朝日社説 JR西日本―歴代の社長にも問いたい

 神戸地検は、96年当時に鉄道本部長だった山崎正夫前社長だけを同じ罪で起訴した。その年に現場付近のカーブを半径600メートルから304メートルに変えたにもかかわらず、自動列車停止装置(ATS)を置かなかったことを問題視したものだ。
 審査会は、3氏を「安全対策の最高責任者」と位置づけた。急なカーブに変えたのに、時速約120キロで走る新型車両を大量に導入し、余裕のないダイヤへの改定を重ねた。それで危険が格段に増したとわかったはずなのに、ATSの整備を部下に指示しなかったことに過失がある、というのである。

 ATSがあれば事故が防げた。ATS無きことが事故の原因かというと、要因なり背景であって原因ではない。原因はわからない。仮説を立てれば、JRを免責するのかと陰謀論扱いされる。