Passion Capital


Paul Alofs

HMVカナダの社長、Walt Disney Company、MP3.com、Princess Margaret Hospital Foundation等の経営にかかわってきた著者による、世界で最も価値のある資産、passionについての本。
Passion capitalは次の7つから成ります。
Creed:つまりは信念で、passion capitalのDNAたるもの。
Culture:成功するcultureは長期的視野を持っている。逆に短期的視野しかないcultureは滅びる。イースター島は島内の部族が競って大きなモアイを作るために木を切り続けたため滅亡に至った。
Courage:リスクをとる勇気。Courageはpassion capitalの魂です。
Brand:評判がブランドになる。Jeff Bezosが言ったように、大変な事をやり遂げることで評判を上げる事が出来る。
Resources:人的資源から知財、技術まで幅広いが、必ずしも資源が豊富であれば成功するというものでもない。資源を持たないシンガポール、韓国、台湾などの国は教育水準が高い(残念ながら日本は含まれず。忘れただけなのか、ゆとり教育のせいか?)。
Strategy:SWOTでなく、SPOT(Strengths、Passion、Opportunities、Threats)分析すべし。
Persistence:あきらめない事が大切。風と共に去りぬは出版されるまでに38社から没にされた。Harry PotterのJ. K. Rowlingは、初め9つの出版社に原稿を送り没になった。
Passion=情熱ですが、やる気/気合いなどと置き換えてみると、今の日本に一番欠けているもののようにも感じられます。世界から見れば金はまだある、人も人数は多い、なのに20年以上停滞気味なのは、パッションが不足しているからかも知れません。

Who Moved My Cheese?


Spencer Johnson

和訳版「チーズはどこへ消えた?」で有名な本ですが、なぜか今まで読む機会がありませんでした。The One Minute Manager (http://d.hatena.ne.jp/fbrev/20120708)やRaving Fans (http://d.hatena.ne.jp/fbrev/20120806)など著者の本を数冊読んだのを機に、この本も読んでみる事にしました。
100ページにも満たない本ですが、読んでみるとなかなか深い。迷路に住む2匹のネズミと2人の小人が、チーズを求めてそれぞれの行動をとるのですが、シンプルな話ながら様々な事に当てはまるように思えます。
ある日突然部屋からチーズが消え、すぐに別の部屋へ探しに出るネズミ達に対し、知的な小人は考え過ぎるあまり行動が遅れます。また、消えたチーズの責任を他に押し付け、無作為な日々を過ごしていきます。
1998年頃の本ですが、今の世界を、社会を実によく反映しています。突然消えたチーズは、年金であり、終身雇用であり、年功序列であり、原発に支えられた安定した電力です。
昭和は激動の時代と言われたものの、高度経済成長以降の安定した社会にすっかり慣れてしまい、古いシステムを何とか守ろうと汲々としているかに見える日本ですが、どうあがいてもこの大きく変化する時代の中でひとり変わらずにいられるわけではありません。
いつもの部屋からチーズが無くなっても、他の部屋を探しに一歩を踏み出す勇気が一番大切なことの様に思われます。あなたのチーズは徐々に減っていませんか?そろそろ他の部屋を探しに出かけるタイミングかも知れません。