日経春秋 春秋(3/12)

 些細なこと。

「お母さん生きていますよ。希望を」と語りかけた金賢姫(キムヒョンヒ)元死刑囚には真率さがあった。

 「真率さ」という表現は新聞コラムでは珍しい気がする。福沢諭吉が「人間交際の要も、和して―なるに在る」とあるが、「真率だ」はあるが「真率さ」は多少奇異な感じがする。字引を引くに用例がないわけでもない。ぐぐるといくつか出てくるが、文脈を読むとやや違和感がある。honestに近い語感として定着しつつあるのだろうか。