ユーミンの新アルバムが出ていた

 

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Road Show(Amazonオリジナル・クリアファイル(チケットサイズ)特典付き): 松任谷由実: 音楽
 いつもはCDで買うのだけど、今回はiTMSで好きな曲だけ買った。
 「今すぐレイチェル」とかサビはさすがだなと思うけど、曲全体の構想はちょっと受け付けないというか古い曲のようにも思う。
 「ダンスのように抱き寄せたい」はさすがの絶唱。アルバム版のほうが声質がよいように思えた。総じて、声はだいぶ戻した感じがした、ユーミン。というか、これから、新しい声の時代になるのだろう、それなりに。歌唱もちょっと変わっているところがある。
 「ひとつの恋が終るとき」はすごい曲だった。

前も見えない雨がそれぞれの道照らしてた
駅へ送っていくよ、最終電車いってしまう前に
 
ハンドルの向こうに続く君のいない人生へと急ぐよ、このまま
 
君は傘の雫と短いため息ふっと残し振り返りもしないで
すぐ階段に消えていくのだろう
 
トレンチの背中を伸ばし違う人に見えたならば
涙に滲んでぼやけて流れるけれど
 
強くなるもっと強くなれば忘れずにいられる
つらくてもきっと後になればやるせなく思える

 最初聞いたときに強い情感のなかにある混乱みたいのがあって、歌詞を追うと、運転手とトレンチの人物の男女の関係に考えこまされた。運転は女で、トレンチは男なのだろう。雨の深夜に同棲の家を捨てていくということなのだが、女にとって、今は、まだ別れる前の男といる時間で、しかし、別れたときの男はその別れの時間のなかで、違う人に見えてくるに違いない。
 昔のユーミンなら自分と恋が至上であるか、特定の誰かを思っている自分が至上であったが、ここではむしろ、自分が自分であろうとして、男との恋を忘れまいとしている。
 自分が自分であろうとしている女というのは、女がよくそう語るよりなにか異質なもので、私はそれを信じたことはない。だが、この曲聴きながら、そうでもないなあ。男にはまったくわからないつらさというのがあるものだなと思う、というか、あたりまえだろ馬鹿とか言われそうだが、失恋というのは、個別の問題でなく、恋そのものを否定していかないと男は生きていけないというのはあり、そこはまた女には通じないところ。