「早期母子接触」ってなんですか? 6 <アメリカの帝切後の早期母子接触のお値段>

「らばQ」というサイトで「アメリカの医療崩壊に絶望した・・・『わが子を抱く』だけで請求された」海外の反応という記事がありました。


アメリカの医療崩壊や高額の請求書については何度も取り上げてきましたが、出産のときにも信じられない請求を受けるようです。


なんと「わが子を抱く」という項目で、39.36ドル(約4000円)を請求されたと話題になっていました。


請求書の実際の写真があって、以下のように書かれています。

普通に支払額は1626ドル(約16万円)と高額ですが、これは今のアメリカでは当たり前のこと。ちなみに保険等が適用されない場合は13280ドル(約130万円)。

今回注目すべき点は、「帝王切開後のスキンシップ」
1回:39.35ドル(約4000円)
つまり、生まれたばかりのわが子を抱っこする度に、毎回請求されるシステムとなっているのです。

たしかに「SKIN TO SKIN AFTER C-SEC」と書かれています。
帝王切開後の「早期母子接触」のようです。


この「早期母子接触」がいわゆる肌と肌を密着させたカンガルーケアなのか、抱っこだけなのかこの記事からだけではよくわかりません。


「1回ごとに4000円」とあるので、おそらく手術室から病室に戻ってからのことだと思われます。
お母さんが「赤ちゃんに会いたいので連れて来てください」と言って、赤ちゃんが病室に来るたびに4000円。たしかにびっくりなお値段です。


帝王切開の手術中の早期母子接触になると、1万円とか2万円ぐらいかかるのでしょうか。


アメリカの帝王切開入院の実情はほとんど知りませんが、検索すると帝王切開の入院期間は「3泊4日」と日本の半分ぐらいの短期間で退院されるようです。
ただ、入院期間がどんなに短くても人間の体の反応は同じですから、手術直後から翌日の歩行開始まではお母さん自身が身動きするのも大変なのは世界共通なのではないかと思います。
「周囲への無関心」にさせるほど手術の侵襲というものは大きいからです。


ですから、赤ちゃんを連れてきてそれでおしまいではなく、お母さんも傷の痛みの中で赤ちゃんに安全な姿勢で上手く抱っこできるように介助する必要があります。
そしてお母さんや赤ちゃんの状態に変化がないか観察の必要がありますから、看護スタッフ1人をその間留めておくためのコストが当然かかります。
カンガルーケアのような方法であれば、サチュレーションモニターも使います。


それを考えると、私たち看護スタッフの専門性への対価としては4000円は高いわけではないのかもしれません。


ただし、「お金を払って希望すればできる」のであれば、それは標準的なケアではなく、付加価値的なサービスにすぎないといえるでしょう。


「それをしなければ母子関係に影響がある」わけではないから、選択制なのでしょう。



この「らばQ」の記事でもうひとつ気になったのが、「SKIN TO SKIN AFTER C-SEC」の下に書かれている「IP LACTATION CONSULT LVL 1」で、「2 $61.96」とあります。
IPが何の略がわからないのですが、授乳に関する相談にも1回ごとに負担するコストが発生するのですね。



もう少し、このあたりのアメリカの現状を知りたいものです。



「カンガルーケアを考える」「『母子早期接触』ってなんですか?」まとめはこちら