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ふぃっしゅ in the water

2015-07-23

思い込みと妄想 22 <ロータス・バース・・・胎盤を残したままにする>

心配な伯母さんからコメント欄でこんな相談がありました。(心配な伯母さん、ありがとうございます。そして承諾なしに本文中で紹介してすみません。)

義妹が10月に初出産を控えています。その時、自宅出産を希望しており、その理由が赤ちゃんのために胎盤を切らずに数日間、そのままにしておきたいからと言っています。出産自体がショックなのに、その上胎盤をすぐ切り離したら赤ちゃんの負担が大きすぎるとどこかで読んだそうです。
私にしてみれば、母親の胎内だからこそ機能していた胎盤を、出産後に赤ちゃんにいつまでもくっつけておくほうが危険なんじゃないかと思うのですが、妊婦ハイなのか聞く耳を持ちません。



その返信にも書いたのですが、この胎盤新生児につけたままにするロータスバースについては、20年ぐらい前いえ十数年ぐらい前でしょうか、何かで写真を目にしたことがありました。
生まれた新生児のへその緒を結紮(けっさつ)することも切断することもなく、そのまま臍帯が脱落するまで胎盤とともにつけておくというものです。


いやあ、本当に出産近辺にはシュールな光景の話題がつきないものです。


でも、さすがに湿度の高い日本の気候ときれい好きな日本人の間には広まらないだろうと高をくくっていたのですが、このために自宅分娩を希望する方もいらっしゃると聞いて驚きました。


どんな状態かを知りたい方は、「やまとなでしこのお産」というブログの「へその緒を切るタイミング」(2014年7月4日)の記事に写真があります。
ニュージーランドに住む、日本では助産師として勤務していた方のようです。

また、今は、へその緒をしばったり切ったりしない、ロータスバースというものも増えてきています。3日から1週間もすればとれるへその緒です。赤ちゃんの体の一部という意味でも、あえて手をださないというのもありかなと思います。



そして赤ちゃんから茶色く乾燥したへその緒が伸びて、その先にやはり茶色い胎盤がタオルのようなものの上におかれている写真が掲載されていて、こんなキャプションがついています。

自分の胎盤とへその緒を見つめる息子。
胎盤についているのはローズマリーを乾燥させたハーブです。


いやはや、シュール


たしかに、こんな希望を受け入れてくれる分娩施設は日本にはないので、自宅で出産するしかないことでしょう。


サイエンスもどきの説明を見つけた>


このロータスバースで検索していたら、MAASHというサイトに「米出産トレンド へその緒を切らず、胎盤もそのままに」という記事が<サイエンス>として書かれていました。


アメリカの最近の出産のトレンドとして、へその緒を切らない、というのが出てきたようだ。umbilical nonseveranceアンビリカル(へその緒)・ノンセーバランス(ノン切断)


これは、へその緒に繋がる胎盤(プラセンタ)をしばらく持ち歩き、自然にへその緒が切れるのを待つというもの。
パリの伝統的慣習にあるものだ。


専門家によると、多くの人は胎盤胎児が同じ細胞でできていることを認識していないという。「胎児とは別々に作られた廃棄物」というイメージがあるが、胎児と一体ということか。


へその緒は2日から10日で自然に切れる。その日まで、胎盤をつなげているとどういうことが起きるのか。


シンシナティ大学医療センターの母胎胎児医学デイレクター、ジェームズ・ヴァン・フッく博士は、胎盤を保持することによって新生児にメリットがあると述べている。まず、胎盤から幹細胞が豊富な血液を得ることができる。そして、免疫グロブリンを得ることができるのだ。


免疫グロブリン(immunogloblin)とは、新生児にとって感染から身を守ることのできる大切なもの。免疫の中で大きな役割を担っているという。


また、今のような出産後すぐの切断は、臍帯が自然に閉鎖するのを待たないため、博士からすると注意が必要らしい。


この胎盤を残す方法は"lotus birth"と呼ばれているが、当然、胎盤はきれいに保ち、汚染がないようにしなくてはならない。


博士はこの方法の選択について、両親は決める権利があると主張している。



臍帯結紮を遅らせることのメリットについて述べたことを、胎盤をつけたままにすることのメリットに使われているような印象の文章ですが、原文を読んでいないのでよくわかりません。


それにしても、「多くの人は胎盤胎児が同じ細胞でできていることを認識していない」と言われると、なんだか目から鱗な気分になるのかもしれません。


そして「○○大学、母胎胎児医学、博士」が語ったとか、「免疫」といわれるとそのまま思考停止に陥りやすいのでしょう。



こういう文章は、冒頭の心配な伯母さんのような「母親の胎内だからこそ機能していた胎盤を、出産後にいつまでもくっつけておくほうが危険なんじゃないのか」という常識的な判断を揺らがせるのではないかと思います。


自分は大丈夫・・・と思っていたのにいつの間にか、ニセ科学にはまり込むのが人間仕様なのかもしれませんね。


さて、そういえば「lotus」ってなんだっけと検索したら、Weblioでは「はす(蓮)」しか出てきませんでしたが、goo辞書ではこんなことが書かれていました。

ギリシャ神話で、その果実を食べると楽しく、忘我におちいり、故郷に帰ることも忘れるという植物。

それ以外にも、「神話」とか「伝説」とかが説明で使われていました。


また、「lotus birth」で検索すると、「子宮エコロジー」とか「世界エコロジー」とかが。
そうそう、あっち系が出処なのかもしれませんね。




思い込みと妄想」のまとめはこちら

suzansuzan 2015/08/02 13:40 ふぃっしゅさんお久しぶりです。
少し前のブログですがどうしてもコメントしたくなりました。
胎盤内にある大量の血液がすべて胎児に移行してしまうと、
血液が多すぎる状態、多血になりさまざまな不都合を起こします。
一番わかりやすいのが「黄疸が強くなりやすい」です。
新生児黄疸は場合によっては脳障害の原因になりますから
「胎盤を切り離さない」まではいいとしても臍帯は必ず縛ってほしい。

ふぃっしゅふぃっしゅ 2015/08/02 17:09 suzanさん、こちらにもコメントありがとうございます。
次の記事(7/24)に過去の臍帯や胎盤に関する記事を少しまとめたのですが、2013年2月14日の「臍帯をいつ切るかについての医学的議論」の中にも黄疸の増強について少し紹介しました。私はそういう医学的な議論の詳細はわからないので、産科の先生方の認識をこうして書いてくださると心強いです。
ところで、2013年2月15日の「臍帯を切るタイミングの自然と不自然」の中で、産科医の先生の「へその緒のはなし」というブログから、「温度変化で、臍帯血管が縮み、流れが悪くなり、血栓ができて流れなくなると考えられている」と書かれていたことになるほどと思いました。ということは少しずつ血流の中に血栓ができて、結紮をしないで長時間置く事で血栓が新生児側にも移行するリスクもあるのだろうか、という疑問を持ったのですが、この件について産科医や小児科医の先生方はなにかご存知のことはありますでしょうか?
普段当たり前のように結紮、切断している医療行為もまだまだ奥が深いですね。
まあいずれにしても、通常の医療行為になっている方法以外はまだそのリスクも未知である人体実験にすぎないというあたりかと私は受け止めています。
また、いつでもコメントをお待ちしています。ありがとうございました。

suzansuzan 2015/08/03 16:59 ふつうのお産でたとえば胎盤から採血をしたいという場合など、注射器をかまえて一生懸命採血しようとしているのに、目の前で胎盤の血管がどんどん細くなっていくのを見ました。1本の血管にまず数か所のくびれができてくびれとくびれの間にしか血液が見えなくなり、くびれの数がどんどん増えてゆくんです。だから臍帯の血液が止まる仕組みはまず血管の収縮があって、収縮した血管内に血栓ができる、という順序と思いますので、できた血栓はよほどでない限り赤ん坊に流れ込むことがないと思います。

ふぃっしゅふぃっしゅ 2015/08/04 07:45 suzanさん、私の素朴な疑問にありがとうございます。
そうなのですよね。私も臍帯血ガスを取る時に臍帯動脈があっという間に白くなるのはなぜだろうと、実はその答えも知りたくていろいろと探していました。
反対に臍帯静脈は怒張したまま血管内の残っていることが多いですね。ただこれは、すでに児側を結紮した話しなので結紮しない場合にはしばらく胎盤と新生児間をどのように循環するのだろうと、いろいろと臍帯と胎盤に関する興味と疑問があります。
あの剥離出血も母体の子宮壁の出血と胎盤循環からの両方の血液なのだろうか・・・など。でもお産の時はいつも慌ただしいので、先生たちに質問するのも忘れてしまうのですが。
胎盤と臍帯、本当に不思議な世界だと感じています。

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