだページ数:3465ページ
ナイス数:3ナイス
分子進化学への招待 (ブルーバックス)
今からすると、既に当たり前となったり、根本からアップデートされたようなこともある。でも、学問は、その成立史に沿っていちばんよく(≠お手軽に)理解できる (cf. http://twitter.com/finalvent/status/173929689914671104) 。分子進化学が目覚めた瞬間の息吹を伝える優れた本だ。
読了日:02月29日 著者:宮田 隆
スロージョギングで人生が変わる (廣済堂健康人新書)
読了日:02月28日 著者:田中 宏暁
生の短さについて 他2篇 (岩波文庫)
「血がたぎり、活気に満ちている今こそ、より善きものを目指していかねばならない」p.62
読了日:02月26日 著者:セネカ
京大・鎌田流 一生モノの人脈術
おおきな夢を語るのは社外の人にする、社内では眼前の仕事に集中する (p.159) 、というのは巧妙な戦略だ。
読了日:02月26日 著者:鎌田 浩毅
道化師の蝶
2作がゆるく連繋している。ところで共喰いのほうが、読了者2倍以上なのだな。
読了日:02月24日 著者:円城 塔
いつ、何を読むか (ロング新書)
近頃話題になっているような事象などほとんど出てこない。昭和期の文壇・論壇・世相史の話がつづく。情報化などなかったかのようだ。でも、この本をブックオフで見つけ、読みはじめることで、私はひさしく忘れていた、鉛直に読むことにたちもどることができた気がする。鉛直に読むとは、どんな分野の本であっても、箱の底におかれた対象へと、探針を垂らしていく読書意識のことである。
読了日:02月18日 著者:谷沢 永一
一生モノの勉強法―京大理系人気教授の戦略とノウハウ
パソコンは何よりもアウトプット優先で使用すべき、という指摘に目からウロコが落ちた。
読了日:02月18日 著者:鎌田 浩毅
走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)
いいなあ。
読了日:02月17日 著者:村上 春樹
エンダーのゲーム (ハヤカワ文庫 SF (746))
読了日:02月16日 著者:オースン・スコット・カード,野口 幸夫,Orson Scott Card
京大・鎌田流 知的生産な生き方―ロールモデルを求めて
読了日:02月11日 著者:鎌田 浩毅
ヒットラーのむすめ (鈴木出版の海外児童文学―この地球を生きる子どもたち)
読了日:02月07日 著者:ジャッキー フレンチ
長距離走者の孤独 (新潮文庫)
読了日:02月06日 著者:アラン シリトー
神の子どもたちはみな踊る
かえるくん、再読。
読了日:02月05日 著者:村上 春樹
複合戦争と総力戦の断層―日本にとっての第一次世界大戦 (レクチャー第一次世界大戦を考える)
読了日:02月03日 著者:山室 信一
2012年2月の読書メーターまとめ詳細
読書メーター
2012-02-27 -(Monday)-
■勉強するとき、わからないことを作りだすのが一番大事だ、と気がついた

もちろん、「わからないことを作りだす」と言っても、放置するというのではない。
自分が新規に手中にしようとする領域が「どうわからないのか」を理解すれば、学習は飛躍的にすすむだろう、という仮説だ。学習の「構造化」とでもいうような、ひとつの指針だ。
学習しようというのだから、きっとそこになじみが薄いんだろう。その中であなたが出逢う「未知」は、多くの場合、この三つにまとめられるのではないだろうか?
- 「それが何かわからない」
- 「あれと、これの、違いがわからない」
- 「どこで使えばいいかわからない」
1番目。出会うものを捉える必要がある。概念として。もしくは、実体として。実例として。
2番目の例では、物理の運動量とエネルギーの違いだ。私は実際、高校で一年間、わかっていなかった。概念で捉えても、別に出てきた概念とどう違うのかは、全然理解できていないものである。
分子生物学の初歩としては、これをありありとイメージできることというのが到達点であり、ここからのみ現代の進化生物学に入っていけると言っていいだろう。
だからこそ私は、DVD&図解 見てわかるDNAのしくみ (ブルーバックス)を、単に分子生物学の入門のみならず、進化生物学に興味をもつひとに進めている。
- 作者: JT生命誌研究館,工藤光子,中村桂子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/12/21
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3番目は、実地に応用するもので、これはトレーニングを必要とする。長い長い習熟である。
2011-08-25 -(Thursday)-
■外れた予報

昨日は雨が降るという予報を朝見たので、傘を持って出掛けた。自転車には乗らなかった。洗濯物が溜まっているけれど洗濯しなかった。雨雲は南からにじり寄っていたが、こちらまでは到達しなかった。
「片づけの魔法」の書評記事がよく訪問されているようだ。
記事の中では触れなかったことで、改めて凄みがあるのは、買った服は即座に包み・値札を外せ、「ストック」を作るな、ということである。これは確かにものを減らす。私のような部屋でさえ、未使用の下着などが時々発掘された。この指摘は、良いところに焦点を絞っている。すべてのものを、一度、「暮らす−ときめく」という座標平面に上げる(もしくは落とす)。時間軸は今に絞る。これが物を減らす。
2011-08-21 -(Sunday)- 「誤解を恐れずに言えば」という表現

「誤解を恐れずに言えば」というのは「誤解されるかもしれないがそれでも言わなくてはいけないから誤解への恐怖に目をつぶって言うんだから反発する人間は一度自分が誤解していないかどうか再度自分の理解を吟味するようにしなさい」という注意喚起を短く表現したものである。
したがって、「誤解を恐れずに言えば」という文言を見て
本当は誤解が怖いんでしょww なら書かなきゃいいのにww
と揶揄するのは当を失している。






















