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検索エンジンからやって来たけどそれらしい記事がない、という方は、左下の検索窓でブログ内を検索して下さい。

2016-11-24

間違ってはいない……が……。

 茂木健一郎氏が、

「“3.9+5.1=9.0”にしたら減点するのはおかしい! 虐待だ!」

 って言い出して話題になってるみたいですけど……。

 

 うん……そりゃまあ、算数で扱う数は、一般に、有効数字とか考えないですからね。

 

 3.14×3.14は、きっかり9.8596になるし。

 一辺が3.14cmの正方形の面積は、きっかり9.8596平方センチメートルになります。

 

 だから、

「3.9+5.1=9.0」

 でも、

「1+1=2.00000000000000」

 でも、間違いとは言えない。*1

 

 ところで、今日私が遭遇した、小学1年生の答案を見て欲しいんですけど。

 

f:id:filinion:20161124212258p:image

(なお、これは子どもが書いた答案の現物ではありません、余った答案用紙に筆者が転記してます) 

 

「こたえが 11に なる たしざんの しきを つくりましょう」

 ……という問題に対して、この子の回答は

 

「3+8」

「3+8」

 

 いやそれどっちも同じだろ!

 

 っていうかそれ、回答例にあるやつと完全に一緒だろ!*2

 

 しかしですね、

「以下の2つの回答欄に、答えが11になる足し算の式を記入せよ」

 に対して、

「3+8と3+8」

 と回答するのは、数学的・論理的に何一つ間違ってはいないわけです。

 

 じゃあこれは正答扱いでいいのか。

 

 ご自分がもし担任だったら、これをどう採点するか……ということを、ちょっと考えていただきたいのですが、どんなものでしょうか。

(必要な情報かどうかわかりませんが、この子は算数が得意な方では全然ないです)

 

 ちなみに私は以下のようにしました。

f:id:filinion:20161124212259p:image

 

 ……もちろん、これが「採点方法として正解」だ、というわけではないです。

 

 なんというか、

「保護者が見て一番納得しそうな採点」

 を考えたきらいもあります。

 

 ただ……

「数学的に正しいから正答」

 としていいのか? という状況はわりと頻繁にあるのだ……ということが、おわかりいただけると良いのですが。

 

*1:「9.0」を不正解扱いにするのは、おそらく、「9.0と9が別の物だと思っている子」を発見するためだろう……と思うのだけど、それはちょっと筋の悪い議論だと思うので置いておきます。

*2:お気づきの通り、これはそもそも設問が悪いと思います。
こういうのは、テスト中に試験官が補足説明するといいんですけど、今回は
「担任が出張するので、その時間はこのテストやらせてくださいじゃあ行ってきまーす」
状態だったのでそこまで気づかなかった……。

「例:3+8=11 問:□+□=12 □+□=13」
みたいにすれば間違いないんだと思うんですが……それだとこの子たぶん0点になるな……説明の難易度が上がるわけなので。

2016-11-19

疑似科学批判者の「政治性」を擁護する。(または優生学の踏み絵について)

よくわかる気がする優生学

 

 先の記事ブコメ等で「議論がすれ違っている」「争点が明らかでない議論は不毛」といった指摘をいただき、反省しました。

 

 そもそも、私の「優生学」という語についての認識が不勉強だったのが不毛さの始まりだったと思います。

 そこで、優生学とその周辺について、下図のように整理してみました。(なお参考資料はWikipedia)*1

 

f:id:filinion:20161118001137p:image

 黄色い長方形のエリアが、古典的な意味での優生学です。

 その中央にいるのが、「優生学(eugenics)」の語を提唱した19世紀の学者、フランシス・ゴルトン。

 

 図の上の方が自然科学寄り、下の方は人文科学社会科学寄りであることを示します(……が、レイアウトの関係でわりと適当です)。

 

 Wikipediaによれば、優生学とは

「生物の遺伝構造を改良する事で人類の進歩を促そうとする科学的社会改良運動」

 とのこと。

 

 つまり、具体的な政策・行動を主張する社会運動であり、進化論メンデルの法則のような自然科学分野の問題ではなかったわけです。

(私はここを勘違いしていたわけです)*2

 

 優生学とそうでないものの境界は、ぼやけて曖昧になっています。

 

 例えば、出生前診断や遺伝子診断は、しばしば「優生思想的」と評されますが、Wikipediaの言う「科学的社会改良運動」には当てはまらないかも知れません(あてはまるかも知れません)。

 

 また、

「強い婿・嫁を迎えて、我が一族によい子を加えたい」

 的な発想はおそらく同様に優生思想的ではありますが、ゴルトン以前からあったのは間違いのないところでしょう。

 

 そして、優生学を、最も極端かつ非人道的な形で実践したのが、ナチスドイツであったと言えると思います。

 

 さて、先般の議論の模様を振り返るに。

 

 まず私の偏った理解。

f:id:filinion:20161118002922p:image:w500

 ↓

 そして批判。

f:id:filinion:20161118003437p:image:w500

 

 なるほどこれはすれ違ってますね。

 

「優生学」を、

人為選択の原理を人間に適用することを研究する学問」

 みたいな自然科学寄りの意味に考えていたのが私の過ちだったわけです。

 

 この状態で「優生学は科学的に正しいか」など論じてもかみ合わないのは道理です。

 

 ……と、思っていたのですけども。

 

*追記

 この記事のブコメで、id:D_Amon氏、

 

>「オレオレ定義の優生学を出してくる人々」は頭が悪いのか心が悪いのかの問題で、私はid:filinion氏の頭が悪いとは思っていなかったんだな。手前勝手な独自解釈で言及してきただけという話ならそれを自省してください

 

 って書いてるのですが。

 

 当方としては自省はしましたので、D_Amon氏、および若干の反・歴史修正主義の皆さんは、ぜひ以下の部分も読んで(&自省して)いただけるよう切望します。

 たぶん氏らは、頭が悪いわけでも心が悪いわけでもなくて、視野が狭窄なだけだと思うのですよね……。

 

政治裁判の始まり。

 

 このように、

「私が間違ってました」

 という話だけなら、単に私がごめんなさいすればいいのですけど。

(いやしますけど)

 

 しかし、議論の過程でどうにも気になったのが、歴史修正主義批判の方から繰り返される「党派性」「政治性」という言葉です。

 

菊池誠氏の「党派性」。

 まず、問題の発端となった(んじゃないかなあ、と思われる)菊池誠氏のツイートを再度。

 これは、

「疑似科学批判者はもちろんナチス擁護を批判しているんだろうね?」

 という@segawashin氏の問いに対する返答ですね。

「僕はナチス擁護を否定しています」

 と明言している……ように見えるんですがね、私の目には。

 

 ところが、segawashin氏は、「ニセ科学ではない」「そういうのは周辺問題と呼んでいます」扱いされたことが不服で延々と非難を続けます。

 

 詳しい前後の文脈は、togetterで(segawashin氏に好意的に)まとめられているので、そちらをご覧頂くと良いと思うのですが。

http://togetter.com/li/1045411

 

 簡潔にまとめると、以下のような理屈になります。

 

・ナチのイデオロギーの根幹には疑似科学があった。

・だからナチは疑似科学だ。

・だから疑似科学批判者はナチス擁護を批判すべきだ。

・だから、欅坂46の「ナチっぽい衣装」問題についても、当然、疑似科学批判の立場から言及する義務がある。

一般に、「Aに言及するならBにも言及すべき」という論法には、議論のリソースは有限だ、という問題があるが、ナチ批判は「簡単にできる」ことなのだから、その批判はあたらない。

・そうしないのは偏向だ。

 

 ……ナチの制服って疑似科学なんですかね?

 

 こう……どの項目もおかしい気がするんですけど。*3

 

 そして、その菊池氏がルイセンコ主義を「疑似科学」としていることについて、「露骨な党派性」と非難します。

*4

 

 Apeman氏の

「歴史修正主義や優生学は批判したくないニセ科学批判マン」

 という批判もこの話題に連なるものと思うのですが……。

 

 いやでも、菊池氏、「ナチス擁護を否定しています」って言ってましたよね? 私の目の錯覚ですかね?

 

間違った日本語の「政治性」。

 

 非難されるのは私もです。

 

 前の記事のメタブクマ

はてなブックマーク - 疑似科学批判批判の話、および「Xは科学的に正しい」は「Xを支持する」という意味ではないよね、という話。 - 小学校笑いぐさ日記

この件での優生学は普通にどころかナチス文脈で出ていることは明らかなのに、そこにオレオレ定義の優生学を出してくる人々の思考が謎というか意識的に目を逸らしている疑惑すらある。それも政治性の表れではないかな

2016/11/12 22:09

 

「意識的に目を逸らしている疑惑」!

「それも政治性の表れ」!

 

 言葉の覚え間違いを指摘されたことは恥ずかしながら一度や二度ではありませんが、そこで「政治性」を糾弾される、というのはなかなか新鮮な経験でした。

 

A級戦犯」を「主犯格」の意味で使う方、はたまた、「課金する」を「金を払う」の意味で使っている貴方、どうぞ気をつけてください。

 その誤用は、あなたの邪悪な政治性の表れかも知れないのですから……。

 

 という冗談はさておき。

(いやでも真面目な話、「A級戦犯」の方は本当に政治性とか言われかねないかも)

 

疑似科学批判者の政治性。

 

 さらに、氏のブログ記事では、http://d.hatena.ne.jp/D_Amon/20161115/p1

「ルイセンコは「左のトンデモ」として取り上げられるのに、優生学は批判対象にされることがないという非対称がある。
 疑似科学批判派の中には党派性を持った者がいる」

 といったことをおっしゃっています。

 

 ……えーっとつまり、

「疑似科学批判者の中には、ソビエト社会主義科学の過ちを過大に取り上げる一方、ナチスの人道犯罪には口をつぐむ、潜在的反共ファシスト分子が潜んでいる疑いが濃厚である!」

 的なことをおっしゃりたい……?

 

 いや、そりゃまあ、そんな人が「いない」とは言えないでしょうね。

 歴史修正主義を批判する人の中にも、酵素ドリンクを飲んでる人がいるかも知れないように。

 

 しかし、D_Amon氏はそんな自明なことを言ってるのではなく、疑似科学を批判する人々の全体的な傾向としてこれを語っています。

 

 このような、疑似科学批判者を「潜在的政治犯」扱いするのは不当である、そもそも批判自体が的外れである、というのが、私の主張であり、このクソ長い記事を書かねばならないと思った理由です。

 

疑似科学批判を政治性批判から弁護する。

 

「自然科学分野なんだから批判すべき」論について。

 

D_Amon氏の前掲記事から。

 私は日本の疑似科学(似非科学)批判派に「歴史は自然科学ではないので歴史修正主義は疑似科学批判の対象外」的なことを言う人がいることを知っています。しかし、この優生学は自然科学分野の疑似科学であり、自然科学でないことをもって批判対象から外すことはできない筈です。


専門外ではなく、専門内なのですから、言及しない理由としては「専門外なので」以外の理由を持ち出す必要があります。

「自然科学分野」全体で一つの専門分野なんです?

 じゃあ「人文科学分野」も?

  

 前の記事で書きましたが、

「例えば代替医療を批判してる人が天文学分野に言及してないからといって、「ヴェリコフスキー支持者め!」とか糾弾する人はいないし、いたら無茶」

 だと思うのですよ。

 

 まして、D_Amon氏が言う「優生学」ってのは、「ホロコースト文脈」なんですよね?*5

 ホロコーストは自然科学の問題ではないのでは。*6

 

 D_Amon氏、菊池氏の「党派性」を批判するために

優生学を疑似科学として批判対象にするつもりはないようです。


T4作戦のような非道をなしたそれを。

 ……って言ってますけど、「非道をなしたから批判すべき」というのは、それが自然科学の領分ではないと自分で言っているようなものでしょう。

 

 もちろん、歴史修正主義者が、「ツィクロンBは可燃性だから云々」「日本刀は数人切ると刃がダメになってしまうので云々」といった、怪しげな(自然科学分野の)疑似科学的な理屈を持ち出してくることが多々あるのは知っています。困った話です。

 しかし、そのことをもって、歴史修正主義そのものが自然科学分野だ、と言うのは無理筋と思います。

 

 例えば、文学研究に統計的手法を用いることがありますけど、それを根拠に「文学研究は統計学の一分野だ」って言ったら、どっちの人もイヤな顔をすると思いますよ。

 

 ですから、疑似科学批判側の

「歴史修正主義は専門でないので言及しない」

 というのは、まったく正当な理由だと思います。

 

「ルイセンコは批判されるのに優生学を批判しないのは対称性を欠いている」問題について。

 

 ……もうこれ、

「党派性がある、政治性が表れてるのはどっちなんだ?」

 と思えてならないのですけど……。

 

 そもそも、ルイセンコ理論と優生学は対称でないと思います。

 

 ホロコーストが、イギリスの優生学の影響を強く受けているのは確かです。

 しかし同時に、 欧州全域に根深かった反ユダヤ感情*7や、ヘレナ・P・ブラヴァツキーの近代神智学アーリア人!)などのオカルト思想の影響を受けているのも明らかです。

 

 つまるところ、「優生学」はナチの非人道性の一部分であり、かつ、ナチスもまた「優生学」の一部分に過ぎないのです。

 優生学というのは非常に広範なものですから、

「優生学を批判しろ」

 と言われたら、

「優生学を? どの範囲まで?」

 という問題がつきまといます。

 

 一方で、ルイセンコ理論は、ソビエト連邦のアレです。他にありません。

 

「政治が科学に介入したり、疑似科学が政治を壟断するとどうなるか」

 という事例として非常に適切なのです。 

 

 で、疑似科学批判者が本当にナチスを批判しないのか、というと、全然そんなことはないと思います。

 ただ、その場合には、「優生学」という広大な語ではなく、「ナチスの人種理論」という言葉が使われると思います。

 

 というか、私の感覚では、「なぜ疑似科学を放置してはいけないのか」を説明するのにナチスの人種理論を例に挙げるのは、むしろ(ルイセンコ以上に)定番ですらあると思うのですが。

 

 例えば、手元にあるカール・セーガンの「科学と悪霊を語る」でも、テレンス・ハインズの「「超科学」をきる」でも、魔女狩りと並んで出てきます。

 

 そもそも、「批判批判」の人々が、「疑似科学を批判するのにいちいちナチスを挙げるなんて大げさだ、鬼面人を驚かすの類だ」みたいに言うくらいで。*8

 政治性ですよ、政治性! 「批判批判」を行う者は潜在的ナチスシンパの疑いがある!(冗談です、念のため)

 

 一般に、

「優生学には科学的に正しい部分があるか?」

 と、

「ナチスの人種理論には科学的に正しい部分があるか?」

 では、返ってくる返事が全然違うと思います。

 

 ナチスを批判するのに「優生学」という言葉を使うと、かえって批判対象がボケてしまうので使われないだけではないでしょうか。

 

余談

 

 以下は余談として。

 

余談1「きれいな核

「Xは科学的に正しい」

 に対して、

「Xを(倫理的に)支持するのか! 政治性だ! 偏向だ!」

 と非難するのは筋違いだよ、という例として、

核兵器は爆発する」

 という命題を挙げたんですけど。

 

 それに対してD_Amon氏曰く

優生学が科学的には正しいなら、核兵器等が手段であるのに対し、それは目的として人を殺すので、優生学と核兵器を同列に並べるのはどうかなあと思います。

 ???

 

 優生学において「殺す」ことは必須ではないですよね? せいぜい一つの「手段」ですよね?

(日本やアメリカの優生政策は断種や中絶を手段としていた。ナチスが老若男女積極的に殺して回ったのは、イデオロギーや経済にも影響されてる)

 

 核兵器は、明らかに殺すことを「目的」にしてますよね?

 

 なんでそんなアクロバティックな理屈をひねり出してるんでしょう?

 

「核兵器は批判したくない歴史修正主義批判マン」? (冗談です)

 

余談2「私は疑似科学批判陣営で重要な地位にある250人のナチスシンパのリストを持っている」

 

 何度も言ってます(し、日頃の言動からも明らかだと思うのです)けど、私自身は自分が左派だと思ってますし、歴史修正主義的なものには強い反感を覚えます。

 専門知識をお持ちで、反・歴史修正主義の立場で戦っておいでの方にはまったく敬服します。

 

 しかし、「ナチス批判は簡単にできるのだからやるべき」だの「優生学を批判しない者はナチスシンパ」だの「疑似科学批判者は政治的に偏向している」だのといった政治犯狩りは、まったく支持できません。

 

 疑似科学批判者が(専門外の)江戸しぐさを批判するのが偏向だ?

 じゃあ、内科医のNATROM氏が反進化論を批判するのも偏向なんですかね?

 

 明示的に「私はホロコーストはなかったと思う」とか「南京大虐殺はなかった」とか言ったらそりゃあ歴史修正主義でしょうし、批判するべきでしょう。

 

 しかし、「ナチス擁護を否定している」と言っている相手まで叩こうとしたら……さらには、「疑似科学批判者」という不特定多数まで批判対象にしたら、かえって反・歴史修正主義そもののの「政治性」が問われ、信頼を失うことになると思います。

 

 それによって喜ぶのは、歴史修正主義者であり、疑似科学論者ではないのでしょうか。

 

 どうか、少し頭を冷やしていただきたいと強く望みます。

 

*1:写真出典もWikipedia。図左から順に「メソポタミア文明」「チャールズ・ダーウィン」「グレゴール・ヨハン・メンデル」「フランシス・ゴルトン」の項から。

*2:余談ながら。
 ゴルトンはダーウィンの従兄弟で、優生学は、ダーウィンの説から直接に影響を受けて発想されたのだとか。
 ダーウィン自身はいわゆる「社会ダーウィニズム」に否定的で、人種差別に強く反対していた……ということを思うと、なんとも歴史の皮肉を感じます。

*3:もちろん私の要約の仕方には偏見があるでしょう。
「ここがおかしい、segawashin氏はこんなこと言ってない」
という点があれば誤指摘ください。

*4:菊池氏が言う「周辺問題」って表現は、重要性が低い問題、という意味ではなくて、「疑似科学の周辺にある問題」ってことだと思うんですけど、たぶん通じてないですよねこれ。

*5:この議論だけかと思ったけど、「優生学を批判しない=親ナチ」みたいな言われ方をしてるので、基本的に「優生学=ホロコースト文脈」という扱いっぽい。

*6: 例えば、「進化論は誤りだ! 進化など存在しない!」って言ったら、それは疑似科学であり、自然科学の領分です。
 しかし、「ホロコーストは存在しない!」と言ったら、それは歴史修正主義ですよね? 進化論否定と違って。

*7:例えば帝政ロシアユダヤ人虐殺していますが、これが「疑似科学」だとは思えません。

*8:……という事例を見た記憶があるのですがググっても発見できませんでしたすみません。「あれがそうだ!」という例をご存じの方が要らしたらぜひ。

2016-11-12

疑似科学批判批判の話、および「Xは科学的に正しい」は「Xを支持する」という意味ではないよね、という話。

「言及してない批判」。

 

 えーっと、こういう状況だと理解しているのですが。

 

f:id:filinion:20161112003011p:image

 ↓

 

f:id:filinion:20161112003009p:image

 ↓

 

f:id:filinion:20161112003007p:image

 

 ……どうなんですかね。

(そもそも問題の発端は、AKB欅坂46の「ナチっぽい衣装」らしくてよくわからないのですがそこまで話を遡って追う気力はないです)

 

 もちろん、私自身は、歴史修正主義批判の方を含め、疑似科学と戦うあらゆる方々を心から応援するのですが。

 

 しかし、どの分野であれ、疑似科学(歴史修正主義含む)を腰を据えて批判するには、その分野の専門家であることが必要になってくると思うのです。

 

 ……疑似科学を「支持する」ことには、なーんにも専門知識はいらないのですよ。

 疑似科学は、まっとうな学術根拠、専門知よりも、「自分が納得できるか」=「自分にとって気持ちいい結論であるか」を重視するので。

 

 しかし、だからこそ、それに対抗する側には専門知が重要なのでは。

 そりゃまあ、例えばホロコースト否定論や反相対論トンデモであろうことは一般人にも常識として(大抵は)判断できますけど、本気度の高いビリーバーが分厚い資料を抱えて迫ってきたら、対抗論陣を張るには専門家を呼ぶ必要がありますよね。

 

 そう考えると、歴史が専門でなければ、歴史問題への口出しは控えよう、という態度はむしろ当然だと思います。

 

 だから、

「言及してない批判」

 は基本的にお門違いじゃないんでしょうか。

 

 そもそも、例えば代替医療を批判してる人が天文学分野に言及してないからといって、「ヴェリコフスキー支持者め!」とか糾弾する人はいないし、いたら無茶だと思うんですけど。

 それは歴史修正主義でも同様なのでは。

 

 ……あと、それ関係で、Apeman氏に

「ご自身が歴史修正主義批判は熱心な一方でEM菌やホメオパシーには言及がないことは平気なんです?」

と聞いたところ、

「このデマゴーグが!」

と罵られてしまいました。

優生学は科学的には「正しい」。だが倫理的には正しくない。核兵器が倫理的には正しくないが機能するのと同じ。/id:Apeman氏、歴史修正を盛んに批判する一方でEMやホメオパシーには言及

優生学は科学的には「正しい」」といい出すバカまで登場したよ! あと「EMやホメオパシーには言及しない」というのはお前が知らないだけ! このデマゴーグが。

2016/11/08 23:06

 

 えー、実際、氏のブックマーク及びはてなダイアリーを「EM菌」「ホメオパシー」で検索したところ、ホメオパシーに言及したコメントおよび記事が複数存在しました。

「ホメオパシーと陰謀論にどっぷり浸かった陸自の現役一佐の問題」(2010年)とかそういうですね。

 お詫びして訂正いたします。確認不足でした。

 

 で、それはそれとして、ニセ科学批判に積極的な菊池誠氏は、ナチス擁護についても否定的に言及しています。

 

 これに対して「歴史修正主義は疑似科学ではないというのか!」とかカテゴリー区分で怒るのは、わりともうどうでもいい話なんじゃないでしょうか。*1

 

 私は、

「ボクは親学には批判的だけど、ああいう“疑似教育学”は疑似科学には含まれないと思う」

 とかいう人がいたって別にそう怒らないですけど。親学を支持してるかどうかの方が重要。

 

 ところでApeman氏、「EM菌」での検索については記事もコメントも発見できなかったのですが、たぶん私の検索能力の及ばないどこかで言及してらしたんだと思います。

 しかし別に「言及していないこと」が批判さるべきだ、という話ではないのですよ? むしろ逆の話で。

 

 各人が専門分野で戦うのが、誰にとっても幸せなんじゃないですかね?

 

科学と正しさの話。

 

 科学って、政治的にはカーナビみたいな側面があると思うのです。

 

 例えば、

医療費を削減したい」

 とか、目的地を指示すると、

 

「社会スポーツを振興するとこのような費用対効果が」

高齢者負担の引き上げの試算を」

ジェネリック医薬品の活用で」

「病人を片っ端から殺せば医療費はゼロになりますよ。死ぬけど」

 

 ……とか、何はともあれ目的に続く経路を(リスク込みで)列挙するのが科学の仕事で。*2

 

 その中から、どの道を選ぶかを決めるのが政治の仕事であり、市民の仕事です。

(複数の選択肢を同時に選べるのがカーナビと違うところですが)

 

 その点、疑似科学の何が問題かと言うと、

「EMドリンクを飲ませれば安価にガンでもエイズでも治ります!」

 とか、一見魅力的だけど目的地に続かないデスロードを提示してくるところにあります。

 

 で、

「科学的に正しい」

 というのは、

「何はともあれルートの存在は確認されている」

 という意味だから、必ずしも「倫理的に正しい」という意味ではない。

 

 核兵器は倫理的に考えれば廃絶されるべきものですが、じゃあ

「核兵器は爆発しない。兵器として無効である」

 というのが科学的に正しい発言か、といえば、それは明らかに「科学的に」間違っています。

 

 だから、

「核兵器は有効だ、というのは科学的事実」

 と言った時に

「お前は核兵器を支持するのか! 広島長崎の悲劇を忘れたのか!」

 とか難詰されても困るよね、という。

 

 むしろ、核兵器が現実に存在し、兵器としては有効であるからこそ、その廃絶に努力が必要なわけで。

 

 核兵器に限らず、倫理的「でない」科学的事実というのは色々あります。

 差別は人間の本能に根ざしているとか、獲得形質遺伝しないとか。

 

 この宇宙が、慈悲深い神によって、人類の幸福のために創造されたものであれば、すべての科学法則は人類の道徳的価値観にそぐうように設計され、非倫理的な科学的事実など存在しなかったでしょう。

 しかしまあ……どうやら我々はそんな宇宙には住んでいないようなので。

 

 しかしこれは、非倫理的な行いが許されるとか、科学が不道徳を肯定するとかいう意味ではありません。

(そういうのを「自然主義の誤謬」とかいうのだそうです)

 そのような科学的事実は、私たち人類が、倫理によって立ち向かうべき障害を明らかにしているだけなのです。*3

 

 慈悲深い神が存在しないなら、我々自身の……科学の力で障害を明らかにし、倫理によってそれを克服しなければならないのです。

 

余談(優生学の話)

 

 ……というような文脈で「優生学は“科学的には”正しい」と言ったらバカ呼ばわりされました。

 

 あー……。

 

 いや別に、ナチスのガス室が素敵な政策だとか、性犯罪者の断種(アメリカの事例)を現代日本も採用すべきだとか言ってるわけではないのです。

(というか、同性愛や性犯罪が遺伝するかどうか疑わしいので、倫理的にも科学的にも間違っている)

 

はてなブックマーク - apesnotmonkeysさんのツイート: "ふだん「ニセ科学はひとを殺す」という棍棒を振り回しているから「じゃあこっちもどうぞ」と言われたわけだろ。もし優生学が科学とし

id:filinionそういう表層的な最適化進化論的には既に多様性をもって反論されていると思います。断種すれば遺伝病は減るでしょうが遺伝病を種に不利なものと見るのは人間の主観で、遺伝子プール的には多様性こそが財産

2016/11/11 00:50

 遺伝的多様性が大切、というのもわかってはいます。

「不利な遺伝子」というのが人間の主観であって、科学的な用語でないことも。

 

 ただ、

「遺伝病患者を断種すれば遺伝病は減る」

 というのは事実なのではないかなあ(それが社会的に有益だとか実行すべきだとは全然思わないけど)、その点では優生学は科学に立脚しているのではないかなあ、といった意味で書きました。

 

 しかしまあ、

「いや、単に“優生学”と言ったら、普通は『貧困層精神病患者の断種で民族を人工的に改良だぁー!』とかそういう価値観や政策判断込みの古典的優生学のことで、アレはどう考えても疑似科学だろ! オレオレ定義やめろ!」

 と言われたら返す言葉もないですね。

 

 ていうか、

「優生学の科学的に正しい部分は科学的に正しい」

 というのはトートロジーですわな。

 

apesnotmonkeysさんのツイート: "「歴史修正主義や優生学は批判したくないニセ科学批判マン」が「優生学が正しければホロコーストは正しかったということになるのか?」と混ぜっ返していて

優生学は科学的とも、科学的に正しいとはいえないかと。優生の定義は曖昧で形質と優生の因果関係を証明していません。また、種分化に至るような遺伝は隔離された小集団で起こるので、淘汰圧も弱く科学的に正しくない

2016/11/09 00:17

 このブコメが一番得心がいきました。ありがとうございました。

 

 しかし……そうすると、優生学というのは、単に無効であるがゆえに放棄されたんですかね。

 だとすると残念です。

 

 今まで、

「科学的に見れば有効な面もあったが、倫理的問題ゆえに放棄された」

 という、人類の倫理の勝利の一つだと思っていたのですが、単に、科学が疑似科学に勝った事例に過ぎなかったという……。

 

*1:菊池誠氏は、原発事故問題で「正しく怖がろう。福島への風評被害の方が危険」派の人だから、急進的脱原発派の人からは「エア御用」扱いされてて、何かと目の敵にされがちなんじゃないかしら……というのが個人的な邪推。

*2医療経済学は科学ですよね?
歴史修正主義……「疑似歴史学」を疑似科学の範疇に入れるのであれば、医療保険制度にまつわるインチキ……「疑似医療経済学」も疑似科学に入りますよね?

*3:まあ……非倫理的な道を提案した上に積極的に推してくる、エドワード・テラーみたいな奴は非難されても仕方ないと思うんですけど。

2016-10-23

Kindle Unlimitedで読んで良かった(主に)コミック。

 人気コミックが対象から外されたとかで話題のKindle読み放題。

 だいぶ時流に乗り遅れた感がありますが、自分が読んで面白かったものを紹介しておきたいと思います。

 

 というか、10冊までしか手元に置けないので、読み終わって記憶に残しておきたいのはこうしてまとめておかないと。

(だから、このリストは今後増えるかも知れないし増えないかも知れない)

 

 ……あと、なんか勘違いする方がいるんですが、ここのリンクから買っても私にはビタ一文入りませんので。

 どうせリンク踏むならごひいきの作家さんのアフィリエイトとか踏んであげるといいですよ。

 

 さて。

 

コミック

 

怪談少年

怪談少年」(高橋葉介

 妖怪ハンターだか退魔師だかをやっているクールでエキセントリックな姉と、基本的に一般人だけど妖怪より姉に振り回される弟の話。

 一話完結の短編集。

「怪談」と言っても怖かったりグロかったりするシーンはなく、楽しく読めました。

 幽霊屋敷の話がちょっと切ない。

 

私たちは繁殖している: (1) (ぶんか社コミックス)

「私たちは繁殖している」(内田春菊

 漫画家、内田春菊氏の育児エッセイコミック……という位置づけでいいのかなあ……。

 子どもの頃1巻を読んだ記憶があるんですが、これ十何巻も出てたんですね。

 今のところ、13巻までが無料で14・15巻が有料。(まだ6巻読んでる途中)

 

 春菊氏のたくましい生き方は応援するのですが……。

 しかし、乳児を抱えた母親を見たらどう接すればいいのか、どんどんわからなくなってくる作品ではあります。正直。

 

*追記

 6巻まで見たけど、正直もういいかな、という気分に。

 

 こう………………どんな相手となら、内田氏は幸せになれるんでしょうね。

 

ゆるゆり: 1 (百合姫コミックス)

ゆるゆり」(なもり)

 全巻無料。

 アニメは見たことないんですが、名前は聞いたことあったので読み始めました。だらだら読んでます。

 

限界集落(ギリギリ)温泉第一巻

「ギリギリ限界集落温泉」(鈴木みそ

 

 たぶん鉄板なんでしょうねこれは。

(まだ3巻を読んでる途中ですけども)

 

 過疎の村の、つぶれかけた温泉宿に、仕事から逃げ出してきた「ゲームクリエイター」と、自殺志願の情緒不安定ネットアイドル(そして、それを追ってきた多数のオタクたち)が流れ着くことで、村を巻き込んで変わっていく……

 

 的な話。

 

 ご都合主義と言えばそうですが、さすが鈴木氏だけあり、色々下調べをした感満載。

  

 ただまあ……私の奧さんは田舎の市役所勤務なので、役場の「玉川上水」氏の描き方は色々と……。

 

 まあ、鈴木氏は(多くの作家がそうであるように)個人が自らの資質で道を切り開いていく、という「小さな政府」的方向性を強く志向していますからね。

 

 ……しかし、こうしてみると、過疎地の再生って難しいことだよなあ。

 

「アイデアがあれば再生は可能」とかいう人はいますけど、アイデアを出すには広い世間で色々な経験を積んだ人間、という、過疎地には一番欠乏した「人材」が多数必要なわけで……。

 

コミックじゃない

 

隣り合わせの灰と青春 (幻想迷宮ノベル)

「隣り合わせの灰と青春」 (ベニー松山

 ゲーム小説の古典的名作が! タダで!

 ずっと読みたかったんですよ!

 

大どんでん返し創作法: 読む人を魅惑する逆転の法則 ベストセラー作家養成シリーズ

「大どんでん返し創作法: 読む人を魅惑する逆転の法則」 (今井昭彦)

 物語における「どんでん返し」というのをどう作ったらいいか、パターン化して説明した本。

 読者の意表を簡単に突ける、というのはすごいことだと思います。

 とても読みやすいし。

 

 無料で読んだけど、次の本と共にお金を払って買って、ノートとかに内容をまとめておきたい、と思っています。

 

 ……お話作りとかしない人には何の役にも立たない本ですけど。

 

物語が書けないあなたへ ベストセラー作家養成シリーズ

「物語が書けないあなたへ」(今井昭彦)

 同じく創作の本。

 

 ……あのね、新城カズマ氏の「物語工学論」とかより、よほど平易で実践的な内容のような気がする。

 

 良い本なのですけど、途中で

クールジャパンとか言ってるんだから、学校で物語の作り方を教えるべき! 教師は無能!」

 的な物言いがあってカチンと来たので私の中では評価が30点くらい下がりました。

 

 小中学校って、「オレが大事だと思うこれを義務教育に取り入れるべき」論者に取り囲まれてるので……。

 キャリア教育とかさー、金融教育とかさー、プログラミングとか、愛国心とか……そこに今度は「物語の作り方」ですよ。

 おうおう、だったらその分何を削ればいいかも一緒に提案してくれよ。

情緒的なシーンを書くときは自分の感情も盛り上がっていますのでついつい余計なことを書きすぎてしまうことがあります。そういう時の文章は本当に何度も読み直して他の部分の文章との整合性をとってください。自分の言い回しに酔っていないか。また、それが読者にバレていないか。そういうところに気を使ってください。

妄想したり自分の好き嫌いを語ることはとても気持ちのいいことです。しかし、物語を構成するときには必要ありません。

(いずれも「物語が書けないあなたへ」より)

 

あと、旧海軍の水兵だった作者の「我が青春の追憶」も読んでる途中で、海軍の従軍体験談として興味深くはあるんですけど、誰にでもおすすめできるかというと……。

わが青春の追憶 上巻

 

まだ読んでない

 あと有名どころとしては、「ストップ!!ひばりくん!」「実験人形ダミー・オスカー」「アドルフに告ぐ」が全巻無料、「COBRA」が何巻か無料とか。

ストップ!!ひばりくん! コンプリート・エディション1 実験人形ダミー・オスカー 1 アドルフに告ぐ 1 

COBRA vol.1 COBRA THE SPACE PIRATE

 

パタリロ!」……は、最初の何巻か無料で途中まで読んだのですが、今はUnlimitedの対象から外れてしまった模様。

 

*追記

「ダミー・オスカー」は一巻の全部と二巻の最初を読んだけどやめてしまいました。

 どう考えても、フォルクスワーゲン(西ドイツ!)社幹部の

「衝突実験用ダミーなんだから、合理的な予算内で人体の物理的特性を正確に再現することが重要だ。陰毛とか断末魔とかどうでもいい。そんなカラクリ人形的職人芸にこだわってるから戦争に負けるんだ(言ってない)」

 という主張が正しいと思わざるを得ない。

 

長文で紹介せざるを得ない

 

31歳BLマンガ家が婚活するとこうなる (ウィングス・コミックス)

31BLマンガ家が婚活するとこうなる」(御手洗直子)

 

 これからネット婚活をする人は読むべき!

 

 ていうか、卒論ちゃん(最愛の奧さん)に読ませたら大爆笑していたので、別に婚活中でなくても、オタクでもそうでなくても、いろんな人が楽しめるマンガだと思います。

(お前の奧さんはオタクじゃないのか、という指摘はスルーします)

 

 まずプロフィール作り。

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卒「あっ、これ従姉妹の××お姉ちゃんだ」

私「そんな個人名を出されてもですね」

卒「私逆だよー、ホモまんがをホモじゃないマンガに変換して読むの得意だよー」

私「それなんか需要あるんですか」

卒「……女子向けの二次創作って、BLは大量にあってクオリティも異様に高いけどノーマルカップリングはぼちぼち……みたいな状況がよくあって、ホモが好きじゃない人はそうせざるを得ない」

私「そ……そうなのか……」

 

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 う……うわあ。

 

 普通に参考になる話もあります。

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 ……あれ? 10km? マラソン

 

 まあ、どう見られるか意識するって大事ですよねー。

 

 しかしこの本のハイライトは、年収一千万クラスタと実際デートに行った時の話だと思います。

(なにしろ女子の売り手市場なので、男性から断られることがほとんどない模様)

 

「年収○百万の人と、一千万、二千万の連中が同じサイトに並べられたんじゃ勝ち目はないのでは……」

 などと思ってしまいますが、全然そんなことはないのがわかって希望が持てます。

 

 結末では、作者は無事選んだ相手と結婚することになります。

 

 で、その男性側から見た続編も出ています。

 

31歳ゲームプログラマーが婚活するとこうなる 31歳BLマンガ家が婚活するとこうなる (ウィングス・コミックス)

「31歳ゲームプログラマーが婚活するとこうなる」(御手洗直子)

 

 こっちは読み放題の対象ではないんですが、思わず買ってしまいました(思うつぼ)。

 

 純粋に読み物として見た場合、やっぱり自分の体験を描いた前作の方が面白い気はする(それでもすごい面白い)のですが、やっぱり男性側視点というのもなかなか参考になるものが。

 

 女子の売り手市場ということはですね。

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 う……うあああ……。

 

 まあ、作者曰く、男性でも失礼な人とかいるわけなので……。

 お互い「品定め」が目的である以上、相手を人間扱いしなくなる人も出てくるんでしょうね……。

 

 一方で、

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 なんだそれは。天使か。

 そんな人がなんで婚活してるんだろう……。

 

「ファッションがダサすぎる」という指摘を受けて服を買いに行くものの、

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卒「これダーリンじゃないの?」

私「めっちゃ私ですね」

 

 いや、ゲームTシャツは持ってないけど、摩りきれたユニクロとかなのでレベルは一緒。

 

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卒「こんな本あるんだー」

私「ちなみに持ってます」

卒「持ってるのかよ!」

 

 ……と、こんな調子でやってると、読み放題でもない本を全部紹介しかねないのでこの辺で。

 いやほんと、大変おすすめです。 

 

 次はちょっと重い。

 

毎日やらかしてます。アスペルガーで、漫画家で

「毎日やらかしてます。アスペルガーで、漫画家で」(沖田×華

 

 アスペルガー症候群である作者の日常を描いた作品。

 続編を今読んでいる途中です。

 

ますます毎日やらかしてます。アスペルガーで、漫画家で

「ますます毎日やらかしてます。」(沖田×華)

 

 どちらも読み放題対象。

 続編の方が絵がうまくなってる気がしますね。

 

 学校で「発達障害」っていうと、基本的に「発達障害児」のことで、

「どう対応すれば授業がわかるか」

「学校生活に適応できるようにする工夫」

 といった、周囲の大人からの視点で語られることが多いのですが、そういう人が大人になって、どんな苦労があるのか……というのが、本人の視点で読めるのが興味深いです。

 

 あと、作者やその他登場人物がいろんな症状を抱えてるのも印象的で。

 作者も、「アスペルガー」の他、ADHDとか相貌失認とか感覚過敏とか色々。

 

 教育関係の研修だと、

「アスペルガーの症状はこう」

「LDは、知的遅れはないが特定の学習分野だけが極端に苦手」

 とか区分して教わりますけど、実際には、

「アスペルガーでLDの症状もあってなおかつ知的遅れがある子」

 というのも当然存在するわけだし……もしかして……「LDのみ」とかいう方が珍しい……?

 

 ……っていうか……。

 

 この本、思い当たる節がありすぎて辛い……。

 

 以下は作者の弟の話。

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 ……いる!

 

「今はその話題はダメだ!」「やめろ!」「その話はするんじゃない!」

 って周囲が全力で止めてるのに、絶対話題を変えない人を知ってる……!

 

 ああ……あれも障害の症状だったのか……。

 

 ああ………………。

 

 しかしね、これを結納の席とかでやられてみろよ……。

 

 あと、作者は音……特に子どもの声が苦手とか。

 

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 あー……。

 

 自分は学校関係者なので、「幼稚園の子どもの声がうるさい! 迷惑だ!」とかいう話を聞くと、「ハァ!? 我慢しろよ!」とか思ってしまうのですが、世の中こういう人もいるわけですね……。

 

 ちなみに作者は、外出時はノイズキャンセリングイヤホンを使ってるそうです。

 

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 これ私だ……。

 

「もうすぐ荷物が届く」とか「もうすぐ奧さんが帰ってくる」とかすごい苦手。

「いつくるんだ、今か? 今か? いつだ?」

 って感じで、いいことであってもすごいストレスに。

 

 あと、予定通りに物事が進まないと、臨機応変な対応とか全然できない。

(しかし最初から行き当たりばったりだと、重要な用事をキレイに忘れたりする)

 

 先日、運動会の途中に放送設備が不調になってね……。

 

 …………今思えば、もっとマシな対応がその場でいくらもできたと思うのね……。

 

 まあ、「広汎性発達障害」(の大部分)は、今では「自閉症スペクトラム」に位置づけられまして。

 

スペクトラム」というのは、要するに「ここからここまでが正常。ここからが障害」ではなくて、ほぼ白いグレーからやや濃いグレー、かなり濃いグレー、ほとんど真っ黒なグレーへと連続的に変化する、ということです。

 だから、どんな人でも、自閉症スペクトラムの症状リストにある程度は当てはまるもの。

「あっ、これ俺だ」

 と思ったからといって、発達障害であるとは限らない……んですけどね。

(でもたぶん私はかなり濃いグレーだと思う……)

 

おわりに。

 

 というわけで、面白い本もまだあるので継続していこうと思っているKindle Unlimitedなんですけど、検索機能の劣悪さだけはほんとどうにかならないんでしょうかねこれ?

 

 読みたくもない作品が「おすすめ」にずらずら(シリーズ全巻)出てきたり、除外検索しようとするとまともに機能しなかったり……。

 Steamみたいに「興味がありません」ボタンをつけて欲しい。

 

 あと、すでに読んだ作品は「おすすめ」に出さないで欲しいし、「シリーズ第一巻だけ表示する」みたいな機能がぜひ欲しい。

 

 ……それと、読み放題って、「タダなら読んでみようかなー」という感じで、読者側のハードルが低くなるので、その分、「試しに読んだけど面白くなかった」というケースが増えると思うのですよね。

 正直言って、途中まで読んで投げた作品もかなりあります。

 

 最後まで読んですらいないのに評価の☆をつけるのって失礼じゃないか、と思うのですが、しかし、評価しないと「おすすめ」に反映されないし、同じ作品をおすすめされてしまったりするので、読者側としては評価を(低評価を)つけざるを得ない……。

 

 それって作家にとってどうなんだろうなあ、とは、かなり思うところです。

 

2016-10-14

胃カメラ体験談。

 胃カメラ初体験したので、体験談を書いておくのも未経験の人に有益かなー、と思うのですが、未経験でない方のために先に簡潔に結論。

 

良いニュース:ガンでも潰瘍でもありませんでした。

 

悪いニュース:ピロリ菌がいます。これにより胃粘膜が委縮しています。

 

 生まれて初めての胃カメラでした。

 

 先生からベッドで待機するように言われ、その間、看護婦さんに

「肩に注射しますからね。この服(ポロシャツ)なら大丈夫ですね」

 などと言われて不安になったり(変わったところに打つ注射は痛いイメージ)。

 

 次いで、何やら見たところ水あめのような薬を口に含むように言われ、

「口に含むことで効いてくる薬なので、このまま10分間飲まないでくださいねー」

 苦い。

 なんか舌がピリピリする。

 舌先の感覚が変なのか、口の中にブツブツができてきたような感触がある(薬が切れたらなんともありませんでした)。

 

 注射は……まあ、血液検査とかインフルエンザワクチンよりちょっと痛かったかもしれないけど大したことはありませんでした。

(先生の説明では「胃の動きを抑える薬」とのこと)

 

「はい、じゃあ薬、ここ(膿盆)に吐き出してください。ぜんぶ出しちゃっていいですから。

 さて、それじゃ横向きに寝てください。マウスピースしますね。よだれは飲み込まないで。全部外に出してください」

 

 真ん中に穴の開いた、筒状のマウスピースをしまして。

 その穴を胃カメラが通るわけです。

 唾液は頭の下に敷いたタオルに出すよう言われましたが、実のところ大体飲んでしまっていたような。

 

 のどのあたりを通る時が一番苦しい……というか吐きそうになります。

 幸いにして、何も飲食してないので吐くものはないわけですが。

 

 涙が出ます。別に苦しいとかではなくて、嘔吐する(しないけど)反応と一緒に反射的に。

 

 なんか看護婦さんがずっと背中をなでててくれました。子どもか。

 

「はーい、ここちょっと押しますねー、苦しいけどがまんして」

 おなかの中をぐーっと押される感触。

 

「胃の中に空気入れますねー、げっぷするとまた入れるのに時間がかかってしまうのでしないよう我慢して」

 あっ、それバリウム検査でも苦手なやつ。

 ていうか、のどが開いてる状態でどう我慢すれば。

 

 そうしてしばらく耐えた後、先生が看護婦さんに

「鉗子取って。うん、輪っかにして」

 視界の端に細い針金のようなものが見えた後、

「はい、じゃあちょっと組織採取しますね」

 おなかの中を引っ張られる、今まで体験したことのない変な感触が。

 

「では空気抜きます」

「胃カメラ抜いていきますねー」

 また嘔吐反応。胃の中を見られてる間より、入れたり出したりする時が辛かったです。

 

 ……とまあ、そんなこんなで胃カメラ初体験は終わって、結果が出るまで再び別室のベッドで待機。

 

 まあ、全然楽しい経験ではないのですが、看護婦さんの

「お上手でしたよー」

 という一言で、「ま、まあ、定期的にやってもいいかな?」とか思えてしまったので、ほんと肯定的な言葉かけって大事ですね。子どもだけじゃなく大人にも効くんだな、と。

 

 その後、診察室で写真を見せていただきながら、

「この白いのは、コレステロール腫といって、特に悪いものではありません」

「胃の出口、十二指腸に近い方の粘膜は、この通りきれいですね。しかし、粘液の量がずいぶん多い」

「胃の入り口の方を見ると、胃の粘膜が全体に赤く腫れているのがわかると思います。これはピロリ菌によって胃の粘膜が腫れて、委縮しているんですね」

 

 というわけで、今後また組織検査の結果を聞きに行って、その後はおそらくピロリ菌を殺菌するための投薬治療、ということになるようです。

 一週間ほど薬を飲んだ後、また一か月ほど間をおいて、ピロリ菌がいなくなったかどうかの検査、という流れだそう。

 

 なんでも、粘膜が萎縮した胃はガンになる可能性が高まるらしく。

 しかしながら、ピロリ菌がいなくなれば委縮した胃粘膜が元に戻るか……というと、どうもそうではないようです(ただしネット情報。また病院に行ったときに聞いてみます)。

 もちろん、放っておくとどんどん委縮が進んで潰瘍になり、胃がんの可能性もどんどん高まるらしいので、殺菌は必要なのですが。

 

 しかし、粘膜が元に戻らないということは、来年以降の胃がん検診(バリウム)でも、再び「胃粘膜不整」の所見が出て、また精密検査(胃カメラ)になるんでは……。

 だったら、むしろもうバリウム飲まなくてもいいんでは……(あれ苦手なのです)。

 

 ともあれ、胃粘膜委縮に加え、親族に胃がん患者がいたわけでもあり、定期的に胃を内視鏡で見てもらったほうがいいのは確かなんだろうなあ、と思います。

 そういう意味では、要精密検査の所見を受けた後、今回きちんと検査してもらったのはやはり正しかったのだろうと思います。

 

*余談

 奥さん(卒論ちゃん)には結果が出るまで精密検査のことは伏せておこうと思ったのですがバレました。

 

私「あっ!」

卒「どうしたの?」

私「今度の〜〜日、卒論ちゃんは家にいる?」

卒「出勤だけど、なんで?」

私「NTTの工事をうっかりその日にしちゃったんだけど、私その日は別な用事があった」

卒「用事って何?」

私「ちょっと出かけないといけなくて」

卒「どこに?」

 

 まー、嘘とか隠し事とかできない人間ですね、私は。

 卒論ちゃんの勘も鋭くて、容易にごまかされてくれませんでした。

 

卒「私が体の具合が悪くて、ダーリンに隠してたらどうなの!? ダメでしょ! そういうのはちゃんと言わなきゃダメ!」

私「ごめんなさい。……いや、精密検査の結果が出たら言おうと思ってたんだけど……」

 

 怒られました。

 

 体には気を付けようと思います。