新・魚のサカナ(鯛のタイ)図鑑(引越中)

いわゆる「鯛のタイ」の写真集

40: ホウボウ

スズキ目カサゴ亜目ホウボウ科ホウボウ属
学名:Chelidonichthys spinosus (McClelland)
英名:Bluefin searobin [原], Spiny red gurnard

大分県産の全長約30cmの個体から摘出した左右の「魚のサカナ」。肩甲骨と烏口骨を分断する巨大な射出骨付き。写真右は、写真左の右側の標本の拡大図。「魴鮄のホウボウ」の形は、他のホウボウ科の魚(カナガシラオニカナガシラ)のものと基本的に良く似ているが、その中では烏口骨の『嘴』に相当する部分が長いことも相まって、全体的に最も横長な印象。肩甲骨孔は比較的小さいが、逆に烏口骨本体部の孔は比較的大きい。第1射出骨には小孔が開いているが、カナガシラ類のものとは異なりその他の射出骨には孔がない。第4射出骨と烏口骨の上方突起(『背鰭』)部の間は比較的深く湾入している印象。

ちなみにホウボウ科に特徴的な「脚」は胸びれ軟条の一部が変形したものであり、実際その付け根は射出骨に接続していた。

横から観察すると「魴鮄のホウボウ」が「弓なり」になっているのが良く分かる。



店頭で見た時からホウボウであることを疑う余地のない魚であったが、念のため「日本産魚類検索」の「鍵」を辿り、1)第2背鰭基底に小棘のある骨質板がある(写真下段左の緑矢印)、2)第2背鰭は16軟条(写真中段右)、3)頬部に顕著な隆起線がある(写真中段左の青矢印)、4)胸鰭の後端は第2背鰭中央下に達しない、5)頭は普通で体長は頭長の3倍以上、6)胸鰭内面は縁辺部が鮮青色で、内部は濃いウグイス色に青色斑が散在する(写真下段右)などの形質からホウボウに辿り着くことを確認。

ホウボウの吻は長いが、その前縁はあまり窪まない。またカナガシラ類と異なり吻棘は極めて小さい。

2011年1月に八王子総合卸売センター内、高野水産で購入したもの(当日はキロ1500円/0.38kg)。この個体は刺身に。キメの細かい素晴らしい身質で、かなりの甘み旨味があり非常に美味かった。他に煮付けや唐揚げなどにしても大変な美味。卵の煮付けもかなり美味い。


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本エントリーの初稿で紹介していた標本。煮付けから摘出したものなので、少々着色してしまっている。


(2/21/12 全面改稿および写真追加)