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主に経済や金融に関する記事や開催した読書会や勉強会の報告を書いております。

「Brexit(EU離脱)と世界経済」_開催報告_2016年7月3日(日)FED特別勉強会

イギリスでの国民投票の経て、イギリスのEU離脱という民意が示された結果を受けて、7月3日にFED特別勉強会として「BrexitEU離脱)と世界経済」というテーマで勉強会を開催しました。急な開催だったにも関わらず、当日は50人以上の方にご参加いただき、皆様がいかにイギリスのEU離脱という事象に関心を持っているのかを実感しました。

当日はイギリスのEU離脱についての論点整理として、まずは主催者側でプレゼンテーション×2を行いました。プレゼンテーションでは、国民投票の地域別の結果、年代別の結果、EU離脱派はどう言った理由で離脱を主張するのか、イギリスのEU離脱が決まる前までの世界経済の景気の動向及びイシュー、イギリスのEU離脱はイギリス経済、ヨーロッパ経済、世界経済にどのような影響があり得るのか、イギリスのEU離脱の今後の流れ等を整理を行いました。

次にグループに分かれて、イギリスのEU離脱が1.日本経済に与える影響、2.日本企業や日本の消費に与える影響、3.世界経済に与える影響、4.マーケット(株、為替、金利等)に与える影響、そして5.政治に与える影響の5つについてフリーディスカッションを行いました。

フリーディスカッションでは以下のような議論及びコメントがありました。

  • EUがバラバラになると、中国の個別交渉が強くなるのではないか。
  • 円高株安が定着するのではないのか。そうなると、製造業への影響が大きくなる。企業はコストを削減するため、宣伝広告費を削減するようになる。新卒採用も減らすのではないか。
  • 今後の不透明性が高まることで、消費マインドの冷え込みの影響が強いのではないか。イギリスがEU離脱を機に、中国に急接近するのではないか。このような状況において、AIIBでは鳩山が理事になった。この動きには日本にはプラスに働くのではないか。
  • 日本において、景気動向につき、不透明感が続く。結果、消費マインドが下がる。円高仕入れ)が下がる。不透明感があり、輸入企業もマイナス。企業の収益にマイナス。正社員と非正規との格差が広がる。
  • 円高を通じて、日本企業もよりグローバル化を進め、アジアシフトが加速していくのではない。そうなると、日本の得られるチャンスも多いのではないか。日本も移民政策をより緩和をすべきではないのか。
  • 金融市場は8年周期での変動があると言われている。今年はリーマンショック後からちょうど8年。落ちる相場。円安になる材料はない。為替リスクのないグロース株への投資や空売りが投資戦略として良いのではないか。
  • 当日の株価の動きを振り返る。ボラティリィの高い時には動くべきではない。マイナス金利はやめてほしい。日銀にやれることはもうないのではないか。日本の企業の成長戦略を重視すべき。
  • 50条を実際に発動するのか。イギリスの国内政治。なかなかやらないのではないか。なんでこんなことになってしまったのか。メディアの議論。残留すべきを国内。タブロイド紙が離脱、高級紙は中立。メディア側の反省。オランタやイタリアの離脱の議論。都構想の投票問題をダブった。世代間での投票の格差。高齢者は反対。ブレグジット、世代間の闘争とも必ずしも得られないのでは。移民のメリットとデメリットは層によって異なる。世代や業種によっても違うので、解釈が難しい。複雑なイシューなのにワンイシュー化することで、
  • 本当にイギリスのEU離脱につながるのか。法的拘束力はないはず。

上記のように、非常に多岐にわたって議論が行われました。FEDでは、いつもFEDでの紹介を説明しているように、勉強会の方針としては、「1聞く」「2聞く」「3聞く」「4帰る」ではなく、「1聞く」、「2考える」、「3対話する」、「4気づく」、「5そして、デザインする。」という設計を意識しております。

誤解を恐れずに申し上げると「イギリスのEU離脱がよくわからない方、答えを教えます」といったスタンスではなく、「イギリスのEU離脱について一人で考えるだけではなく、参加者とみんなで一緒に考えていきましょう」といったスタンスで会を開催しています。このようなスタンスで開催すると、「答えを知りたかったから来たのに、何も教えてくれなかった」といった参加者からの不満の声があるときもあるのですが、今回は参加者の皆様が自主的に問題意識を持って参加してくださったおかげで、皆様と一緒に考えることができ、結果として多くの学びがあったと感じております。様々なバックグラウンドを持つ皆様の幅広い意見を聞く中で、ウェルズファーゴ銀行の壁に書いていると言われている「私たちのうちの誰も、私たち全員より賢くはない」といったことを実感しました。参加者の皆様のおかげでそれだけ、多くの意見を引き出すことができたと感じております。この場を借りて御礼申し上げます。ありがとうございました。

同様の勉強会を7月17日(日)にも開催する予定です。
https://www.facebook.com/events/1050815201676348/
ご興味がある方はこちらもご参加していただけますと幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。