モチベーションは楽しさ創造から

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偽装ミンチ問題に見える 生協ビジネスモデルの分岐点

偽装ミンチ問題で、そのミンチを使ったコロッケを生協ブランドで販売していたという事が発覚。一般スーパーがそれを取り扱っていたという事ならば驚く話ではないが、生協までそれを扱っていたとなればニュースになる。
「食の安全、品質にこだわりを持つ生協」という生協ブランドに傷がつく結果となった。

しかし、ホントに生協のブランド力はまだあるのだろうか?
生協のブランド力のある時代、10年前くらいまでは、卵、牛乳がシンボルとしてあり、「安全な食品」というイメージがあった。我が家も妻がよく生協に買い物に行っていた。しかし、最近めっきり生協への足が遠のいている。(うちは宅配の方はあんまり利用していない)


時代が変わり、他の一般スーパーも「安全な食品」への品揃えを強化した。牛乳にしても、卵にしても「安全な食品のコーナー」がそれなりにあり、わざわざ生協に買い物に行く必要がなくなったからである。ここ一〇年で一般スーパーも、あまり売れない商品でも自店のイメージアップを図るような商品に関しては積極的に品揃えを図るようになった。情報化と物流の効率化がそれの後押しをしていった。一般スーパーが生協の方に近づいてきたのである。


時代が変わり、他の一般スーパーも「安全な食品」への品揃えを強化した。牛乳にしても、卵にしても「安全な食品のコーナー」がそれなりにあり、わざわざ生協に買い物に行く必要がなくなったからである。ここ10年で一般スーパーも、あまり売れない商品でも自店のイメージアップを図るような商品に関しては積極的に品揃えを図るようになった。情報化と物流の効率化がそれの後押しをしていった。一般スーパーが生協の方に近づいてきたのである。


生協の方はどうか?デフレ不況という環境に対応して、売上を維持して行かねばならないという事情があった。そこで安全・品質という部分に若干の妥協をしつつ、買いやすいプライスラインの品揃えを強化していった。今回の偽装コロッケに巻き込まれた話もその延長で起こった話のように見える。

ユニーク性である程度まで大きくなった企業が、それ以上を望む際に陥りやすいパターンである。生協は、食品だけでなく、保険、呉服、ファッション、ジュエリーとどんどん品揃えを広げていっている。「固定した顧客がいるから、その客単価を増やすには品の幅を広げていけば何か買ってくれるだろう。」という戦略なのだろう。(安売りで売っていたダイエーが、ファッション等様々なものに手を出して、崩壊をしていったデジャブーを見ている感がある。)

そして、曖昧になった戦略が、社員の「食の安全に徹底している」というプライドを失わせて、徹底した職人的なこだわりを失わせてきたのではないだろうか?そして消費者からも、真の個性の部分が(安全・品質・環境へのこだわり)が気薄になってきたように見えてしまう。(15年くらい前の生協は、狂信的に見えたが、今は普通にしか見えなくなってしまった。トゲがなくなって見える。)

一般スーパーが「安全な食品への品揃え」を強化し、生協の方が「手頃な価格帯の食品の品揃え」を強化した結果、両者が歩み寄る形になった現在、生協ブランドの価値が一般スーパー化してしまったのではないか? またそれが、「安全・品質」への社員のこだわり、品質を見極める目さえも落としていき、今回のようなコロッケの販売という形になったのではないか?

このまま品揃えの拡大、拡大で進めていくと、生協の存在価値はどんどん薄れていき「宅配もあるどこにでもあるスーパー」になっていくのだろう。一般スーパーが「安全な食品、食品の品質」に力を入れている時だからこそ、「安全な食品、食品の品質」がブランドイメージの生協は「一層のこだわり」をそこに持つ必要があるのに・・


今、生協に求められていることは「品揃えを広げる事から狭める事」ではないだろうか?自分たちの基準に合わないモノは絶対に置かないという事。
「切り捨てる勇気」があるショップという事。これは一般スーパーにはできないのである。彼らは生協が「切り捨てるべき商品」が主戦場でビジネスを行っているのである。「当社は○○を置いていません。」という置いていない事がセールスポイントになるはずである。

そうすれば売上は一時的に下がるかもしれない。
しかし、ブランドイメージは再構築されていくのではないだろうか?社員の自分の仕事に対するプライドも、品質に関する情熱も回復していくのではないだろうか?

「生協に行けば絶対に間違いない安全な食品しか売っていない」となれば、消費者は使い分けをしてくれる。特にこだわりがないモノは一般スーパー、こだわりがあるモノは生協という事で、棲み分けができてくるのではないだろうか?(品質へのこだわりが日本ほどないアメリカでも、ホールフーズのようなオーガニックにこだわった専門スーパーが急成長している位だから)


安全、高い品質の食品しか売っていないというブランドイメージを再構築するか、それとも一般スーパー化を突き進むのかという分岐点に来ている事を、この偽装ミンチ入りコロッケが教えてくれているのかもしれない。
たくさんのあるスーパーのある中で、近くに一軒くらいは「あそこだけは絶対に間違いないから安心だよ」と感じれるお店があって欲しいモノである。是非、生協にはそんなお店になって欲しい。以前の生協がそうであったように・・

*今回の事例からの教訓

  1. 「切り捨てる勇気」は考える事ができても、実行するのは難しい。
  2. 「切り捨てる勇気」を持たなければ、そこで働く社員のプライドが失われ、こだわりへのモチベーションが下がる。そして、企業の個性の喪失が始まる。