小学校笑いぐさ日記 このページをアンテナに追加 RSSフィード


検索エンジンからやって来たけどそれらしい記事がない、という方は、左下の検索窓でブログ内を検索して下さい。

2007-08-31

読書感想文に決して書いてはいけないこと。

二週間くらい前に書けば誰かに感謝されたかも知れない記事。

 

私、一応は学校の国語主任なので、読書感想文を読む機会が多くあります。

 

「良い読書感想文とは何か」

 

……というのはいまだによく分かりませんが、

 

「駄目な読書感想文とは何か」

 

というのは何となく分かってきました。

 

読書感想文を書く時にやってはいけないことの筆頭は、

 

「本の紹介をする」

 

だと思います。

 

一番多いのは、だらだらとあらすじを書くタイプ。

 

「ぼくはももたろうという本を読みました

ある日、おばあさんが川へせんたくに行くと、川上から大きなももが流れてきました。

ぼくはももがすきなので、いいなあと思いました。

ところが、家へ持ち帰ってそのももを切ると、中から赤ちゃんが出てきたのです。

ぼくは、どうしてももから赤ちゃんが出てきたのかなと思いました」

 

……みたいなやつ。

 

まあ、

「この作文を読んだ人が、自分が読んだ本を知っているとは限らないんじゃないか」

という不安に駆られて、本の内容を説明したくなってしまう気持ちはわかります。

(ももたろうはそうでもないですが)

 

でも、「読書感想文」というのは、本を読んだ感想をメインに書くものです。

極言すれば、深い感想が書いてあれば、読んだのがどんな本だったかはどうでも良いことなのです。

 

本の内容には極力触れない方が良いくらいです。

といっても、全く触れないのは無理ですから、どうしても必要な場合に絞るべきです。

 

「ぼくは生まれつきからだが弱く、よく入院しています。

入院していない時も、外で遊ぶことがあまりできません。

入院中のある日、お母さんが持ってきてくれたのがこの本でした。

ぼくはこの本を読んで、ももたろうの強さにおどろきました。

それは、体の強さだけではなく、心の強さです」

 

みたいな。

 

読書感想文は、読書をして自分がどんな影響を受けたかを書くもの。

 

本の内容を紹介するのではなく、自分の内面を紹介せよ、ということです。

 

なので、あらすじ紹介は最悪。

 

また、時々言われる、本のカバー折り返しや巻末の解説を読んで写す、というのも、実はあまりいい方法ではないと思います。

 

「解説」「解題」というのはあくまで作品紹介です。

 

「主人公のたどる運命には、作者の不遇な幼少期の経験が反映されている」

「前二作の執筆を経て、作者の文章表現の技術にも安定が見られてきたと言えよう」

 

みたいなやつ。

 

読書感想文では、文学研究=客観的視点が求められているわけではありません。

求められているのは、あくまで「感想」。

「私がこの作品と出会ってどう変わったか」

という、ひたすら私的なことを書くよう求められているわけで。

 

なので、こういう分析的視点はむしろ不要だと思います。

 

もちろん、「解説」「訳者あとがき」とか言いつつ私的なことを書いてるひともたくさんいますが。

 

「私がこの作品と出会ったのは高校時代のことであった。

当時まだ若かった私は、この作品で語られる哲学に強い衝撃を受けた。

今回、こうして本作の改訳を任されたことには感激しており、初めてその話を頂いた時には我が耳が信じられないほどであった」

 

……とかいう。

 

でも、これを写すわけにいかないのはもちろんのこと。

 

というか、読書感想文とは私的なものですから、他人が写すことなどできないのが本当に良い読書感想文なのだと思います。

 

あえてコンクールの話をすれば、審査員が求めているのは、

「本を読むことで人間は変わる」

……という物語なのです。

 

「この本を読んだことで私はこのように変わりました」

……という、美しい物語を描いてください。

 

*補足

 誤解があるといけないので書いておきますが、私は読書感想文なんて書くのも書かせるのも大嫌いです。

むめいむめい 2008/09/07 23:28 読書感想文の必要さがわからない
無駄だと思う
なんのために読書感想文を書かせるのですか?

なまえなまえ 2008/09/08 19:10 なぜ2枚も3枚も書かせるのか
まるで書けるのが当たり前のように接してくるなと

bumplivebumplive 2008/09/08 19:12  読書感想文を書く身から離れて思うことは、読書感想文の書き方はちゃんと教えてもらったことが無かった気がする。
 書き方をわからずに書く、読書感想文は意味無いと思う。あらすじ書く子供の気持ちもわかるよ。

itit 2008/09/08 19:43 むしろあらすじを書いたうえで感想を書けみたいなことを言われた記憶が。
あらすじで読解力を見ることもできなくはないですし…
まぁ読まれたすべての本に先生が目を通す必要があるので実質むりですが(汗

filinionさんの仰ることは個人的にはなるほどなんですが、
教師の側で(それも指導要領に載るくらいのレベルで)
そうした「読書感想文の意義目的」みたいなことが共有されてないと、
やっぱり「何のために」って人が多数出るんじゃないかなぁ…子どもだけじゃなくて教師のほうも。
僕は中高英語の免許しか持ってないので詳しくないですが、
教員養成課程のカリキュラムにそういったことが載るくらいにならないと、
先生方のあいだでも、ただ慣習的に子どもに書かせるなんてことになりかねないですよね…。

あと、反論ばかりで申し訳ないんですが、
「本を読むことで人間は変わる」という物語は必ずしも起こりえません。
分厚い本を読んだはいいが何の感慨もないなんてことは往々にしてあるはずです。
それならそう(つまらなかったと)書けばいいと個人的には思うのですが、
おそらく小学校の先生がそれをよしとすると問題になるでしょう。
また「本を読んで自分が変わった物語」を他人に公開するという行為は、
非常に疲れます、プライバシーを他人に晒すわけですから。
極端な例かもしれませんが、
見ず知らずの他人に幼少期のトラウマを話すことが苦痛となりうるように、
自分の心に起きた変化を外に出すという行為は、
「読書感想文が好きな人」が思うよりもずっとストレスフルです。
甘えだと思う人もいるかもしれませんが、
そういうところに気づかないほうが無神経だともいえます。
それだけ大変なことだからこそ、
読書感想文を嫌う人がたくさんいるんじゃないでしょうか。
「なんでこの本を読んだ私の胸中を知らない人に晒さなければいけないの?」
という感じだと思います。

とまぁ、読書感想文嫌い派の私見を長々と述べてみました。
もともと読書やその感想を書くのが好きな子どももいるでしょうから、
完全になくせとまでは言いませんが、
自由研究の選択肢の一つくらいになったほうが、
いろんな子が好きなことに取り組めて好いような気がします。

なしなし 2008/09/08 20:00 自己アピールと根っこは通じると思いますし、将来のために意味あると思うんですけどね。
今にして思えばですけど。

なまえなまえ 2008/09/08 21:16 子供だから文章がたどたどしくて、大人に直してもらおうとしても
これしちゃいけない、あれ書いちゃいけないとばかり言われて
確かに感想を書けばいいのは分かりつつもそこまで本で感動するでもないので
難しいんですよね、感想文は

filinionfilinion 2008/09/08 23:06 皆様コメントありがとうございます。
 
さて。
 
ええとまず、私は読書感想文が嫌いです。
書くのも書かせるのも。
 
読書感想文が読書嫌いを作る、と言っても過言ではないと思っています。
 
私自身は、小学校・中学校と本の虫で、学校中で一番たくさん本を読んでいたのですが(卒業時に読書カードを返却されたので量がわかる)、読書感想文は何を書いて良いやらさっぱりで、いつも苦しんでいました。
 
……というわけなので、まず、この記事は「読書感想文」というものに対する皮肉が込められている、とご理解下さい。
とりわけ、コンクール云々の部分については。
 
>「本を読むことで人間は変わる」という物語は必ずしも起こりえません。
いやまったく。
 
>「なんでこの本を読んだ私の胸中を知らない人に晒さなければいけないの?」
ごもっとも。
 
別に事実である必要はないのです。
「美しい物語を書いてください」
というのは、要は「嘘でもいいから“いい話”を書け」ってことですから。
 
皮肉なのです。
 
あえて読書感想文の意義を考えるとすれば、読書を「あーおもしろかった」で終わらせず、深く本と(そして自分と)向き合う機会を作る、といったことなのかも知れません。
http://www.commakagi.ne.jp/tosyokan/kansoubunn-igi.htm
「自分だったらどうするか」とか、定番です。
 
ただ、本の分析がしたければ分析批評(TOSS国語)でもやらせればいいのだし、そもそも現実には読書感想文で分析的視点が好まれないのは本文中触れたとおりです。
一方で、自分と向き合うための手段として「長期休業中に家で読書感想文を書かせる」というのが適切なのか、そもそも国語科で自分と向き合わせることが求められているのか、と考えると、ひどく疑問です。
 
学習指導要領には読書感想文についての言及は全くありません。
だから、実はやらなくても良いのだと思います。
(「いかに書かせるか」というメソッドが確立していないのも、文科省の指針がないことが影響しているのかもしれません。
 教科書の単元として含まれる生活作文などの場合、構想メモを書くとか、「書き方/書かせ方」が、教科書・指導書にちゃんとまとめられているのです)

感想文のせいで本嫌い感想文のせいで本嫌い 2008/09/09 16:25 読書感想文コンクールの課題図書に選ばれると、
全国の学校図書館・公共図書館すべてがその本を購入することになるわけで。
課題図書選定にあたってどんだけのカネが動いてるのか。
透明性は確保されているのか。
興味深いですね。
読書感想文コンクールなんて止めちまえばいいのになあ。

七誌七誌 2008/09/10 08:26 正直あらすじでもなんでも入れて、水増ししなきゃ小学生に3枚はキツいですよ。

filinionfilinion 2008/09/14 09:35 >感想文のせいで本嫌い
「全国」ということだと、「青少年読書感想文全国コンクール」でしょうね。
 
あのコンクールの課題図書は、基本的には良書が多い、とは感じています。
 
もちろん、数多の良書がある中から4冊選ぶのに、金が動いていないとは全然言えませんが。
 
むしろ、地方の小さなコンクールとかの方が疑わしいことが多いですね。
去年と今年の課題図書に、同じシリーズの別な巻が入っているとか。
なんか企業のイメージキャラクターが主人公の絵本とか。
 
企業が自分で自分の宣伝をするためのコンクール、ということであれば、まだ納得できるのですが。
 
>七誌
 
キツいのはわかってます。
「でも、入れるとマイナス評価だよ」
ということです。
 
そして、中にはあらすじ抜きで何枚でも平気で書いてくる子もいるからあなどれない。

yasushiitoyasushiito 2009/02/16 14:05 へへぇ〜っ。
僕が想像してた書き方とは正反対で意外でした。
学習指導要領に指導方法が載っていて、先生はそれを元に採点して成績に反映させてるに違いないと想像してたので。
しかし、明確な指針がないとなると先生によって評価がばらつくし、先生の好みで成績が決まるってことになって納得がいかないのですが。

filinionfilinion 2009/02/16 20:32 >yasushiitoさん
 コメントありがとうございます。
 
>明確な指針がないとなると先生によって評価がばらつくし
 
 作文の評価、というのは、読書感想文に限らず主観が絡んでしまうような気はします。
 構成にせよ表現力にせよ、数値化できるものではなかなかないですからね。
 
 ……が、夏休みの読書感想文に関してはその心配は無用かと。
 
 大抵は成績評価の対象にされませんから。
 
 なにぶん、「上手な作品」=「親の手が入ってる」というのが周知の事実なので……。
(ただ、提出しないと、生活面の「基本的な生活習慣」とかに低い評価をもらうことはあるかも)

名無し名無し 2011/09/20 18:09 読書感想文が書けない子供が多いと聞きますが、それは子供は幼児であった頃、絵を見て育てられているのが原因であるのです。子供は親から絵本を読み聞かせてもらったり、幼稚園の先生に絵を見せながら教えられております。絵は子供に物を教える教材としては、最も適した存在であるのです。漫画が好きな子供が多いのは、そうした教育の影響があるのですよ。児童小説と言うのがありますが、あれは本当に児童が読んでいるのでしょうか?。私には絵を見て育てられた子供に、文字ばかりの本に興味を持つとは思えないのです。子供が初めて読んだ文字ばかりの本は、小学校の教科書ではありませんか?。子供が好きなのは、ゲームをしたり、外で遊んだり、漫画を読んだりするのがほとんどで、文字ばかりの本を読むのは、よほどの勉強家か読書家ぐらいなものでしょう。

filinionfilinion 2011/09/20 19:24  知り合いにお子さんがいれば、とりあえず教科書を見せてもらうことをお勧めします。
 絵がない教科書なんて今時ありません。
「児童小説」という言葉はあまり聞きません(「児童文学」なら聞きます)が、やはり「文字ばかり」ということは滅多にないんじゃないでしょうか。
 
 ですから、お説の前提がそもそも成り立っていないように思いますが……。

あいらあいら 2012/08/17 13:40 とっても勉強になりました!
頑張ってみます。ありがとうございました!!

munomunomunomuno 2013/01/04 13:02 読書感想文なんぞ
「つまらん」
と一言書けばいい。

filinionfilinion 2013/01/13 17:48 …よそのブログで、
「本文を読まないコメントがつくから、コメント欄ははてなユーザー限定にする」
 って人がいたんですけど、しかし
「読まずにコメントするのは非はてなーだ」
 というのは単なる偏見なのだなあ、と思います。

( ´_>`)( ´_>`) 2013/03/15 13:21 感想文はプロの物書きでも書けない文章です。
例えば、「昨日の遠足の感想を書きなさい」とか言われても、書けることと言えば、「昨日は遠足に行きました。とても楽しかったです」というような形式の文章しか書けません。
読書感想文は児童労働と同じくらいの作業とも言えます。

デスタデスタ 2013/08/03 13:14 ものっっっっっっっすごく参考になりました
今凄く感謝しておりますm(__)m

母 2013/08/25 10:40 小3の息子がいます。とても参考になりました。ありがとうございました。

スパム対策のためのダミーです。もし見えても何も入力しないでください
ゲスト


画像認証