質問会議で、チームのやる気を引き出す
先日、清宮普美代さんの「質問会議」を読みました。

- 作者: 清宮普美代
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2008/09/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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皆さんの会社の会議は、「誰かの独演会」で終わ会議るとか、一定の人しか発言せず、後は黙っている会議といった事ではないでしょうか?そのような会議をされているとしたら、是非、この質問会議には、一度チャレンジしてみる価値があると思います。
質問会議では、参加者に「質問」と「それに対する答え」以外は発言してはいけないという規制をかける事で、チーム脳(会議出席者全員の総合脳)を刺激していく手法です。この手法、GEなどが取り組んでいるアクションラーニング手法をベースに清宮さんが開発した手法。
「アイデアを出せ!」と言われるとプレッシャーを感じますが、「質問をすること」くらいなら対してプレッシャーを感じません。また、他の人の質問を聞くことで、自分に置き換えて考えたりもします。それと、他人から上から目線でアドバイスされるより、質問によって自分で考えたアイデアの方が、高いモチベーションで取り組む事ができます。
質問会議という手法は、『部下の「やる気」を育てる!』のフレームワークで考えるても、会議を通して、参加者に自律感を与え、チーム内の信頼感を高める効果を生むことが予測され、チームのやる気を引き出すツールになると思います。

質問会議の内容をご紹介すると、
質問会議とは、
- 質問と、それに対して答えるという形で会議を進める
- 自発的に、意見を言うことは禁止
- 最後にきちんと、振り返りの時間をとり、会議をまとめる
このような会議を行う事で
- 参加者のやる気が高まり、決定事項への実行力が高まる
- 「やったこと」を会議でフォローし続ける事で、各人の能力アップにも繋がる(会議と行動がセット。会議で決定した事項については、行動を起こして貰い、次回の会議で、行動の結果を報告する事からセッションスタート)
- 互いの事を真剣に考えてあげる事を通した、「信頼感の向上」
- 「自分達で決めている」という意識の醸成による「やる気の向上」
会議の中で取り扱うテーマは、以下のようなテーマなら何でもOK。
- 現実に困っている問題
- 自分、自分たちに決定権のある問題、等身大の問題
- 解決策が複数あるような問題 (単純すぎる問題は会議の必要なし)
- 重要度、緊急度が高い問題
質問会議での役割分担は
- ファシリテーター
- 問題解決を導くのではなく、会議プロセスが順調に進んでいくようにしていく事が役割
- 参加メンバーの考える時間、振り返りの時間が十分に取れるようにタイムマネジメント
- 問題解決を導くのではなく、会議プロセスが順調に進んでいくようにしていく事が役割
- 問題提示者
- 会議で取り上げる問題を、提示する人ですね。この人の問題を、参加者全員で共有し、解決策を考えていくという会議になってきます
- その他メンバー
- 問題提議者に質問をしていく事で、彼の問題を共有化し、解決のサポートをしていきます。
- 参加メンバー間のルール
- 参加者は全員平等の関係。役職上位だからといって、上からの押しつけは禁止。
- ファシリテーターは、「振り返り」の為に、いつでも介入ができる
- 4〜8人がベスト
- 参加者は全員平等の関係。役職上位だからといって、上からの押しつけは禁止。
具体的な質問会議の進め方としては
- 1.問題の提示
- 問題提示者を会議前に決めておき、その人が簡潔に説明
- 問題提示者を会議前に決めておき、その人が簡潔に説明
- 2.質問で問題を明確にする
- 質問をすることで、問題を明確にするメリット
- 他のメンバーは問題の背景が理解できる
- 問題提示者は、質問に答える事で、違った視点での問題の捉え方ができるようになる
- 他のメンバーは問題の背景が理解できる
- ファシリテーターの「問題を明確にする為に質問をして下さい」からスタート
- 他のメンバーは、「問題についての情報を共有する」為に、質問を行っていく
- 決して、尋問や糾弾、詰問にならないように注意を行い、質問を行っていく
- 質問をすることで、問題を明確にするメリット
- 3.問題を再定義する
- メンバー全員で問題を再定義する
- 各人が、「自分はどのように問題を定義したか?」を紙に書き、それを発表。
- 発表を参考に、問題提議者は「どのように問題を再定義したか?」を発表
- メンバー全員で問題を再定義する
- 4.問題の再定義についての異論を質問
- 「問題提議者の再定義について、異論がある人はいませんか?」とファシリテーターが質問からスタート
- 異論がないようであれば、次に進む。
- 異論がある人がいれば、疑問点について、更に質問を行うように進めていく
- 「問題提議者の再定義について、異論がある人はいませんか?」とファシリテーターが質問からスタート
- 5.問題が決定したら、目標、ゴールの設定
- ここからが、問題解決のステージ
- 「どのような状態になればいいのか?」というゴールを質問していく
- チーム全体で、目標の共有化を行っていく
- ここからが、問題解決のステージ
- 6. 行動計画の作成
- 「どうしたら目標を達成できるか?」を共に考えていく
- 一緒に考えようという意識のもとで、質問をしていく
- 行動計画とは、「何を」「いつ」「どこで」「どのくらい」という測定可能なもの
- 問題提議者の考える行動計画が抽象的であれば、それを他のメンバーは質問を通して、具体的にするサポートをしてあげる
- 「どうしたら目標を達成できるか?」を共に考えていく
- 7. 全員の行動を考える
- ファシリテーターが「チームとして何か協力できる事はないでしょうか?」という質問からスタートし、全員が問題提議者に何か協力できる事がないかを考えていく
- ファシリテーターが「チームとして何か協力できる事はないでしょうか?」という質問からスタートし、全員が問題提議者に何か協力できる事がないかを考えていく
以上のアジェンダを「質問と答え」という形で進めていくの。そして、もう一つ進めていく上でポイントになるのが「振り返り」ということ。ファシリテーターが「振り返り」を上手に行えるかどうかが、効果的な会議にしていく為のポイントになってくるようです。
- 振り返りにより、参加者は熟考する事になる。それが最大の学びにつながる。
- ファシリテーターは、タイミングを見計らい、随時「振り返り」を会議の中に入れていく
- 振り返りには、「セッション中の振り返り」と「セッション終了時」の振り返りがある
- 「セッション中の振り返り」は、問題を熟考してもらう、参加意識を高めてもらう為の振り返り
- 「セッション終了時の振り返り」は、会議全体を再認識してもらう為の振り返り
- 「セッション中の振り返り」は、問題を熟考してもらう、参加意識を高めてもらう為の振り返り
- 「心に残る質問ありましたか?」「今のチームの雰囲気はどうですか?」と、セッション状態を振り返る
本の中では、具体的な進め方が書かれていて、とても分かりやすいものでした。
この『質問会議』をマスターする為の、研修会なども開催されるとの噂。
是非、一度、本格的に学んでみたい手法の一つですね。