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時差の関係でどうも一日遅れる。
立川発、本紙特派員。ル・モンド 6月15日(ペーパ版ー16日付)
自衛隊の官舎で反戦ビラを配って逮捕された3人の反戦活動家の話。
↓こういうのはいかにもル・モンド読者好みのフレーズ。
Pour la première fois dans le cas du Japon, Amnesty International a qualifié les trois militants arrêtés de "prisonniers de conscience"
日本のケースとしてははじめてアムネスティ・インターナショナルは逮捕された3人の活動家を「思想犯(良心の囚人)」と形容した。
Assurément une démocratie, le Japon est-il en train de perdre l'une des caractéristiques d'une société libérale : le droit à exprimer son désaccord par des moyens pacifiques ?
日本は紛れもなく民主主義体制であるはずだが、自由社会の特徴の一つ、反対意見を平和的手段で表明する権利を失いつつあるのか。
共有スペースへの立ち入りの事実により住居侵入罪で逮捕するのはは10年ほど前からよく用いられるようになったと記憶している。皆慣れてしまったのかマスコミの中で不当だと徹底的な大キャンペーンが起きることはもはやないようだ。不勉強だがこのニュース、今日はじめて知った(そんなに日本のニュースに疎いつもりはなかったのだが)。
書き手のフィリップ・ポンス氏は記事中朝日の社説に触れているが、この記事の大部分が朝日の社説(検索結果)にかなり近い。まあ誰が書いてもだいたいそうなるだろうが。
外からの目で事実関係を読んだ印象だと、トルコのクルド人活動家の話とか、旧東欧圏で行われていたことのレベルに写る。何かというと強権が発動されるフランスなどより日本のほうが表現の自由をずっと保証している国だと事あるごとにフランス人に対し自分の国を弁護する「愛国者」の私の旗色が悪くなるニュースがだんだん増えてくる。たのむぜ21世紀の日本。もっとも日本にとって自由の本家アメリカでも去年、反戦スローガンの書かれたTシャツを着ていた男がショッピングセンターのガードマンに立ち退きを命じられ、それに従わなかったとして同じように私有地への不法侵入で逮捕されたというニュースもあった。そーいうのが先端の方向かもしれない。
Les multiples visages de la haine raciste sur Internet LE MONDE 16.06.04
La Commission nationale consultative des droits de l'homme (CNCDH) 国の人権諮問委員会による広範な調査がまとまり、報告がこの問題についての欧州レベル国際会議で発表されるとの記事。人種差別的発言についてはフランスでは厳しい法的措置がある(こんどは同性愛者差別発言に適用する立法が検討されている)。近年ではインターネットが問題になり、これまでちょくちょく見せしめ的な逮捕が行われていたが、あまりに広がりがひどいのでまず実態調査をということのようだ(日本の状況とはあまり比較したくない。もともとのモデルも異なる)。
ル・モンドづくしになるがもう一つ。ル・モンドのネット版の一面の下のほうに、ネット版の読者が友人・知人にメールでリンクを紹介した数をもとにした「Le Monde.frのネット読者のお薦め記事トップ10」の表がある。人々の関心のありかたが分かって面白いし、ときどきトンデモネタが上位に来てニヤリとさせられたりする。今これを書いている16日夜の段階でのトップ3は
1 - "Fahrenheit 9/11" interdit aux moins de 17 ans aux Etats-Unis
2 - La France signe d'un spectaculaire renversement de situation son entrée dans l'Euro
1.はこの日記で15日にとりあげた例のマイケル・ムーアの「華氏911」R指定問題の記事の再・続報。最初のはル・モンドの記事ではなくル・モンド配信のAPF電で、ル・モンドのサイトでは24時間くらいしか命がなかった。これはル・モンドの自社記事としてリライトされ署名記事となっている。ひとつのニュースネタが話題となり昇格していくプロセスを見た思いがした。
上のインターネット上の人種差別的言辞のレポートについての報道の関連記事。
17日付けのペーパー版ではこの記事が一面トップ*1。
Entre liberté et contrainte, l'OSCE cherche un "code des bonnes pratiques"
LE MONDE 16.06.04
欧州安全保障協力機構会議。自由と規制の狭間で良識ある規範を探る。
ル・モンド、6月16日(ペーパー版17日付)
インターネット上での人種差別的憎悪の洪水をいかに有効な手段で食い止めるか。それも強権的国家にメディア規制の口実を与えないようにしながら。6月16、17日パリで、国の機関、NGO、インターネットビジネスの人々がはじめて一同に会し、ネット上の良識ある規範を定めるための議論を行うことになった。しかし表現の自由の原則に重きを置く北米の立場と、より厳しい規制をしばしば伴う法制をもつヨーロッパ各国の立場との間に妥協点を見出すの常に容易とは限らない。
フランスの提唱により、ミシェル・バルニエ外務大臣の開会の辞とともに、OSCE(欧州安全保障協力機構 The Organization for Security and Co-operation in Europe)の主催のもとに開かれるこの会議では「憎悪に根差す犯罪とインターネットにおける人種差別的プロパガンダ、外国人排斥、ユダヤ人差別との関係」が検討される。OSCEはウィーンに本部を置き、ヴァンクーヴァーからウラジオストックまでの55か国、すなわち旧ソヴィエト陣営を含むすべての欧州の国とアメリカ、カナダをメンバーとしており、徹底した自由主義の信奉派と国による指導の擁護派が同席する広範な話し合いの場となっている(一方、東欧圏特にコーカサス地方のようなところでは検閲と一切の規制のない放任主義が併存しているのだが)。
......
OSCEのホームページでは会議についてのコミュニケがある :
日本はOSCEの加盟国ではないが、パートナーということになっていて外務省のページがこの機関について詳しい。
メンバーでないので自動的には出席国にはならないがネット大国で表現の自由が保証されている国の一つとして日本がこういうところでかやの外というのは、見ていてあまり面白くない。もっとも日本は北米派に属するわけで、会議に参加しなくてもアメリカが代弁してくれるということだろうか。参加して擁護するものが何かということもあるし、欧州の常識からすれば驚嘆すべきようなものが放任されていることが明らかになってつつかれでもすればそれこそやぶ蛇となる。
日本と欧州の実態やモデルはあまりに遠いので比較の対象にならないし、必ずしも参考にならない。ただ、「○×人シネ」のようにネットに書き込む自由は必ずしも自明のものではなく、北米から目を転じればむしろそういう権利を謳歌できるのは特殊ケースだということはショック療法としてももっと皆知っておいて悪くない。
ル・モンド本紙ではなくAFPの配信の記事から
Montré du doigt par Washington, Tokyo va légiférer contre la traite humaine AFP | 17.06.04 | 11h35
国内報道の 人身売買防止へ対策強化 政府、米報告受け (Yahoo-共同 6月15日)あたりに対応する記事だが、背景解説が詳しい。欧州の文脈から見ると、アメリカが言うとこんなにすばやいのかという印象を否応でももたざるを得ない。NGOや国連の人権委員会に指摘されている複数の項目について何年も重い腰をあげない事実を一方で考えると。
Yahoo! Japanで関連記事をざっとチェックしたが、日本が属するカテゴリーにどういう国が入っているかを例示する仕方はなかなか一様ではない。
Yahoo!-産経(6月15日) の記事では「日本と同様、監視対象国になった主な国としてはロシアやトルコ、インドなどがある。」としているが、AFPではアジアの国ということでインド、ラオス、パキスタン、フィリピン、タイ、ベトナムをあげる。受ける印象は微妙に違う。毎日や読売の記事のようにリストを網羅し読者にその意味を判断させるというのがこのばあい正当だろう。
*1:リベラシオンの一面を見ると派手な写真とともに同じネタがトップ