勝田ズ・ウェイ  2

え〜、何故か昨日からまたこのブログがおかしくなり始めまして、何かやろうとすると妙なことが起こるんだなぁ最近。
それはともかく頭の中が整理つかないまま「勝田ズ・ウェイ」の続きを書きます。
例によって劇中に登場する個人・団体・事件は私の脳内で作り上げたフィクションであり、実際の個人・団体・事件等をモデルにはしておりません。クルド人に関する記述も実際のクルド人の人たちとは一切関係ありませんのでクレームつけないでね。説明が長い割に内容がアホですいません。


勝田くんたちが暮らす以東市について解説をしておかなければなるまい。以東市は前回書いた通り大都市郊外にあるベッドタウンで所得がそこそこ多い勤め人ばっかりの「サバービア」と呼ばれるような街なのだが勝田くんが暮らす街の東端の部分はスラム(笑 ともいうべき低所得者向けの街だ。
以東市の東には麻田市という、これはごくごく普通の地方都市なのだが以東市と隣接する川の土手沿いの区域にはクルド人地区がある。勝田くん家から徒歩15分くらいのところだ。
そして以東市の西側には鵜殿(うどの)郡があり、県境まで山ばっかりのところで、ここに「米田村」という集落がある。ここの住人は元はもっと山奥の霊山に聖域の守り人として暮らしていたんだけどその聖域にダムを作るということで現在の米田村に強制移転させられた。
元々人里離れたところに暮らしてた人たちだったので人の行き来が多い地区に移転させられたストレスと聖域を荒らされ追い出されて行政に対する怒りを感じつつ助成金貰わないと食っていけない屈辱感からか住人ははたから見ると閉鎖的で排他的な性質を持っているように見えた。
特に米田村の近くに夜景のキレイなデートスポットがあり、そこに行くために米田村周辺をカップルの車が夜中に行き来するのがたまらなく嫌らしく、米田村の若者たちはそんな迷惑なカップルの車に石を投げるやら停まってる間にタイヤの空気抜くやらの嫌がらせを行っていた。(まぁ、気持ちはわかりますよねw)
そして、以東市についてさらに詳しく書いておこう。ここはベッドタウンであると同時に日本有数の大手メーカーの工場が5つもある。JRをはじめ私鉄が3本も走っている。一体どうしてこんなに発展したかというと、何でもでかい事業を始める時は土地の確保が問題になってくるものだが、この市には良い立地をまとまった広さだけ持っている土地持ちが何人かいたのだ。
この土地持ち数名の中でも街で一番勢力があるのが勝田くんの遠縁の親戚で勤め先の土建屋の社長をしてる興戸(こうど)氏だ。このおっさんの家はこの人の祖父で戦前はただのゆすりたかりが専門のチンピラであった男(田舎者相手にはこの手の商売はうまくいきやすいので地方で名をあげる人が多いです)が終戦直後の農地改革で農地を手に入れた小作人から戦後のドサクサに紛れて片っ端からユスリ・タカリ・ダマシのテクニックで農地を奪い取り、朝鮮戦争なんかの特需で新たに工場建設・線路建設の話があるというとまきあげた土地を売ったり貸したりして儲けたおして街の名士になり上がったという家系である。
この土地をまきあげるやり方はえげつなくて、自分の親戚であっても容赦せず、一家心中にまで追い込まれたケースもあるのだが大手メーカーの工場が誘致されたり集合住宅が建設されたりして雇用が創出されて街の経済が潤うと街の人たちはこの興戸家に感謝した。
そしてその興戸家の3代目は土建屋を開業して土地活用のエキスパートとして市の発展にさらに寄与しようという野心家だ。この社長、政界やら財界やらにもそこそこコネがあり、教育問題に熱心に取り組んでたりもする。最近では「覚醒剤中毒から立ち直って教師になった(そんなこと本当にできるかどうかは不明)ジャンキー先生」なんてな教育関係の著名人の講演会をサポートしたりしている。勝田くんを自分の会社に招き入れたのもこういう活動の一環なのである。


さて、そんな興戸社長のお気に入り社員である勝田くんであるが、この会社に入ってからは戸惑うことばかりだった。入社2ヶ月目、給与明細を貰いに会社の事務所に入った時「クルド人地区の近くに私鉄の駅が開設するのに反対する署名運動」なるものを事務員さんがやってて署名をすすめられた、反対の理由が「クルド人がこの駅を利用するようになってこちら側まで来たら治安が悪くなる」というご無体なものだった。
勝田くんは彼女のエヴィンちゃんクルド人なのでクルド人と仲良くするのに抵抗は無かったし、入社数ヶ月前に行った成人式では日本の晴れ着を着るのを頑なに拒むエヴィンちゃんクルドの民族衣装で式に出席し、紋付袴の勝田くんと記念撮影したりしてたのだが、勝田くんにはそれが普通だった。これがこの会社では「ありえない」出来事のようなのである。
自分が今まで培ってきた常識が全然通用しない世界で働いていく中で今の自分は果たしてやっていけるのか不安になっているのが正直な勝田くんの気持ちなのだ・・・・




すいません、しんどくなったので中途半端で終わりますが続きます。