北欧旅日記 フィンランド編1

移動日のこの日は朝にAusuraさんに迎えに来てもらい、我々と岩崎さんとで再びGiedriusのスタジオへ行きまして。そこで岩崎さんたちは洋服を受け取り、私は張子を片付けながら荷作りをしたのですが、私がいない間もスタッフの方々がお客さんに張子を売ってくれていて、最後にはGiedriusさんもスタッフの方も買ってくれて嬉しい限りでした。とても実りのある展示になりました。
そこから空港まではGiedriusさんが車で送ってくれることになったのですが、我々のために用意されたのは赤いド派手なオープンカーで。最近買ったばかりという新車なのだそうですが、オープンカーに乗れる機会などそうそうあるものではありません。生きていると色々なことを経験するなあと思いながら颯爽とそれに乗り込み、リトアニアの風を存分に浴びながら、空港までオープンに揺られました。運転中もご陽気にコミュニケーションを取ってくれるGiedriusさんでしたが、隣を走るドライバーさんに「あれ、Giedriusさんだ〜」と手など振られており、さすが有名人なんだなーと感心してしまいました。
そんなご機嫌な感じで着いた空港でaCaeさん、千秋さんと合流し、我々一同フィンランドへびゅーんと飛びまして。フィンランド空港からヘルシンキ駅までは電車で移動だったのですが、空港内からそのまま電車に乗ったものの切符の買い方がわからず、「このままだと無賃乗車になるんじゃね?」となって、次の駅で急いで降りて何とか切符を買えたのですが、外国の公共の乗り物のシステムのわからなさたるやです。そこからしばらく電車に揺られてるうちにヘルシンキ駅に着いたんですが、驚きなのが改札がないのです。電車を降りたらもうそのまま外なので「あれ?切符見せなくて良いの?」となり。後で調べたらフィンランドでは駅に改札がなく、すべて自己申告で運賃を払い、たまにチェックに来る検札に引っかかった場合は高い罰金を払わされるそうで。これだと無賃乗車する人が多数いるのではないかと思われたのですが、これで成立しているということは悪い人はいないということなんでしょうか。無賃乗車の被害額が駅員の人件費よりも安いということなのでしょうか。日本のシステムに慣れていると切符を見せたくて仕方なかったんですけどね。正直者だよボクは〜、という感じで。
そんな感じで着いたヘルシンキ駅前からタクシーに乗って宿に向かい(値段を先に確認するという知恵は地獄タクシー以来学びました)、着いたレトロな建物はアパートメント形式のホテルで。今回は広めの部屋を私とあやと岩崎さんとあやこさんでシェアするという、ちょっとした共同生活な感じで滞在するのです。(フィンランドは物価が高くホテルも高騰しているので、こういう形式の方が安く済むのだそうです。)荷物を置いて部屋の中をチェックして、取りあえず夕飯を買いに行きましょうと外に出てみると思いのほか寒く。6月だというのに初冬の如き肌寒さなのです。そんな寒さの中をぶらぶら歩いたのですが、さすがフィンランドという感じの素敵な建物が建ち並んでいるのです。「まるでジブリの映画の舞台のようだ」とここでもまた思った次第です。すぐ近くにはムーミンの作者の生家もあるらしく、どの建物もフォトジェニックで。ふくろうや魚や猫など施された意匠も可愛くて洗練されており、日本家屋との違いを実感しました。
取りあえず近くに中華料理屋があったのでテイクアウトで何か買えないかと入ってみると中国人の団体さんでいっぱいで、あれ、ここってフィンランドじゃないの?中国だったっけ?という一瞬不思議な気分になりつつ、テイクアウトはやってないとのことで外に出て。調べたら最寄りにスーパーがあるようなので、そこで何か買えば良いかと歩いてそこに向かい。結局このスーパーでこの日の夕食分と次の日の朝食分の食材も買い込んだのですが、ラトビアリトアニアに比べると本当に物価が高いのですよね。缶ビールなんかも3倍くらいの値段が付いており。そこで買い込んだものを部屋に戻って調理し(ちゃんとキッチンも付いているのです)、わいわいとみんなで楽しく食べました。我々、しばしの間は同じ家に暮らす家族のようなものです。(フィンランド滞在中は結局外食せずにずっと部屋で食べることになりました。)
食後に草テンの練習もしたのですが、相変わらず岩崎さんが演奏に苦戦しており、ライブは果たしてうまくいくのかしら、張子の展示も大丈夫かしらと少々不安に思いながらフィンランドの初夜を過ごしました。いよいよ明日は張子の展示と草テンライブ本番なのです。