思考回路や視点を身につける為の6つのプロセス
昨日、「すごい実行力」という本を読みました。「なんか、同じような本ばっかりよく買うわね」とアマゾンから送ってきたその本を、妻が私に手渡ししながらつぶやいていました。本を購入する時はそのような意識はないのですが、言われてみると確かに、また「同じテーマ、似たような本」を読んでいるなってこと。
そんな経験、みなさんもありませんか?
「すごい実行力」がありきたりのことばかりが書いてあるという意味ではありません。実行力を高める為のモチベーション方法など素晴らしい事もたくさん書いてあるオススメの本です。
しかし、全く新しいテーマかというと、そうではありません。そもそも、全く新しいテーマの本などは、年に1冊か、2冊の本くらいしか出版されていないのではないでしょうか?
それでは、なぜ私達は同じような本を読んで学ぶのでしょうか?既に知っているような事が書いてある本を、また、お金を出して購入して、学ぶのでしょうか?お金と時間の無駄な行為なのでしょうか?
私は、「知っているからできる」になるまでの学習プロセス、「学んだ事が、思考回路に定着し、本物の視点に定着するまでの学習プロセス」に「同じような事を何度も学ぶ作業」が不可欠なような気がするのです。(知識を血肉化する作業のようなもの)
例えば、経営戦略の視点で、「競合他社との差別化」という誰でも知っているコンセプトがあります。私は、コンサルティング会社に入ってすぐに教えて貰いました。しかし、教えて貰った後、どんな時もその視点でものを見ていたかというと、3〜4年はそんな事はありませんでした。しかし、どんな時も「この会社の競合他社との差別化は、何なのか?どうすればいいのか?」と考えていたかというとそうではありませんでした。これから「差別化を考えるぞ!」と思わなければ、考える事ができませんでした。
しかし今では、新聞やニュースを見ていても、すぐに「この会社(人)の差別化は?」と自然に考えてしまいます。思考回路、視点ができあがっているので、特に「差別化」を考えるぞと思わないでも、いつでもそのような物事の見方になってしまいます。
なぜ、そのようになったのか?恐らくこうではないでしょうか?
仕事を通して、たくさんの失敗が生まれます。私の仕事で言えば、経営戦略の立案で思うようにいかない事が生まれる。打開の必要性がモチベーションとなり、戦略関連の本をむさぼるように読む。読んだところで、全く新しい言葉が書いているわけではない。しかし、解決に向けて同じような本、同じようなテーマをたくさん学び、今抱えている課題と言葉の組合せで、「競合他社との差別化」というコンセプトが、自分の言葉化され、自分の視点化されてくるのでしょう。
「知っている」から「できる」になるまでの学習プロセス、「学んだ事が、思考回路に定着し、本物の視点に定着するまでの学習プロセス」には、以下の6つのステップが必要になるのではないでしょうか?
- 言葉を学び、
- 忙しさの中で、それを忘れ
- 忘れて行動した為に、何かのトラブルが発生し
- 解決する為に、また本などで学ぶ。そして類似な言葉と出会う
- それを何度も繰り返す
- その繰り返しによる類似の言葉との出会いで、その言葉の本質(言葉にするのが難しい、感覚的な本質)とその重要性が分かり、自分の言葉、感性になる。
この6つが、思考回路や視点を身につける為のプロセスとして必要なのではないでしょうか?だから、妻から言わせると、「同じような本」ばかりを読んでいるという話になるのでしょうね。
先日、P・F・ドラッカーも「過去のものを捨てろ」と言っている (52枚の格言カード):NBonline(日経ビジネス オンライン) で、このような事が書いてありました。
道元の「修行が、そのまま。悟りである」は、「継続は力なり」に似ているし、観阿弥の有名な「守・離・破」のコンセプトはP・F・ドラッカーの「改革の原理としての保守主義(産業人の未来より)」に似ている。
また、中村天風の「言葉には人生を左右する力がある」は、日本古来の「言霊」のコンセプトにも、聖書の「はじめに言葉ありき」にも、成功哲学の「書く出すこと」の大切さ、果ては、テレビドラマ『トリック』で野際陽子の台詞にあった「文字には力がある」にさえ似てないとは言い切れない。
このように、同じ言葉、同じ表現ではなくとも、言葉のメタファーを取り上げれば、類似の言葉にはきりがない。まるで、読み手である、こちら側の意識に共鳴するかのように、大切な言葉は、何度でも形を変えて現れてくるのだ。 そして、この類似の言葉の出現を何度となく体験して、その出現が確信に変わることによって、自分でできるようになる“大切なこと”がある。
思考回路、視点の創造は、このような試行錯誤の繰り返しで生まれてくるのだろう。
- 作者: 石田淳
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