FEDで振り返る2022年
最近年末にしかブログをかけていませんが、毎年恒例になっているFEDの取り組みを通じて2022年を振り返ります。全体で振り返ると全部で28回の以下の読書会を開催しました。たまたまですが、2021年と同じ回数となりました。
- 世界標準の経営理論 12回
- 新版 企業戦略論 11回
- 【著者参加】決算書ナゾトキトレーニング
- 「パーパス 「意義化」する経済とその先 」佐々木康裕, 岩嵜博論 (著)
- 【著者参加】「SDGs時代を勝ち抜く ESG財務戦略」
- 【著者参加】ESG投資で激変! 2030年 会社員の未来
- 【著者参加】世界一楽しい決算書の読み方実践編
以下では、具体的に読書会を振り返ります。
世界標準の経営理論とバーニーの企業戦略論
2022年の読書会の特徴としては3つあげられます。第一に経営学系の読書会が多かったです。2020年から始めた世界標準の経営理論の読書会は2年強をかけてすべて読み終えることが出来ました。と同時に、現在2週目の読書会を開催しています。2周目は別の方が主催していますが、我々も引き続きご支援させてもらっています。読書会はこちらから参加できます。
加えて、2022年からは、経営学の古典とも言えるジェイ・B・バーニーのの読書会も開始しました。バーニーといえば、経営学で言うケイパビリティやVRIO分析で有名です。こちらは新版ということもあって、GAFAやSpotifyの事例も出てきて、最近の企業の経営の事例も入っていて興味深い内容となっています。この読書会については、こちらから参加できますので、ご興味がある方は是非ご参加いただけますと幸いです。
ベストセラー作家もゲストにお招きする
2つ目の特徴としては、私自身も含めてですが、今年も著者を多くお招き出来たことがあげられます。以下、著者をお招きした読書会の課題図書です。
「SDGs時代を勝ち抜く ESG財務戦略」の著者の一人である田中さんは過去にもFEDの読書会にご参加いただきましたが、著者である保田さんには初めてご参加いただきました。分厚い本でしたが、「これぞFEDの選書!」と感じた読書会となりました。
「ESG投資で激変! 2030年 会社員の未来」の著者である市川さんは今年上場をしたクラシコムの社外取締役であり、本書にもクラシコムの事例が多数出てきています。楽天のIRIS部長でもあった市川さんからECやESGについて色々伺えて非常に学びの多い会となりました。
最後は、「世界一楽しい決算書の読み方実践編」の著者であり、ベストセラー作家でもある大手町のランダムウォーカーさんをゲストのお迎えしました。参加者から活発な質問が多くあり、大手町さんとの対話が多くできたとても楽しい読書会となりました。
いずれも著者をお招きした読書会は非常に盛り上がった一方で、反省もありました。それは集客をうまく出来なかったことです。今年の著者をお招きした読書会の参加者は10〜15人程でした。以前は、著者をお招きすれば20〜30人はご参加いただけたのですが、マーケがうまくないのがあまり参加者を集められなかったのが残念でした。
著者から直接本の制作の裏側も聞けますし、著者に直接質問をぶつけられるということで、度の会も内容としてはとてもおもしろく、参加者からの満足度も高かったですし、著者からも楽しかったというお声をいただきました。だからこそ、もっと多くの人に参加していただきたかったと反省をしております。
ESG関連の読書会
最後の特徴はESG関連が多かったことがあげられます。上述もした著者をお招きした「SDGs時代を勝ち抜く ESG財務戦略」「ESG投資で激変! 2030年 会社員の未来」はタイトルにも入っているとおり、もちろんESG関連の読書会です。
加えて、5月に課題図書として取り上げた「パーパス 「意義化」する経済とその先 」も実はESGと大きく関係しています。実際、本書においても、ESGはもちろんのこと、ステークホルダー資本主義や非財務情報等、ESGの文脈で使われる内容が多く言及されています。
以上、これまで見た通り、2022年は「経営学系の読書会」「著者を招いた読書会」「ESG系の読書会」という3つの特徴がありました。元々経済学を強みにしていたFEDですが、今年は周辺分野である経営学やファイナンス関連が多い結果となりました。
一方で、2022年はロシア・ウクライナの紛争、急激な円安、インフレ化、金融政策の方針変更等、経済に関係する事象も大きな変化がありました。2023年はこれらトピックも暑かった読書会を開催できればと思います。
2023年もどうぞ宜しくお願い致します。
FEDで振り返る2021年
2021年も早いものでもうすぐ終わろうとしています。毎年恒例になっていますが、FEDと取り組みを通じて2021年を振り返ります。
全体で振り返ると全部で28回の以下の読書会を開催しました。
- 世界標準の経営理論 21回
- ワイズカンパニー 知識創造から知識実戦への新しいモデル
- 会計の地図
- 進化思考
- ESG思考
- 実践スタートアップ・ファイナンス
- 投資一年目のための経済と政治のニュースが面白いほどわかる本
- 決算書ナゾトキトレーニング
以下では、具体的に読書会を振り返ります。
2021年のFED読書会の特徴
2021年の特徴としては3つあげられます。
第一に今年はすべてオンラインでの実施となりました。2020年はオフラインでの開催も出来たのですが、2021年はコロナの影響もあり、すべてオンラインでの実施でした。オンラインで実施できたことで、関東圏以外の地域の方からの参加はもちろんのこと、ジャカルタ、ニューヨーク、ルクセンブルク、ドイツ、オーストリアといった海外の方からも参加していただくことが出来ました。
第二に金融の文脈においては、ESG投資という大きな潮流が出てきたことです。FEDの読書会でも、夫馬さんが書かれたESG思考を扱うことを通じて、ESGの理解を深めました。このトレンドは2022年もFEDでも追っていきたいと考えています。
最後は著者を招いた読書会です。今年は「実践スタートアップファイナンス」の著者の山岡さん、「投資一年目のための経済と政治のニュースが面白いほどわかる本」の著者の崔さん、そして、「決算書ナゾトキトレーニング」の著者でFED事務局長の私村上をゲスト登壇者としてお招きした読書会を実施しました。
偶然ですが、著者を招いた読書会は10月、11月、12月と年の後半に集中しました。
今年は著者をお招きした読書会は上記の3回だけで例年より少なかったといえます。とはいえ、ご登壇いただいた山岡さんも崔さんもFEDでは10年以上前からご一緒させていただいたこともあり、これら著者をお招きした読書会では、嬉しいことにそれこそ5〜10年ぐらい前にFEDによく参加してくださった方にも多くご参加してくださいました。そういう意味では、同窓会的な読書会を実施できたことを嬉しく思います。
2022年の取り組み
2022年は、1年半ぐらい続けている世界標準の経営理論をようやく読み終える予定です。すでに第2部マクロ心理学ディシプリン、第3部ミクロ心理学ディシプリン、第4部社会学ディシプリンは読み終えました。第1部経済学ディシプリンも残すは10章のリアル・オプション理論のみです。
ということで、2022年では残りの第5部ビジネス現象と理論のマトリックスと第6部経営理論の組み立て方・実証の仕方をみなさんととも学べればと思います。
他にも現時点では、バーニーの新版企業戦略論を輪読形式で朝7時から読書会を実施する予定です。この事により、毎週日曜日は、第1と第3は企業戦略論の輪読、第2と第4は世界標準の経営理論を実施することになります。
また、2022年は、オンラインだけでなく、オフラインも実施したいと考えています。とはいえ、オンライン読書会が定着したことで、物理的にオンラインでの参加のほうがやりやすいという方もいらっしゃいます。そのため、実験的にオンラインとオフラインの同時実施も実験的にできればと思っております。
それでは、どうぞ良いお年をお迎えください。
FEDで振り返る2020年
もうすぐ2020年も終わろうとしています。今年は新型ウイルスの影響で人々の生活は一変しました。読書会や勉強会を開催しているFEDも同様で、今年はオフラインで開催できた会は1月のわずか1回でした。
しかしながらオンラインでの読書会を開催したことで、合計31回もの読書会を実施でき、結果として例年より多くの会ができました。またオンラインでの実施が中心になったことで、新たな発見もありました。
第一にオンラインをメインにしたことで、多くの人にご参加いただけました。関東以外の地域の方はもちろんのこと、アジアやヨーロッパの外国にいらっしゃる方にもご参加いただけました。
第二に時間を柔軟に設定できたことです。後述する「SHIFT」と「世界標準の経営理論」は朝の7時からオンラインで読書会を実施していますが、この時間に開始をしても20名前後の方にご参加いただけています。
第三に、zoomのブレイクアウトルーム を使うことで、少人数でしっかりとした議論ができたり、google docsを使うことでリアルタイムでメモを取りながら読書会ができたことがあげられます。
このようなことを踏まえると読書会というのはオンラインでも十分満足度が高い会を実施できるということが検証できました。今後もオンラインでの読書会をさらに洗練させたいと感じました。
上記を踏まえて、2020年に開催した読書会を簡単に振り返ります。
①世界標準の経営理論
ハーバードビジネスレビューで3年にもわたって連載されていた内容が書籍化されたものです。今年はこの本の輪読を開始しました。1章ごとに月2ペースで読書会を実施ています。FEDは元々マンキューのPrinciples of Economicsの輪読から生まれています。
今回はこの大著を輪読を通じてじっくり参加者の皆様と読める機会ができて非常に嬉しく思います。なお、予定では、1年後には全部読み終えている予定です。
②SHIFT読書会
世界標準の経営理論と同じくハーバードビジネスレビューで連載されたいた濱口秀司さんがの著書です。こちらもじっくりと読みたかったので、輪読形式で読書会を開催しています。
③新型コロナ関連の読書会
新型コロナウイルス関連の読書会として、冨山和彦さんが書かれた「コロナショック・ショック」と「コーポレート・トランスフォーメーション」を実施しました。新型コロナで変わったのは我々の生活だけでなく、企業の経営もです。この本を通じて、コロナを経て企業がどのように変容する必要があるかを学びました。
④著者をお招きした読書会
今年のメインはオンラインの読書会ではあったものの、例年通り著者を招いた会も上記2冊において実施することができました。オンラインでの著者を招いた読書会ではあったものの、zoomのブレイクアウトルーム を使うことで、例年以上に著者と参加者で一層交流することができたと感じております。
2021年もwith コロナでの生活が続いてくことが予想されますが、オンラインでの読書会を通じてミッションである「未来の金融をデザインする」を体現していきたいと思います。2021年もどうぞよろしくお願いいたします。
FEDで振り返る2019年
①アート系読書会
今年はアート系を題材に扱った読書会を複数行いました。具体的に課題図書は以下です。最初は「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか」の読書会をアートを鑑賞しながら実施するという会から始まり、その流れで複数のアート関連の読書会を実施しました。
ミンツバーグは経営には「アート」「クラフト」「サイエンス」の3つが必要と喝破しています。FEDではこれまで「クラフト」と「サイエンス」に関する勉強会が多かったのですが、今年は経営の3つ目の要素である「アート」を扱えたことで、一気に読書会と参加者に幅が増えたと感じております。
当日の 読書会の様子は以下にまとめております。
②著者をお招きした読書会
今年も多くの著者をお招きした読書会を開催することができました。具体的には以下の本の著者をお招きできました。
著者をお招きした読書会では、google formやslidoを使って、参加者の方からリアルタイムで質問を頂戴して、その場で著者に回答をしていくような仕組みを導入しました。この仕組みを導入したことで、より著者と参加者とでインターラクティブな空間を創ることができたように感じております。
③コラボイベント
FEDは2011年から「未来の金融をデザインする」をミッションに経済や金融に関する読書会や勉強会を開催してきました。そのような中、今年は良い意味で、枠組みを超えて様々なイベントを実施することができました。具体的には以下です。
最初はソフトバンクの100%子会社で本郷三丁目にあるDeep coreと新生銀行との共催で財務人材とTech人材をマッチングするイベントを実施ました。完全非公開イベントでしたが50人近くの人にご参加いただけました。
次に早稲田NEOとの共同のイベントや中央大学MBA(CBS)での読書会の実施等、教育機関とのコラボレーションもできました。
事務局長の村上が所属するGOB Incubation Partnersとの共催でWork Desing Labの代表理事の石川さんをお招きして新規事業に関する勉強会も開催しました。
最も印象的だったのは、コピーライターの梅田悟司さんと日比谷ミッドタウンのBASE Qで「名もなき家事」に関する読書会を実施できたことです。この読書会では、FEDがこれまで培ってきた読書会の運営ノウハウを最大限活用して、新たなタイプの読書会を開催することができました。当日はNHKの取材も入ってくださいました。当日の様子は以下をご参照願います。
④時事ネタ勉強会
①〜③を見ていただくとわかる通り、例年よりも経済や金融系の読書会が少なかったように感じますが、時事ネタの勉強会として、外国人労働者受け入れ、増税、老後資金2,000万円レポート等も実施しています。来年はオリンピックもありますし、例年以上に時事的な勉強会も実施していきたいと思っております。
⑤経済関連記事の投稿
今年は少しだけですが、過去の勉強会 で学んだことを踏まえて、経済記事の投稿をしました。本当は月1ペースぐらいで更新をしたかったのですが、忙しさを理由に結局あまり進めることができませんでした。書きたいネタはそれなりに結構あるので、来年はもう少し更新頻度を増やしていきたいと考えております。
以上、FEDで振り返る2019年でした。今年は、FEDの前身となるマンキュー経済学読書会を開始してから丸10年となりました。10年前はマンキュー経済学読書会が今のように発展していくとは夢にも思っておりませんでした。このような発展を遂げることができたのは参加者、ゲストの著者等の皆様のおかげです。改めて感謝申し上げます。
2020年は経済と金融という軸を大切にしながらも、FEDの可能性に蓋はせずに幅広に色々なことにチャレンジをしていきたいと考えております。
「名もなき家事」読書会_2019年10月5日(土)
当日は、日比谷ミッドタウンから場所の提供を受ける、著者、ゲストの出演そして編集者のご参加にしていただく、NHKの朝イチ*1やその他メディアの取材が入る、1週間前の案内の中土曜の9時から参加してくださった参加者等、多くの方のサポートに支えられ、読書会を実現することができました。加えて、グラレコで当日の様子をまとめていただきました。
- 本書を読んで、家事をすることが褒められたようで嬉しく感じた。
- 家事には、やれば終わる作業的な家事と、考える家事というものがあるのがわかった。例えば、遠足の準備やお弁当等をどうするかといった考える家事は数日かかる場合もある。
- 家事に男性の目線が入って新しいやり方を提案してもらえそう。
- 男性の方は家事を手伝う場合、手を動かす家事を頑張っている傾向にあると思うが、女性は意思決定を伴う考える家事を多く抱えていると思う。例えば、食事の栄養をどうするかや1ヶ月後の家族の行事等の考える家事を常にやっている。
盛りだくさんとなった今回の3時間にもわたる読書会では、参加者からは以下の嬉しい声を頂戴しました。
- 面白かった。名付けたのしい。ロジカルに分析するのたのしい。
- 自分が余りコミットしない世界の見方が広がった。仕事以外も戦略的であるべきだと再認識した。
- 梅田さんの考え方が素敵でした。本を読んだだけでは分からなかった執筆の背景を伺えてとてもよかったです。
- 家事の見える化、経済的な視点で複合的に学べました
- 普段会わない、会話しない参加者とディスカッションできたこと、気づきを得たことは非常に良かったです
- 一番刺さった言葉は"考える家事"という観点。"手を動かす家事"は半分はやっているという自負があるが、イベント対応や健康維持など考える部分はかなりおまかせっきりにというのに気づけたのは良かった
- 男女で対立しがちな話題を笑いありの楽しい雰囲気で話をできました。課題本がそういう雰囲気を醸し出していたのだろうと思いました。
- ただの読書会にとどまらず、是枝さんのエコノミスト視点で切り込まれていたのがFEDらしさでもあり、梅田さんの良さをより際立てた感じがしました!!
*1:当日の放送内容はこちらのtogetterにまとめられています。
「ニュータイプの時代」読書会兼アート鑑賞会_2019年9月28日(土)
2019年9月28日に、はたらける美術館とともに山口周さん著の「ニュータイプの時代」についての読書会兼アート鑑賞会を実施しました。
今回読書会兼アート鑑賞会をするにいたった個人的な想いはこちらの記事をご確認願います。
当日は、最初に通常の読書会として本書を読んだ感想をシェアし、その後、はたらける美術館のファシリテーションが入ったArt For Bizを実施し、最後にテーマ毎に分科会に分かれて再度読書会を実施しました。
また、今回はFEDの初めての取り組みとしてグラレコも書いていただきました。当日のディスカッションの内容が絵で表現されるのはとても面白かったです。
前半のディスカッションでは以下のような意見が出ました。
- ニュータイプの人は、「何をやっているかわからない人」「肩書きがよくわからない」といった人が多いように感じる。有名人で言えば、ホリエモン、キングコング西野亮廣さん、落合陽一さん等があげられる。落合陽一さんもツイッターで「俺は毎日やってることをこれでもかと発信してるのに「何やってるかわからない」と言う人は何がわからないのかもう俺にはわからない」とつぶやいている。
- これまで、成功するための法則としてグリッド(やり抜く力)が必要と言われているが、この本は逃げることが重要と書かれている。逆のことが言われているのか。
→1万時間の法則とも関連するが、1万時間取り組んだことが成功したのではなく、成功をした人は結果的に1万時間費やしたと帰納法的に導き出している。グリッドも同じで、成功した人がグリッドを持っていたということで、グリットがあるという話ではないのではないか。 - ニュータイプでいうと、一つのことに固執してグリッドを発揮するのではなく、いろんなことに興味を持ちながら、複数のことをグリットを持ちながら多くのことに結果的に1万時間取り組むような感じではないだろうか。
- 速読をする人もいれば、精読する人もいる。本にも多様な読み方がある。ニュータイプの人は、速読、精読、読書を楽しむ等場合や状況に応じて、多様な本の読み方をできる人では
やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける
- 作者: アンジェラ・ダックワース,神崎朗子
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2016/09/09
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログ (13件) を見る
- 作者: マルコム・グラッドウェル,勝間和代
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/05/13
- メディア: ハードカバー
- 購入: 14人 クリック: 159回
- この商品を含むブログ (135件) を見る
読書会の実施後は、ART for BIZを実施して、アートも観ながら感じたことを参加者間で共有をしていきました。
アート鑑賞会の後、後半のディスカッションでは①アートに興味を持つためには、②直感とセンスを鍛えるためのネクストステップはどうすれば良いのか、③New TypeとOld Typeの3つのグループに分かれて議論を実施しました。
最後に参加者からは以下のようなコメントを頂戴しております。
- 自分はオールドタイプだと思っていたけど、まわりにニュータイプすぎる人がいるから、相対的に自分がオールドタイプだと思い込んでいるだけなのかも…と思うようになりました。実は結構ニュータイプなのかもしれません。
- 議論が多方面からできて面白かった。アート鑑賞もできてよかった。絵のタイトル出しがおもしろかった。
- みんなアートに何らかの興味があることにあせりました。沖縄というキーワードをきっかけにもっと興味がもてればよいです。
- 「ニュータイプの時代」に対して様々な感想を持っていらっしゃることに触れることが出来て良かったです。まだ、アート鑑賞では、視点を変えていくことの重要性を理解できました。
FEDでは、これからも引き続きはたらける美術館とともに読書会を実施することで、右脳と左脳の両方を刺激していく場づくりをしていきたいと考えております。
不確実な時代をどう生きるか
「経済には景気循環というものが存在するはずなのに、バブル崩壊後の日本はなぜこれほどまでに不景気が続くのだろうか」
大学(2000-4年)の時に自ら発したこの素朴な問いこそが、筆者が経済学に興味を持つきっかけとなりました。
90年代後半において、国内では当時倒産しないと思われていた銀行が日本長期信用銀行を筆頭に倒産し、また多くの銀行が合併される中で金融市場は混乱しました。また、海外においてもアジア通貨危機やITバブルの崩壊、さらには9.11の事件等、先行きの不透明さがました感がありました。
このような最中、2000年初頭の議論において、日本の不況の原因は、ざっくりわけると以下と考えられていました。
- 不良債権→不良債権の処理が必要(竹中プラン)
- 日本の構造的問題→構造改革を先にすべき(小泉改革)
- デフレ→金融政策をもっと強化(後のアベノミクス)
- 需要不足→もっと積極的な財政政策を(今のMMTの議論と同様)
この辺りの混沌とした議論は、以下の本に詳しくまとめられています。
冒頭の問題意識を持ったまま、経済学研究科の大学院に進学をしたのですが、そこで大きな学びがあったのは、上記の不況の原因に加えて、不景気の理由を「期待」と「不確実性」といった抽象的な概念で説明する研究に出会えたことです。
筆者の大学院時代の指導教官の1人である清水谷諭先生は、「期待と不確実性の経済学」という本の中で、90年以降の不況の原因をミクロデータを用いながら丁寧に分析を行う(今風にいうとまさにEBPM(Evidenced Based Policy Making)の実践)とともに、この不況の”共犯者"の1人として「不確実性の増加」という点を指摘されています。
正直なところ、当時は私自身「構造的な問題が課題」という認識が強く、「不確実性の増加が不況の原因の一つ」というのは、理屈でわかっていても腹落ちしている感じはありませんでした。
その後、2006年に就職し、2008年にリーマンショックを実務上で経験する中で確率分布を伴わない「ナイトの不確実性」の存在や、タレブのブラックスワンで一躍有名になった「べき分布」といったことを学ぶ中で、「期待」や「不確実性」といったことがいかにマクロ的には経済や社会に、そしてミクロレベルでは個人の人生の意思決定に大きな影響を与えるのかを肌で実感できるようになってきました。
冒頭の問いから、20年近く経ちましたが、現代ではVolatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとってVUCAの時代と呼ばれる程、今後の見通しが立てづらくなっています。
例えば、年金問題一つとってみても、金融庁が発表した老後2,000万円不足問題や財政検証等を踏まえたとしても、30年後にどのような形で我々は年金を受給できるのか、さらには今の子供達が60年以上先にどれぐらいの年金を受け取れるかはほとんど予測がつきません。仮に複数のシナリオを検討して、予測をしたとして、個人として具体的にどのようなアクションを取れば良いのでしょうか。
このような不確実性が増している時代において、思考と行動様式は今後どう変わるのかを解説しているのが山口周さんがかかれた「ニュータイプの時代」です。
本書ではVUCA時代を生きるヒントとして「役に立つかどうかではなく、意味があるか」や「専門家の意見と門外漢の意見を区別せず、ニュートラルかつフラットに扱う」と言ったことが述べられています。
では、この本から不確実性の時代を生きるヒントを得たとして、次のアクションはどうしたら良いのか。
ということで、前置きが長くなりましたが、はたらける美術館と共催で9月28日に絵画鑑賞会兼「ニュータイプの時代」の読書会を実施いたします。
hatabiwithfed-newtype.peatix.com
今年の2月に山口週さんの「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?」の読書会兼絵画鑑賞会を実施ましたが、その際に以下のような感想を頂戴しました。
・アートを鑑賞しながら初対面の方達と多様な視点を共有・議論する体験がとても有益だった。さらに、建設的な議論が自然と行われる環境だと、皆さんの魅力がどんどん増すことが分かり、これもとても有益な体験だった。
・正解を出す必要の無い会話の幸福感に気づきました。空気はやはり大事。
ここでの絵画鑑賞会兼読書会の経験はまさに「ニュータイプの時代」に書かれているVUCAの時代を生きる上での「ニュータイプに必要な要件」を実感するための鍵があるのではないか考えております。
今回は20人の限定参加となっており、少人数でがっつり思考を深める予定です。
ご興味がある方は是非ご参加いただけますと幸いです。