finalventの日記

2007-10-20

ワトソンのこれなんだが

 このあたり。ところでこのエントリちょっとぶくま用仕込み付きね。

 19日⇒CNN.co.jp : ノーベル賞のワトソン博士、黒人差別発言を謝罪 ? - サイエンス

 18日⇒CNN.co.jp : 英博物館、DNA構造解明ワトソン博士の講演中止 差別発言で ? - サイエンス

 元ソースはこれみたい⇒The elementary DNA of Dr Watson - Times Online

  知能というか、IQというのは、一種の脳のファームウェア能力みたいなものだから、後天的ではないはず。で、それが人種間で差がある可能性はあり、というか、以前から知られていた。私の記憶では、でも、それをやると、黄色人種がさらに上でなかったか。ただ、黒人、白人、黄色人種っていうのが、生物的な範疇ではない臭い。なので、せっかくIQみたいな指標を生物学的に方法論的に設定しても、その対象が生物学的に措定できないので、私としては、どうもこの手の議論は、全体的に、偽科学なんじゃないかという印象を持っている。

 で、はてな村

 ⇒ノーベル賞博士が差別発言「黒人、知能で白人に劣る」 - MSN産経ニュース

 ⇒はてなブックマーク - ノーベル賞博士が差別発言「黒人、知能で白人に劣る」 - MSN産経ニュース

 まず、一つのソースでこれだけぶくまで盛り上がるのはどうかと思う。

 まず、できるだけオリジナルに近いソースを当たること。

 次に、他の報道ソースやその後の経過を見ていかないと。

 というか、もちろんそれと個別のぶくまは別といえば別かもしれないけど。

 で。

 ぶくまをざっと見て、ほぉこの問題わかってんのは、kokoroshaさんだけっぽい。

 ネガコメ5(冗談ですよ)とかもたいして活躍していない、っていうか、ネガな人って意外と基礎知識なくてべたなネガ正義感で最初にネガありきだったりする。言うまでもなくこの部分は釣りキーです。

 で、そのkokoroshaさん。

2007年10月20日 kokorosha 倫理的問題以前に、人種というセグメントキーについて考えても、大きすぎてあんまり意味ないんじゃないかと思った。/それよりも、中2病が80歳近くになっても完治しないという症例として世界に衝撃が走った!

 kokoroshaさんって、べたに理科系

 ちなみに、この手の話は、中2病というより、竹内久美子のネタかなと思うけど。

 で、お遊びは以上。

 ワトソンの今回のインタビューはむしろ発見の経緯の例のトラブルがポイントみたいだ。

 例の関連はちなみに⇒世紀の発見『二重らせん』がパクリで訴えられない理由 (超ビジネス書レビュー):NBonline(日経ビジネス オンライン)

 ついでに⇒「 著作から見たジェームズ・D.ワトソン―人間性と名著誕生秘話: 本: エロル・C. フリードバーグ,Errol C. Friedberg,丸山 敬,石崎 泰樹」

 で、それはそれとして、今回の問題に関連して。

 まずソースへと⇒The elementary DNA of Dr Watson - Times Online

 問題箇所はこれみたいだ。

British academics countered that subjects should not be off limits because they are politically incorrect. Susan Greenfield, director of the Royal Institution, said that “nothing should stop you ascertaining the scientific truth; science must be free of concerns about gender and race”.

 

He says that he is “inherently gloomy about the prospect of Africa” because “all our social policies are based on the fact that their intelligence is the same as ours ? whereas all the testing says not really”, and I know that this “hot potato” is going to be difficult to address. His hope is that everyone is equal, but he counters that “people who have to deal with black employees find this not true”. He says that you should not discriminate on the basis of colour, because “there are many people of colour who are very talented, but don’t promote them when they haven’t succeeded at the lower level”. He writes that “there is no firm reason to anticipate that the intellectual capacities of peoples geographically separated in their evolution should prove to have evolved identically. Our wanting to reserve equal powers of reason as some universal heritage of humanity will not be enough to make it so”.

 微妙。

 ワトソンが誤解されてバッシングされているとは言い難い。こりゃ、やっぱあかんのじゃないか。

 というか、これはけっこう危険思想ではある。で、ただワトソンとしてはそのことの偏見を持つなということらしい。よく読むと、かならずしも、raceに限定されているというより、人には遺伝特性がありそれで知性が決まっているという主張だと好意的に取れないこともない。ただ、ちょっとこの文脈では無理。

 その後のタイムズ⇒Nobel scientist who sparked race row says sorry — I didn't mean it - Times Online

 

追記

 これを発見⇒ワトソン先生の人種発言 - はてなムラ揉め事マグニチュード

 ほぉ。

 というわけで巡回してみた。

 ⇒2007-10-19 - 赤の女王とお茶を

しかし原文を見てみると

 そこ原文じゃなくて、引用だと思う。

 ⇒柳田充弘の休憩時間 Intermission for M. Yanagida : 「赤福」に無期限営業禁止命令,ワトソン博士の物議をかもす人種差別発言

人種間に生物的に違いがあることははっきりしています。まさに肌の色がちがうのです。

 そ、それはそれで微妙なご発言……

 ⇒時の流れは残酷 - おこじょの日記

悲しいねえ。知性なんてそんな簡単に測れないんじゃない?

 ワトソンのいう知性はIQだと思うのでそれはちょっと微妙に違う方向かも。

 他も巡回。

 ⇒■[思ったこと]人間性に問題のある学者に政治問題や人間性に関する問題を語らせるな : 2007-10-19 - 捨身成仁日記 炎と激情の豆知識ブログ!

ワトソンの人間性に問題があることは有名なんだからしゃべらせるなよ。

 それはまたすごい提言。

 

追記

 ウィキペディアの仕事が速い⇒Controversial statements : James D. Watson - Wikipedia, the free encyclopedia

 

追記

 真打ち登場か⇒404 Blog Not Found:充分よければ、優劣はどうでもいい

 黒人が知性において劣るか否かは、反証されていないが証明もされていない。しかし、黒人--に限らず人間--が、社会生活を送るのに充分な知性を有することは、すでに証明されているのではないか。

 私には、それで充分だ。

 たぶん、これは議論になっていないか、実際にはワトソンと同じ次元に回帰してしまっていると思う。

 というか、遺伝子的には、いくつかの指標があるものの、白人と黄色人種の差より、いわゆる黒人間の差が大きい可能性がある。つまり、多くの人が黒人を理解していないか、単純モデルで考えすぎというのも大きいかもしれない。ほいで、でも、だからワトソンを弁護しているわけではぜんぜんないよ。そうじゃなくて、弾さんの議論はかなり床屋談義の可能性が高いんじゃないか、と。

 

追記

 弾さんのあれのぶくまも盛り上がっているげ。

 ⇒はてなブックマーク - 404 Blog Not Found:充分よければ、優劣はどうでもいい

 見ていくと、いつも仲良しそうなかたが仲良く並んでいる。仲良きことは美しきかな。

2007年10月21日 FTTH # |ω・)…… いや、「統計的に有意な差がある」なら「ある観点において優劣がある」とは云えるでしょ。統計が取れない/極めて困難なのと「ある観点からだけで優劣を論ずることの是非&妥当性」はまた別の話。 / 語義的には。

2007年10月21日 I11 言い分はわかるが、ワトソン博士に対する職務停止処分について明確な意見を書かなかったのは“逃げ”ではないのか? 処分は正しいのか、間違っているのか、どっちだ?>Dan氏。

 いや、その、私、ネガコメしない主義なんで、では、ちょっと、シッコ。

 

追記

 誰かヒールを買って出る人が出てくるかなと思ったら。

 satohhideさんが⇒ワトソン博士は正直に良いこと言った - satohhide’s log cabin

 表題は刺激的だけど、ではヒールの内容は、と。

 しかし、「知能」だけは別だ、平等でなければならないと大抵の人は思い込み、「知能が劣る」と言うと非難される。

 しかし、それはおかしい、とワトソン博士は最後っ屁的に言ったのだ。

 たぶん、IQなど心理学的な規定における知能と、社会的な知能をごっちゃにされているというか、心理学的な知能の意味をご理解されておらず、弾さんと逆の方向の床屋談義になっていると私は思います。

 ただ、もともとワトソンがそう言っているのかというと、そうとも読めるけど、ではなぜアフリカということを言いだし、国家間の問題を匂わせているのかというあたりを、ばっさりと捨象しすぎでしょう。

 で、あれと思ったら、私への言及があり。

>> ワトソンが誤解されてバッシングされているとは言い難い。こりゃ、やっぱあかんのじゃないか。

>>  というか、これはけっこう危険思想ではある。(finalventの日記)

 餅突け。

 一言で言えば、ワトソン博士は知能なんてなんぼのもんじゃ、とさえ言っているように見える。

 餅突けの先が「とさえ言っているように見える」ではあまり説得力がないというか、たぶんジョークなのでしょう。また、「ワトソン博士は知能なんてなんぼのもんじゃ」とは読みがたい。

 次。

 というか、弾さんのエントリのトラバを追っているのだけど。

 ⇒kiku's: ワトソンの真意?

 読んでいくと、おや、また私が登場。

finalvent氏も例によって流す感じでネットに上がったエントリに対してコメントをさらっと、で終り。

 あはは、よくわかっていらっしゃるとという感じもしたけど、実はこうして執拗に追っているわけで、流してないんですよ。べたにいうと、私へのバッシャーが多いし、どうもその大半が勘違い君とか基本部分が読めなくて「ほのめかしは最悪」とか言う八つ当たり君が多いので、ちょっと静観というか、様子を見ているわけです。ただ、そのそう傍観しているわけではないのは、コメント欄を含めて流して読まれるとおわかりなるかと思います。

 で。

知性には反証も証明もされるいわれはない。もしかして小飼弾氏が言いたかったのは「知能」のこと? 知性、って、それこそ各人の基準が認められるはずのもの。

っつうか、ワトソンも「知性」と言っているんですね...

ここは微妙なところなんだけど。

 なんか、いろんな誤解が錯綜しているように思えてきた。

 そう、「ここは微妙なところ」、そして、いろんな「誤解が錯綜している」わけです。

 というのが今回の私のスタンスのベースにもあるわけです。

 でと。

 ちなみに⇒知能指数 - Wikipedia

外国人などの非ネイティブ者、言語障害者、非識字者などの場合は、言語面に重点を置いた検査で著しく低い数字がでる場合が多い。このため、そういった被験者を対象とする場合は、非言語式(ノンバーバル式、B式)の知能検査を用いなければならない。逆に、上肢(手指など)に障害がある場合は、B式検査では著しく低い数字が出る場合もある。一部で、欧米系白人のIQが高く(特にユダヤ系では高い)、黒人などのIQが低く算出されている統計を見受けることもあるが、前述フリンの研究では、同じ白人であっても50年前のそれは現在に比べ、非言語性テストで平均IQが15も低く算出されるということがあり、性急な結論は出せない。

 ま、そのあたりは前提なんだけど。「性急な結論は出せない」ということはどういう結論が可能かと逆に考えると、この問題提起の枠組みのぞっとする部分が多少見えてくるというか、ぞっとするというのは言い方がまずく枠組みの意味合いがはっきりするだろう。

 ちなみに、今回ちょっと弾さん(アルファーブロガーと言っていいでしょう)を引きに床屋談義ですよそれは的なことを書いたけど、この背景は。

知能がどの程度親から子に遺伝するか、IQがどの程度生活環境によって変動するか、低年齢時のIQがどの程度後まで連続するか、ということには諸説があり、社会的にも誤解されやすい。たとえば「IQは生得的なものであり、努力をしてもあまり変わらない」という説は、後天的な努力を否定する遺伝決定論として批判もある。その一方、「教育によってIQがかなり上昇する」という説は、教育の重要さを示す反面、業者の宣伝文句となって過度の早期教育をあおる危険性もある。実は、この両者はともに、知能の遺伝性の問題とは、知能の絶対水準が主として遺伝で決まっているか否かであるという捉え方をしている。しかし現代の心理学者や行動遺伝学者は、この問題については、主として、集団の知能の分散のどの程度が遺伝により決定されているかという考察をしており、絶対水準については何も語っていない。

 そういえば、今回のワトソン発言の欧米での受け止めの背景には

1994年に『ベル・カーブ』 (The Bell Curve) という845ページの本が、リチャード・ハーンシュタインとチャールズ・マレーによって発行された。これは、知能の大部分が遺伝によって決定されると述べていたため、多くの論争を巻き起こした。

 ある程度の枠組みで論じるには「ベルカーブ」の蒸し返しはあるのかもしれない。(疲労感多々)。

 で、ウィキペディアなんだが。

元来、人間の知能は普通の知能検査によって全て数値化できるほど単純なものではないと考えられるし、たった一つの数字で表現することが可能なものか、ということも問題である。このため、いくつかの検査では領域別の数字が出せる作りになっている。

 と、床屋談義に戻ってしまうのは複数編集の所以かわからないが、もうちょっと補足すると、これは心理学というものが人間機械論から出来ていることの方法論的な帰結なんですよ。ちょっと冗談っぽいのを以前かいたけど。

 参考⇒極東ブログ: デカルト的な考えによれば人間の身体は機械である

 参考⇒極東ブログ: 機械は意識を持つか。コンピューターは意識を持つか。インターネットは意識を持つか。

 いずれにせよ、現代科学は、ダーウィニズム=生気論の排除、人間機械論=精神と肉体の二元論の排除、から出来ている。

 なので、当然、知性ないし知能つまりIntelligenceというのも当然マシンであり、機械としてのモジュールとして措定されてしまう。つまり、心理学というのは、人の心を扱うのではなく、人というマシンを扱う学問。

 なので、そこからIntelligenceのコアとなるエンジンをどう措定するかというときに、クラス定義の初期化じゃないけど、初期設定値やメソッドの組み込みをどう措定するかということになる。

 ま、そのあたりがわかんないとすぐに床屋談義化してしまう。

 というか、都合のいいとき、ダーウィニズム=生気論の排除、人間機械論=精神と肉体の二元論の排除、を採用する人が多いけど、なかなか人間社会の議論というのは、それに逆行していく傾向があったりするというか、そのあたりの齟齬も今回の問題に見えてくる部分がある。とはいえ、どうも欧米では先のベルカーブ論争に継続していく感じがするけど。

 

追記

 というところで池田先生のエントリを発見。

 ⇒池田信夫 blog ワトソンの不都合な真実

 さすがに問題の基本構図をきちんとおさえてあるけど、結語はやはり床屋談義的にならざるをえない感じはする。まあ、ベルカーブ論争の流れだとここまでしか現状は言えないし、ワトソンもただのボケ放言的な部分は多い。

 このあたり、この話題も終わりかな。

 さらなるヒールは登場するか?

 

追記

 これも発見。

 ⇒なぜ黒人は「知能」が低いか - 児童小銃

 いろいろ書かれているけど、元発言に言及されていないので、特に見るべき点はないか。

報道されている発言は断片的であり、彼の新刊 "Avoid Boring People: Lessons from a Life in Science" を読まないと真意がわからない可能性はあるのだが、報道に刺激されて出てくるようなありがちな論点へのありがちなコメントをつけておく。後にワトソンの主張を検証するにあたって、踏まえておかないといけない点を確認するという意味でも。

 というわけで、大枠で「留保」なのでしょう。

 でも。すぐに。

まず「知能」というのは複雑な概念で、測定したり比較したりというのは困難だ。単純な計算速度や記憶能力、パターン認識能力などについては心理学実験での測定は可能だし、訓練では越えられない個人差があるのは確かで、そこに遺伝子が関わっているのはほぼ間違いないだろう。しかし社会的な価値を生み出す能力の知的な側面を「知能」と呼ぶなら、単純な頭の回転のよさは決定的な要素ではない。

 「と呼ぶなら」あたりで、すでに大枠の議論を外した床屋談義化に進んでいるので、以下捨象。

 

追記

 ほぉ、これはジャーナリズム的に詳しい。

 ⇒tnfuk [today's news from uk+]: ワトソン博士の発言

 ただ、内容的には問題の背景が語られていないので、いきなりジャーナリズムから政治的な問題へ落下。まあ、欧米的にはそうなんで、そういう受け止め方がおかしいわけではない。

 

追記

 当のタイムズで後記があり。

 ⇒Science always has and should be open to debate - Times Online

 

追記

 ランスロさんのエントリ⇒人種と知能 - d.hatena.ne.jp/Mr_Rancelot/

 ご本人もわかって書いておられるし、私などが言えるもんでもないが、話は散漫。

 ただ、こういうと失礼かなという懸念もあるけど、この問題は、理科系的なというか実験屋さんというかフィールドワーク系というか理科系かな、の、人の考え方に随分差がでるなと思う。

 ランスロさんの文脈を離れると、折角のきかいなのに、知能と遺伝の問題を再考する契機にした人は少ない感じがする。

 

rorygallagherrorygallagher 2007/10/21 00:46 やや冷静さを欠いたはてブをした一人ですが、行動遺伝学と分子生物学をごちゃ混ぜにして発言しちゃってるのが問題なわけではないんですかね?分子生物学者がお得意の演繹的”推理”を公言したのが、まずいと。もちろん両者はどんどん接近してますが、遺伝研究と遺伝子研究の違いを指摘する人が見かけられないことに、やや戸惑っています。
ついでに言うと、行動遺伝学は集団間よりも個体間の差を研究するほうが今は主なので、ワトソン氏は行動遺伝学者にもナンセンスだと言われる予感がします。

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