発達する 7 <バトンを渡す>

昨年のリオオリンピックの陸上400mリレーのバトンパスは、その練習についてもスポーツ番組で観てとても印象に残りました。


競泳でもリレーの引き継ぎに力を入れていることを、競泳関係の記事でよく見ます。
わずかの引き継ぎの差や引き継ぎ方で、失格になったり勝敗が決まるのですから、本当に重要なことですね。


ちょうど40代に入る頃から初めて競泳観戦にはまり出したのですが、単に勝負としてではなく自分自身の人生とか仕事と重ね合わせて見ていました。
たとえば気持ちを切り替えるとか次の世代へ引き継ぐとか。
カテゴリーの「泳ぐ」をクリックすると、私が10代とか20代の若い競泳選手の皆さんからどれだけ学んで来たかについて書いた記事がでてきます。


「いくつになっても働きたい」の中で、「若者の道が開けないとの見方もあるが、能力のある年寄りから教わることは多い」というひと言がありました。


たしかに、さまざまな状況を経験したことで、ぱっとみて状況を判断できる達人の領域になるには、時間も年齢も必要なことがあると思います。


ただ、私が20代の頃にたとえば急速に発展した救命救急や医療技術を、私たちは難なく吸収していったのに対し、当時の40代50代の人たちはついていけなかったのだろうと、今同年代になると思います。


あるいは、今90代の父は、現代の世の中からみれば携帯もパソコンも使いこなせない化石のような年代に感じるかもしれませんが、戦後、日本の自動車社会の先駆け的な年代として運転免許を取った世代です。


どの世代でも、そういう若くて最新の技術や知識を吸収する時期を経て達人の域に入り、そしてまた超えられて行く存在になるのだろうと思います。


こんな風に受け止められるようになったのも、応援して来た競泳の選手が引退を前にしてまた次の段階へと成長されている姿から学んだと思っています。


自分の培った技術や知識をどれくらい伝えられるかと言うと、おそらく、ひと言でよいのではないかと、私自身が渡すバトンを今考えています。


私が渡さなければいけないバトンは、「お産は怖いよ」ということと、「人類は母乳だけで育ったはずはないよ」くらいかもしれませんね。
そして役割は終わったその日のために、ゆっくりと、仕事にかける比重を減らしていこうと思っています。




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