読売社説 情報収集衛星―このまま進んでいいのか

 独自の情報収集力の強化を必要だとする議論は理解できる。しかし、これだけの財政危機の時代に民生部門での役割は捨てて、このままの軌道を進んでいいのか。鳩山政権は前政権までの政策の大がかりな検証を進めている。この衛星についても納税者が納得できる説明が必要ではないか。

 とはいうけど。

 実はこれまでの運用では、当初の計画さえ達成できていない。光学衛星とレーダー衛星を各2基ずつ備え地球上全体をカバーするはずだったが、打ち上げ失敗や故障が重なり、4基体制が整ったのは6年間でわずか1カ月にすぎない。度重なる北朝鮮のミサイル発射や核実験の際も結局、肝心な情報は米国の軍事衛星の画像が頼りだったとされる。

 今後は米国を頼りに出来なくなる。