終風日報編集後記 政治の文脈に置き換えることは理解ではない

 オスロ事件の話ばかりで申し訳ないが、死者数が93人から76人に訂正され、ある種、感慨があった。乱射事件で68人、爆弾テロ8人であった。依然多いことに変わりはないが、我々がいかにこの事件について知らないかを知る機会でもあった。▼終風日報には上がってこなかったが、読売「ノルウェーテロ容疑者、「理想の国」日本や韓国」(http://goo.gl/YLmE8)で「「いま、最も会ってみたい人々」としてローマ法王とロシアのプーチン首相を挙げた。「次に会ってみたい人々」としては日本の麻生太郎・元首相など4人を挙げた」という報道があり、これをネット右翼とかに結びつけるツイートなども見かけた。▼容疑者はテンプル騎士団を模し、原文では教皇が筆頭にあるなら、これは異教徒の国のクリスチャンだろうくらいの想像は付かないものか。麻生太郎李明博と並べられていたが両者クリスチャンである。▼ガーディアンの社説(http://goo.gl/Yw6I5)に、私たちはノルウェーの民主主義が抱える問題よりも、容疑者の精神異常性を考えたほうがいいという主張があった。今回の容疑者は裁判が不能なほどの精神疾患ではなさそうだが、事件を政治問題に還元して理解したことにするのも現代社会の精神の歪みであろう。

朝日新聞社説 南スーダン―国造りを手助けしよう : asahi.com(朝日新聞社):社説

 これも変な社説。

 いま、現地の治安情勢はどうなっているのか。それを見極めることを大前提に、今度は部隊派遣も検討すべきだろう。いったん活動に加われば、長期化は避けられそうにないという実情も踏まえ、しっかりとした対応を考えるときだ。
 多くの日本人にとって、アフリカは遠い世界かもしれない。しかし、豊富な天然資源と10億人を擁する大陸は近年、著しい成長を遂げている。将来性を秘めた地域で、平和構築のモデルともいえる事業に貢献をすることは、日本にも有益だ。
 もちろん、求められているのは自衛隊ばかりではない。
 教育や医療、食糧自給率を高めるための農業支援、行政官や法律家など国を担う人材の育成といった文民支援は幅広い。日本が得意とする分野であり、実力を発揮できる。
 南北のスーダン間では、石油収入の分配や国境線の画定など未解決の問題が残っている。南北の対立を再燃させないよう、南だけでなく、北を含む地域全体への目配りをしつつ、新しい国造りを応援する。
 そんな国際貢献ができれば、大震災で支援と励ましを寄せてくれた国際社会に対する、何よりの恩返しになるに違いない。

 書いてて矛盾も疑問も感じないのだろうか。
 社説を書くなら、「現地の治安情勢」をできるだけ踏まえたらどうなんだろ。で、「石油収入の分配や国境線の画定など未解決の問題」が物騒な衝突を起こしかねず国連が動いているのに、「求められているのは自衛隊ばかりではない」と来る。
 そもそもこの社説、スーダンをアフガンにしても成立するありげなテンプレでしかないし。
 で、と。
 なぜこっちを社説にできなかったのだろう。
 ⇒安保理 アフリカ干ばつで声明 NHKニュース

 国連安全保障理事会は、アフリカ東部のソマリアなどで起きている深刻な干ばつについて協議を行い、現地の状況に深刻な懸念を示したうえで、緊急支援を行うための資金の拠出を各国に呼びかける声明を発表しました。
 この問題で安保理は、25日非公開で協議を行い、協議のあと、今月の議長国ドイツのウィッティヒ国連大使が記者団の前で、報道機関向けの声明を読み上げました。声明は「安保理は、ソマリア南部の飢餓状態と、周辺でも起きている栄養失調の問題について深刻な懸念を表明する」としたうえで「危機をこれ以上深刻化させるのを防ぐために、国際社会が結束することを促す」として、各国に速やか資金の拠出を呼びかけています。また声明は、ソマリアイスラム過激派組織が現地での国連の活動は認めないとしていることなどを踏まえて、現地のあらゆる勢力に対し、人道支援活動を妨げないよう促しています。