■編集主幹を務めているドキュメンタリーカルチャーマガジン『neoneo』が、いよいよ2012年6月末に新創刊予定。ウェブ版は4/1よりオープン。今後の展開にどうぞご期待ください。
■6/18よりアテネ・フランセ文化センターにて特集上映「記録映画作家 土本典昭」。序文を寄せました。また19日には講演をいたします。
■5/31発売*『アジア映画の森 新世紀の映画地図』(作品社)に寄稿しております。
■フィルムアート社よりドキュメンタリーについての編著を7月中旬刊行予定。こちらもぜひご期待ください。
■編集主幹を務めているドキュメンタリーカルチャーマガジン『neoneo』が、いよいよ2012年6月末に新創刊予定。ウェブ版は4/1よりオープン。今後の展開にどうぞご期待ください。
■6/18よりアテネ・フランセ文化センターにて特集上映「記録映画作家 土本典昭」。序文を寄せました。また19日には講演をいたします。
■5/31発売*『アジア映画の森 新世紀の映画地図』(作品社)に寄稿しております。
■フィルムアート社よりドキュメンタリーについての編著を7月中旬刊行予定。こちらもぜひご期待ください。
今年も「桃」の季節がやってまいりました。「kiss!」からもう一年が経つのですね。季節感をたしかにともないながら、身体に記憶されるようになってきました。今回も竹本直美監督に試写に呼んでいただいて、11本のうち5本を見せていただきました。寄稿できる媒体がないもので、こちらで少しばかり感想を。
■『迷い家』監督・脚本:竹本直美
竹本監督の作品は毎年見てきましたが、山中を舞台としていることと、河井青葉さんが出演されていることもあって、前作の『地蔵ノ辻』(09)と重なるところの多いフィルムでした。ただ今回は、周到に構図の選ばれた画面において、少年が迷いこんだ家のつつましい生活さながらに「物語」がさらに切り詰められ、ほとんど一幅の画に回帰しようとするかのようです。けれどもそれを単なるミニマリズムから遠ざけているのは並々ならぬ音響への計らいで、多くを語ろうとしない人物と風景を代弁しているのは、小鳥のさえずりから始まってノイズへと至るその音響にほかなりません。ただ説明に不足を感じるところもあり、また腕時計を渡すところなどは象徴的に過ぎる気もいたしました。日本家屋のロケーションがすばらしく、窓辺にたたずむ河井さんが素敵でした。
■『shoelace』脚本・監督・編集・音楽:福本明日香
台詞回しや演出のそこかしこに、ふいにプレゼントされた手編みのマフラーみたいな、編んだ手のしなやかさを感じます。世代の異なる四人(あるいは三人と一人)の微妙な心理と関係の変化をていねいに跡付けてゆくわけですが、女性の恋人であり、少女の父親である男性をほとんど描かず、女性の心理こそを映画の対象に据える姿勢が潔いと感じます。それでいてその男性が佐野和弘さん(!)なので、一度しか画面に現れないにも関わらず強烈な印象を残させるあたりは非常に見事だと思いました。同じことの繰り返しの日常を「洗濯物」でたとえるあたりにたしかな会話のセンスを感じ、階段を駆け下りながら話すあたりに演出の面白さを見ました。何より「靴ひもがほどける」という何気ないできごとにゆたかに意味を見出してゆく作家の視線こそを見るフィルムだと思います。
■『FALLING』監督・脚本:加藤麻矢
これは、何と書けばいいのか(笑)。吸血鬼映画なんですが、「所詮、派遣社員」という西山真来さんの役どころと、カップルから「小銭」を奪うシーンに資本主義に対する憎悪を強烈に感じました(笑)。性格も容姿もまったく違う二人の女は小さい会社で派遣労働に勤しみながら、上司の男には何の関心もなく、むしろ同僚の「鈍臭い」女を取り合うように対立している。この関係性がまず面白く、階段を上ったところにあるトイレが束の間仕事を逸脱する場所として現れてくる縦の空間構造も、「FALLING」というタイトルとどこかで反響するように感じられて興味深く思いました。落下のシーンはすごく可笑しかったです。また地下鉄のシーンで(ゲリラでしょうか)、二人が会話するタイミングと発車のタイミングが絶妙だと思いました。西山真来さんはタバコが途方もなく似合います。
■『きみをよんでいるよ』監督・脚本:朝倉加葉子
25分の短編という枠と、「うそ」という与えられたテーマの両方をじつに真摯に引き受けた作品だと感じます。ひとつのシチュエーションに三人の人物を丁寧に配置することで、長編にはない短編映画の魅力を再発見させてくれます。女と、別荘を管理する耳の不自由な男との感情の交差を、視線ショットを丹念に切り返すことでゆたかにしてゆきます。面白いと思ったのは、男の視点ショットに音声が奪われていることで、ふたりの生きる世界の落差が直覚的に表現されていること。この音響の落差は、ストーブの轟音が鳴り響く終盤のシーンに、はるかに官能的に息づいてきます。このあたりから終盤にかけての展開にやや性急さを感じないわけではないですが、まるで手帳の余白のように引き延ばされた時間における、年長の恋人への女のつよい思慕とかすかな迷いとが、他者としての男の視点において濃密に空間化されているように感じました。
■『離さないで』脚本・監督・編集:福井早野香
これ、怖かったです(終盤で女の顔がすりかわるところはリンチの『インランド・エンパイア』かと思った)。この作品は長編向きの題材で、もっとじっくり見たい気がいたしました。西川美和監督の『ゆれる』と近い物語構造をもちながら、決定的に異なるのは事実と記憶を小説という虚構によって揺さぶってゆくところだとまず思ったのですが、どの領域も互いに安定した関係を保ち、まさにリンチ的な交錯をしてゆくわけではありません。むしろ「執筆」という確固たる行為によって顕在化し変化を余儀なくする、小説家とその夫の現実的な関係性こそを抉りだそうとしているように感じました。ただ小説完成までのプロセスに性急さを感じたことも確かです。電車の中でいつの間にか夢を見てしまうという、この後の展開を告げるような冒頭からテンポのよい語り口がみごとで、物語世界に引き込んでゆく牽引力は身を任せていて心地のよいものでした。だからこそ終盤にたたみかけてくるブレーキのノイズやリンチ的な「顔のすりかわり」の瞬間が途方もなく恐ろしい。ラストの下り坂もどことなく不穏な予感に充ちています。
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「桃まつりpresents うそ」は、例年どおり3月に上映予定とのこと。今回はなんと11作品。見ていない作品がまだ6本も! 楽しみです。
公式ブログはこちら。http://d.hatena.ne.jp/momomatsuri/
「真夜中の宴」も予習復習しましょう。
(10/1/22 映画美学校第一試写室)