日経春秋

 ⇒春秋(5/18)
 つっこみは野暮と知りつつ。

「愛」を「教育」するための法律改正の審議が国会で始まった。「愛って何?」と生徒たちに聞かれたら、教師はどう答えるのだろう。血を分けた我が子でもない生徒たちを真摯(しんし)に愛する教育者の姿そのものが、いずれ隣人愛や年長者への敬意を次代の心に育(はぐく)む。そんな物語は過ぎた時代のおとぎ話なのだろうか。

 あのですね、「愛って何?」と生徒たちに聞かれたら、という時点で、その教育は失敗。
 普通に生きていてそれなりにガッコの先生とか見ていて、そのわずかの人のなかに、なるほど教育と愛とはこういうものかというのを滲ませる人が一人もいないってことが地獄。
 私はあまりいい教師に巡り会うことはなかったが、あの先生とあの先生とあの先生とあの先生と……には「愛」が確かにあったと確信できる。それが、教育における愛の答えなのだ。