今日のおすすめ本。
2014年2月10日はこちらです。
『新宿・どん底の青春』
井ノ部康之著 朝日新聞社刊
店名入りマッチ以上の大ヒットは「ドンカク」の発明だった。
ドンカクとは「どん底カクテル」のことで、いつ誰がそう呼び始めたのか
わからないままその呼び名が定着してしまった。発明という言い方は
オーバーに響くかもしれないが、矢野にとってこれは一世一代の苦心の
産物だったし、『どん底』にとってもそれ以降の長い歴史を支える
文字通り貴重な売り物となったのである。(中略)
矢野自身が酒好きだから、飲兵衛の気持ちや趣向は良くわかる。
「安くてうまい」というのが条件だ。(中略)
バーテンダー見習の経験があったから、格好は様になっていたが、
試飲しても、これは!という味はなかなか出来なかった。
ほかにもっと客に喜ばれるカクテルがあるはずだと考え、
執念深くシェイカーを振った。(中略)
出来上がってしまえば、なんの変哲もないカクテルのようだが、
これは矢野がそれぞれの組み合わせや分量に苦心して作り上げた
自信作だったのだ。
(本文より)
どんなカクテルかはぜひ本書を読んでお確かめくださいませ。
こちらは著者直筆の署名入り。
また現在絶版となっております。
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