2万円のエアロバイクを買うというひとつの答え

思い立って、エアロバイクを買った。

運動をする必要があることは理解し続けてきたつもりだし、運動をしようという意志もいつも持ち続けてきた。しかし、実践することはなかなか難しい。
どのような運動をするべきなのか。ランニングはダメだと思った。ランニングをしていた時期もあった。あのころ住んでいた家の近所は、わりと交通量が少なくて走りやすかったなと思い出す。走るためには着替えなくてはならないし、走ったあとも着替えなくてはならない。走る前後にはストレッチなども必要だろう。たしかに外を走るのは気持ちがいいものだけど、けっきょく私は「走るのが好き!」とは思わなかったわけだ。
水泳をしたいと思った。泳ぐのは好きだ。着替えやシャワーの問題が少ないのもいい。水泳がしたい。しかしプールが近くにない。徒歩5分、せめて自転車で10分くらいの距離にプールがあれば、しかも料金の安い市民プールがあれば。そのために引っ越すわけにもいかない。
筋トレはどうしても続かない。筋トレは毎日やらないほうがいい、みたいなことを言われるから苦手だ。毎日やらないほうがいい? ではいつやったらよいのか。1日ごとか。1日ごとでは曜日がズレていくから覚えにくい。習慣になりにくいじゃないか。それから、正しいフォームでやらないと効果がない、みたいなことを言われるのも苦手だ。正しいフォーム? それは誰に教えてもらえばよいのか。筋トレを自分だけで続けていくことも難しい。


そういうわけで、エアロバイクを買った。

とても気軽に運動ができる。
準備体操をする必要もない(本当はするべきなのかもしれないが、ママチャリに乗って買い物にいくときに準備体操をするだろうか?)。
着替える必要もない(自宅なのだから、外着でも寝間着でもべつに構わない)。
交通事故を気にかける必要もないし、正しいフォームで漕ぐことを考える必要もない。なんとなく乗り、なんとなく漕ぐ。
さらに素晴らしいことには、エアロバイクを漕ぎながらテレビを見たり本を読んだりすることさえできる(音楽を聞きながら外を走ることは、素敵だけれど危険ではないのかといつも思う)。
本を読むことさえできる!


今回私が買ったエアロバイクは、背もたれがついていて、サイドハンドルもついている。とても楽に乗ることができる。


そんなふうに気楽にエアロバイクに乗ることによって、本当にじゅうぶんな運動を実現できているのかという疑念があるかもしれない。
重要なのは、心拍数だ。
心拍数をじゅうぶんに上げ、それを一定時間維持することができれば、スタイルはどのようであっても構わないと考える。

脳を鍛えるには運動しかない!  最新科学でわかった脳細胞の増やし方

脳を鍛えるには運動しかない! 最新科学でわかった脳細胞の増やし方

  • 作者: ジョン J.レイティ,エリックヘイガーマン,John J. Ratey,Eric Hagerman,野中香方子
  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2009/03/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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『脳を鍛えるには運動しかない!』という力強く胡散臭いタイトルの書籍を完全に鵜呑みにしようとは思わないとしても、それでもこの本は支えになる。
第一章で紹介されるネーパーヴィル高校での体育の授業のエピソードは、体育の授業を強く忌み嫌いつづけてきた私にとって、あまりにも魅力的なものだった。私もネーパーヴィルで思春期をやり直すことができたら。本書では繰り返し、身体に負荷を掛けることが、いかに心を(脳を)良い方向へと変化させるのかを説明する。目からウロコが落ちる思いがしたのは、ダンスダンスレボリューションをプレイするエピソードだった。
そうか、そういうことでもいいのか。
ランニングマシンとかエアロバイクとかやるくらいなら外を走ったほうがいい、そう考えていた時期が私にもあった。でも、けっきょく私は「外を走ることの喜び」は別に感じていなかったのであり、有酸素運動をして心拍数を上げたいだけなのだ。それならマシンでよいのではないか。
今回私が買ったエアロバイクは、2万円以下だ。スポーツジムに通おうとしたら、すぐに2万円くらい出ていってしまう。外に行くにはシューズもウエアも揃えなくてはならない。エアロバイクなら裸足で乗ってもいい(本当はよくない)。


運動はしたほうがいい。したい。でも、運動を続けている自分を想像できない。私はずっとそうだった。これからもそうだろうか。
エアロバイクならば、なんとなく乗り続けるような気がしている。朝、出かける前に。帰宅後に。寝付けない夜に。なにも、毎日欠かさず30km走ることを強いられているわけではない。
できるんじゃないだろうか。まだ買ってから数日だけど、けっこう楽しい気がしているのだ。