30年前の俳句のノート

 の断片が書架から出てきた。捨てる前にここに記録しておこう。
  
 終風0.18俳句メモ
 悔いや地の基潤す夏の雨
 水鳥の水しんしんと汚れゆく
 ある夏の一片のみが消え去りぬ
 夏雲の夏や汚れし雲を追う
 砂原の風砂その他と消去りぬ
 七月や女ガラスの如く死ぬ
 ある夏の氷の世界旗を見る
 されば夏雲の肉体翳りゆく
 緑なる雨あり雨の如く降る
 愛は言の葉の裏白く羽を畳む
 妙薬の妙とは必死の定めなり
 柔らかき海の表皮の帰らぬか
 明星や地の屍の若きかな
 ハハキギは虚なる言葉と思うべし
 夏の陽に針一本となる少女
 その夏の道純白に消えゆきぬ