WPさんの恋話

あなたがだいすきなのです。
なぜかと問われれば、けしてうまくせつめいはできないのだけれど、
だれにもまけない気持ちでいえるのです。
あなたのことがだれよりも大好きです、と。
恥ずかしいことだってわかっています。
情けないことだってわかっています。
だから、だれにもいわずにいたのです。
でも、ここでならいうことをゆるしてもらえそうだらからいいます。
種を土に植えて、水をくべて、毎日毎日様子を伺うように
あなたとの恋が生きていけばいいなと思っています。
花が咲けばいいなんて、高嶺の花なんだけれど、
あなたにだけ色づく花であればいいと密かに、目立たないところで
今日も私はあなたへの想いを携えて花粉を運ぶ虫を待っているのです。

しいたけさんの恋話



毎年5月に行われる寮祭も手伝って、僕は大学に入ってすぐに友達ができた。
中でもすぐ仲良くなったのが孝太。うちの寮は二人部屋で、僕のルームメイト
が孝太だった。気の会わない人と一緒に住むことになったらどうしようとずっ
と不安だったが、彼はそんな僕の不安を吹き飛ばしてくれた。僕は凄く恵まれ
ていたと思う。



佐緒里もまた、寮祭で仲良くなった。そして孝太と佐緒里は付き合いはじめた。
僕は佐緒里に恋愛感情を抱くまいと決意した。



僕は僕でサークルで仲良くななった真理と付き合い始めた。しかし数ヶ月で終
わってしまった。「他に好きな人がいる。」そう言ったのは僕である。他の人
と付き合って気づいたのだ。僕は佐緒里を好きになってしまっている。僕は結
局親友の彼女であろうが、佐緒里が好きだったのだ。この頃から僕は真理の影
響もあってタバコに手を出した。



そんな僕の想いは秘めたまま春を迎えた。僕は昨日、3月14日に生まれた僕
の誕生日を仲間に祝ってもらった。女の子にはバレンタインのお返しもした。
『おれが誕生日なのに!』と言いながら。もちろん佐緒里にも。



夜中までダラダラして、僕と孝太は佐緒里の家にシャワーを借りに言った。寮
のシャワーは深夜はやっておらず、佐緒里はアパートで一人暮らしだから。こ
ういう光景は良くあることだった。



そしてそのまま泊まっていった。僕はコタツで、二人はベッドで寝た。『二人
がなんか始めても、おれ狸寝入りするから全然構わないよ!』という冗談も言っ
たりして、僕らは眠った。



朝10時、彼はバイトへ向かった。まだ眠っている彼女を指差しながら目を覚
ましていた僕に、『これ、誕生日プレゼントだから。自由にしていいよ。じゃぁ
ね。』と冗談を言った。



人のことを誕生日プレゼントて。僕は母親のことを思い出した。母も僕と同じ
3月14日生まれで、僕が生まれた時、僕のことを誕生日プレゼントだと思っ
たらしい。



そんなことを思いながらまた眠ろうとすると彼女が僕を呼んだ。『コタツ寒い
でしょ。こっち来て一緒に寝ようよ。』



彼女は人を誘惑するようなタイプではない。僕のことを心配してそう言っただ
けだろう。僕は下心もあって、素直に応じた。



僕の心臓は張り裂けそうだった。我慢できなかったのだ。僕は彼女を抱き寄せ、
腕枕をし、髪を掻き揚げ、そして、キスをした。そして僕らは愛し合った。ビッ
クリするほど自然な流れだった。



『このことは孝太には内緒ね。』ことを終えた後、彼女がそういった。彼女は
僕に体を許してしまったが、彼と別れる気はないと言う。僕もそうだとは思っ
ていた。そうと思いながら抱いたのだ。



これから僕は上手に振舞えるのだろうか。僕は甘いけれど重い味のするピース
を吸った。