社説動向

 話題は、東電新社長と東京耐震の問題。朝日新聞でまとめたが他紙ともに同じ。なんか社説というとこう書けというマインドコントロールでもあるのかと思えるような薄気味悪い風景。
 ちなみに⇒日銀総裁「デフレの原因は成長率低下」 米で講演  :日本経済新聞

 【ワシントン=財満大介】日銀の白川方明総裁は19日、当地で講演し、日本でデフレが続いていることについて「根底には潜在成長率の低下という問題があり、その症状がデフレとして現れている」との認識を示した。成長力を高めるには高齢者や女性の就労を促し、規制緩和で経済の新陳代謝を進めることが重要として、政府の経済政策の役割を改めて強調した。
 その上で「我々は非常に積極的な金融緩和を進めている」とも述べ、デフレ脱却には構造改革と金融緩和の両方が必要と述べた。日本経済の見通しについては、海外経済の回復と東日本大震災からの復興需要を支えに、「次第に横ばい圏内の動きを脱し、緩やかな回復経路に復してゆく」と指摘した。

 そして⇒金利1%上昇なら銀行6.4兆円損失 日銀が試算  :日本経済新聞

 日銀は19日、金融システムの現状や見通しをまとめた「金融システムレポート」を公表した。国債など国内の金利が一律に1%上昇した場合、2011年末時点で、大手銀行は3.4兆円、地域銀行は3兆円の評価損が生じるとの試算を示した。1年前に比べて大手行で0.4兆円、地銀で0.3兆円増えており、日銀は「債券投資の金利リスク量が増大している」と警告した。
 銀行の金利リスクが高まっている背景は、債券投資額の増加と投資年限の長期化の2点を挙げた。保有債券の平均残存年限は大手行で2年半ば、地銀で4年程度。とりわけ地銀は長い年限の国債投資を増やしており、リスク量が拡大している。
 一方で、一時的な景気後退や金利上昇が起こっても「自己資本基盤が大きく損なわれる事態は回避される」との見方も示した。金利が1%上昇しても自己資本(ティア1)の押し下げ幅は大手行で0.3ポイント程度、地銀で0.4ポイント程度にとどまるという。海外の金融市場のショックが波及する可能性などを踏まえ「統合的にリスク管理を行うことが重要」と指摘した。
 報告書は年2回まとめている。企業倒産の減少や自己資本の厚さによって「わが国の金融システムは、全体として安定性を維持している」と指摘した。バブル経済につながるような「不均衡の存在を示唆する指標は観察されない」とも強調した。

 デフレは続くよどこまでも。

日経 貿易赤字が日本に促す改革  :日本経済新聞

 これはネタ記事ということろ。

海外経済の改善を追い風に足元の輸出は持ち直しつつあり、いずれ貿易黒字に戻るとの見方は多い。だが円高で製造業の海外移転が進み、輸出が構造的に伸びにくくなっているのは間違いない。

 日本の貿易黒字は投資の見返りなんで、そのあたりを知ってて飛ばして書かれても。

産経 【主張】原発と橋下市長 電力確保の責任どうした+(1/2ページ) - MSN産経ニュース

 率直なところ、橋下市長の主張は皆目わからない。バッシングしたい人が多すぎて雑音過多なのでしばらく様子見。

毎日 社説:東電会長内定 経営体質の刷新を急げ− 毎日jp(毎日新聞)

 これも同じ。ただ、以下はメモ。

 東電の原発は、すべて止まっている。火力発電中心にその穴を埋めるため、燃料費の負担が年間約8000億円増えるという。今回、債務超過を避けるために資本注入するが、原発の再稼働も電気料金の値上げもない場合、1年余で食いつぶすことになる。

 簡単にいえば目眩ましということ。何の目眩ましかというと、消費税アップのというところで、政府のダメさかげんが絶望的。
 この問題は賠償会社を分離し、当面は電力の部分は国営化するしかないし、それは昨年の地震数日後でわかっていたこととも同じ。

朝日 首都直下地震―燃えない街への工夫を : 朝日新聞デジタル:社説

 このテーマで朝日新聞が意味のあることが書けるわけもないと思ったが、一読して予想どおり。世間は忘れているかもしれないが、耐震偽装の馬鹿騒ぎの帰結はひどいものだった。基準からすれば姉歯氏の設計は違反であるが、社会問題としては新基準適用以前の建物の社会評価だった。
 あと、今回の地震でそのあたりに実は新データが出ていると思うが見かけたことはない。

朝日 東電会長人事―つなぎ役としての大任 : 朝日新聞デジタル:社説

 執筆しているかたもご自身、矛盾していると思っているだろうと思うので、支離滅裂な社説とコメントするもかたい。

 政府は賠償をきちんと支援する。事故の反省に基づいた原発政策と電力改革を進める。それがあいまって初めて東電は生まれ変われる。

 無理でしょ。それを無理として、次の策を進めるのが政治。ただ、郵政にしてもここまで経営というのをたたき壊した日本の政治にそれができるとは思えないが。

41 : Lesson

God goes with me wherever I go.
 
 先日ツイッターで、イエスは律法の完成者であり聖書の示す律法を理解するには膨大な知識が必要だみたいなのがあって、まあ、自分もそう思うこともあるのだけど、ご苦労なことだなとも思った。
 イエスの律法はごく単純なのである。主を愛すること、他者を自分のように愛すること(許すこと)。なにもacimを持ち出さなくても、普通に福音書を読むだけでもくっきりとわかるし、そしてそのことは、イエス安息日の主として諸規定をやすやすと破ったことや、ライ病者や売春者に接していたことでもわかる。それは言葉だけでなく、行いとしても示されている。
 聖書の総体が示すこと(イエスが律法の完成者であること)はその意味ではごく単純なことであり、その単純さを避けるための複雑さというのは、自分で作る苦悩ようなものにすぎない。
 今日のacimのworkは単純と言えば単純だし、聖書のどこからも響く普通のことのようにも思える。アブラムにもエリアにもパウロにも。ただ、その深みと理解は難しい。
 メンター本を見ると、"God is with me, wherever I perceived myself."となっていた。なるほどこのほうがより正確に捉えているというか誤解を減らすように書かれているなとは思った。威厳というか格調はないけど。
 これは、ティリヒのいう「勇気」というのとも近いのだけど、acimで圧倒されたのは、神が存在するというのは神が万能であるということで、そこはなかなか自分には受け入れがたいところだった。神の万能性といったものは稚拙なファンタジーとして随分昔に切り捨ててしまっていた。
 だが、そうではない。あなたが弱いとしても神は強いというのはパウロの啓示にもあるが、とても大切なことでもあるし、acimそれ自体の強さになっている。acimのイエスは自分の教説の強さにまったくの疑念がない。
 ワークは3.11にはじめた。悲惨な世界に自分が絶望した記念日であり、1年を空しく費やした自覚でもあった。"God goes with me wherever I go."そう言えるのだろうか。
 山本七平の息子さんが、七平に戦地に神はいたかと直接聞いた話が書簡本にあり、彼はいたと答えた。あの凄惨極まる戦地のなかで七平さんは神はいたのだと確信した、ということが、彼のある意味で屈曲した信仰の原点になっていた。屈曲というのは、あの凄惨極まる戦地なくして啓示されるものでもなければ、その啓示があの凄惨極まる戦地を前提にするわけでもない特殊性があるからだ。そして、振り返ってみれば、神は七平さんの人生を振り回した。ステパノのように総身投石も受けたようでもあった。世の正義が石を投げつける様は、イエスに倣うことを示してもいた。

まいったなぁ

 ⇒医療を基幹産業にする、という発想 - Chikirinの日記
 基本的にちきりさんのエントリーは普通に読んで終わりにしているけど、さすがにこれはまいった。

北原先生のご意見は、「医療制度どうあるべき?」に関心のある人は皆、(内容すべてに賛成する必要はありませんが)一度は理解しておくべき視点だと思います。
 
ちきりんもこういう「ユニークで破壊的で大胆で、かつ圧倒的に未来志向な思考」ができるよう、精進したいと感じさせられる本&お話でした。
 
そんじゃーね。

 本当に、そう精進したいと思っているのだろうと思う。そこがちきりんさんの美点でもある。
 なにもその次元で批判したいとは思わないし、そう誤解されるのもいやなのでためらうのだが、医療制度の問題は、会社の経営とは本質的に異なるし、国家制度の根幹に関わることなので、せめて日本、米国、英国の医療制度の骨格と歴史の概要くらいは知っておいたほうがいいと思う。