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藤井啓之ハイパー研究室本館

2011-10-07

人の足を引っ張るんじゃなくて、自分のできることをやろうよ

先日、知人の紹介で、レイバーネットTVというものに出演した。テーマは、大阪橋下知事。維新の会とともに、教育基本条例などというとんでもない条例を提出したのだが、番組の中で私に与えられた役割は、なぜ橋下知事の支持率が高いのかという分析だった。

そこでの主張についてまとめておきたい。

一番主張したかったのは、橋下知事は、学力テストの成績を上げたいなら、教育委員会や学校や教師バッシングを扇動したり、学校間競争、教師間競争を激化させるのではなく、国内有数の大阪貧困問題を解決するのが筋でしょう、ということ。

番組で示した図を掲載する。学力テストの結果と貧困率が関係することを示そうとしたのだが、都道府県別の貧困率のデータはどうやら存在しないようなので、厚生労働省から、生活保護率に関するデータをとってきた。それと同じ年の学力テストの中学校の結果の都道府県別順位と関連づけてみた。なぜ中学校かというと、貧困は雇用問題と関連しており、雇用の見通しがなければ、学習意欲も湧かないということが想定されるからだ。

ついでながら、学力テストで計測されるのが学力と言えるかという大前提の議論があることは承知している。今回は、橋下知事が順位を上げたい学力に依拠するからこそ、橋下知事のやるべきことは違うでしょう、と言うために、学力の中身は問わないこととする。

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もちろん、単純に生活保護率と学力が正比例するわけではない。都市部と村落部の違いなど多様な問題が絡んでいる。しかし、多少のでこぼこはあるにしても、生活保護率が高い都道府県では、概ね学力テストの順位が下位となり、生活保護率が低い都道府県では、学力テストの順位が上位に来ている。

だから、橋下知事が学力テストの順位を上げたいのなら、日本でワースト1の生活保護率をなんとかすることが、知事本来の仕事だろうということだ。

しかし、なぜ、本来やるべきことをやらずに、教員や公務員をバッシングする橋下知事の人気があるのかということを考えなければならない。

これに関しては、隣の芝生は青いと言うが、貧困に陥ると、身近で自分よりちょっと豊かに見える人に、自分と同じような苦しみを味合わせてやりたい、という貧しい気持ちになってしまうということがあるだろう。まさに貧すれば鈍するである。

表にある大阪の生活保護率の急激な伸びに注目していただきたい。貧困が進んだのは、派遣労働法の度重なる改悪等で、大企業が労働者を正社員として雇用せず、多くを派遣やパートに置き換えていったからだ。正社員も決して楽なわけではないく、派遣やパートよりはマシだろうということで、長時間過密労働でも、低賃金で我慢させられてきた。だから、この10年ぐらい、庶民の給与所得は下がり続け、逆に大企業はあのバブルの時代よりもはるかに多くの内部留保をため込んできたのだ。

本来、貧困になったのは大企業がもうけを独占したからであって、貧困の人々の怒りはそこに向かうべきなのだ。しかし、大企業の味方である橋下知事は、そこに怒りが向かわないように、身近なところに敵を作り出し、庶民同士に足の引っ張り合いをさせているのだ。

さらに、橋下知事は、中韓批判の急先鋒でもある。これも政治家の常套手段だ。貧困問題に象徴されるように内政に問題があるときに、庶民の目をその問題からそらさせるために、周辺国の悪口を言うのだ。この論理にも庶民は乗っかりやすい。なぜなら、貧困で自己肯定感が低くなってくすぶっているときに、何の努力をすることなく、日本人であるということだけで自信を持ち、偉そうに批判する側に回れるからだ。

人々を貧困に陥れておいて、その怒りを貧困な者同士のいがみ合いに誘導したり、周辺国への差別意識を煽って貧困な自国の政策を支持させていく。見事な作戦ではないか。

前回のブログ記事にも書いたが、アメリカではウォール街占拠デモに見られるように、貧困層の富裕層に対するデモが広がりつつある。正しく敵に向き合っているわけだ。これこそがただしい怒りの使い方だろう。

ところで、一昔前に、学力低下論というのがあった。子どもたちの学力はデータを見る限り決して低下しているとは言えないのだが、子どもの学力が低下したと大騒ぎになった。もちろん、政府やマスメディアによる誘導によるものが大きいのだが、これに国民の多くが飛びついたことに関しても、橋下支持と同じような問題が見いだされるのではないか。

まず第一に、「近頃の子どもの学力は低い」と言えば、大人である自分たちは偉かったと思い込める。自信をなくしている大人が、自ら努力することなく、自分が上だと思い込めるのだ。

さらに、「現在自分たちが貧困なのは、日本が国際競争で遅れているからだ」という心理もあるかもしれない。このことが、学力低下論と重なって、子どもたちの学力を上げないと日本が大変なことになる、という危機意識を持たせているのかもしれない。

しかし、日本の大人は、世界的に見れば、科学的教養が低く、科学的発見などについての関心が低いという調査結果が出ている。自分が偉かったと思い込んで溜飲を下げたり、子どもたちを国際競争を勝ち抜くための学力競争に参戦させるのではなく、生活を豊かにするために大人には何が出来るか、なにをすべきなのかを、まず大人が考え、実行しましょうよ。

それなくして、豊かな日本はやってこない、っていうか日本終わっちゃうよ、私はそう思う。

emiemi 2011/10/08 11:49 貧困な者同士のいがみ合いに誘導したり>周辺国への差別意識を煽って>・・おっしゃるとおりですね。情けない限りです。ハシモトの教育基本条例案だけは何があっても阻止しなければいけません。日本国民の民度が試されると思います。ハシモトを見ていて思い出すのは昔、夏休みになると夏季学校(ハギハッキョ)と称して在日朝鮮、韓国の子供たちに朝鮮半島の歴史、言葉、歌、遊び、料理など伝統文化をボランティアで教えていた日本の小学校教師の事を思い出します。数人いた中のひとりの先生に「先生は何故、一生懸命にこういう事をされているんですか?」と質問をしてみました。常にいじめにあってる在日の子供たちへの同情心かと思っていたのでが、するとその先生は「日本人として誇りを持ちたいからです」と答えられました。他の先生からは「そんなに朝鮮が良いなら朝鮮に行け」と言われることもあるそうです。彼は日本の中に潜む貧しい心を持った人たちと戦っていたのだと思います。彼は私が最も尊敬する先生です。ハシモトの教育基本条例案はそんな心ある日本の誇るべき先生を排除する条例です。今あの先生たちはどうしていらっしゃるのかと気になります。

fjhiro3fjhiro3 2011/10/08 13:24 コメント、どうも。異文化と共生できない自文化なんて脆弱ですよね。それに、そもそも歴史的には、同根の文化だし、それぞれがどう発展して、今後どう変わっていくのかを見据えることもできず、現在の文化で足踏みして満足しているようでは、どれだけ日本文化に対して造詣が浅いのか、ってことですね。

UnknownUnknown 2011/11/17 17:37 > しかし、なぜ、本来やるべきことをやらずに、教員や公務員をバッシングする橋下知事の人気があるのかということを考えなければならない。

バッシングじゃなく、普通に相手をしてるだけ。
で、話が通じないからまともにしようとしてるだけだ。

> しかし、大企業の味方である橋下知事は

いま橋下氏がもっとも敵に回しているのは関西の大企業や経済界の連中だというのがもっぱらの見解です。
少し調べれば分かると思いますが。
味方ならなんで関電に喧嘩売るんでしょうかね。

> 人々を貧困に陥れておいて、その怒りを貧困な者同士のいがみ合いに誘導したり、周辺国への差別意識を煽って貧困な自国の政策を支持させていく。見事な作戦ではないか。

針の穴のような視野で、自分の利権にしがみつくのはそろそろやめにしたいもんですね。
子供たちの未来の為にも。

fjhiro3fjhiro3 2011/11/17 18:45 本人があれで普通に相手をしているとすれば、橋下さんは、少なくとも教育について、あまりに勉強不足ですね。

大阪の学力が低いのは、教師のせいではないのは、このエントリーを読めばわかるはずですが。それを、学校間競争を煽れば解決すると思っている段階で、アウト。そして、教育から競争を排除している北欧が学力が高いことも、少し調べればわかることです。橋下知事が、論理的でも、科学的でもない話を持ち出してくるんだから、話が通じるはずはありません。

それから、日本語を正確に書いてくださいね。「橋下氏がもっとも敵に回しているのは関西の大企業や経済界の連中だというのがもっぱらの見解」というのは誰の見解ですか? あなたの見解ですか? それなら見解の相違ということで、おしまいです。

具体的にデータを出せば、大阪の府と市の再編は、橋下氏が言う前から関西財界が計画していたものです。それによって大規模開発がやりやすくなるだけで、財界にとってはおいしい仕組み。だから、大阪都構想には大賛成です。空港ハブ化、大阪リニア構想など、金儲けにつながりそうなら、橋下氏とタッグを組むというのが、基本的姿勢です。



一部ネットで自民党が橋下に対立していることをもって財界は反橋下のような言説が流れていますが、財界と自民党はイコールではありません。財界にとっては、自民党でも橋下でも、利用できればなんでもよいのです。自民党は、橋下に利権をとられたくないから反対しているだけです。あなたも、もう少し調べればわかると思いますが。まあ、調べるだけでなく、資本家と政治家の関係についての基本的知見をもってないと、見えるものも見えてこないとは思いますが。

ちなみに、関電に対する喧嘩は、彼の得意のポピュリズムゆえでしょう。世間で反原発の声が高まると、敏感に反応して、そういう層の支持を取り込みたいのでしょう。

ちなみに、私は、公務員ではありませんので、残念ながら、あなたの想定とは異なり、自分の利権にしがみついているわけではありません。教育基本条例のようなものが実現したら、本当に子どもが不幸になるから、反対しているだけなのであしからず。

UnknownUnknown 2011/11/18 00:32 ↑を書いてみて、結局ご返信いただいた内容が自己を弁護する内容に終始しててがっかり。
自分がどれだけすごいかを主張しつつ、つっこみを入れられると、理論を振りかざしながらのらりくらりと全く仕事を進めない社員を連想してしまう。

(あと他人が書いていることを「見解の相違」で片付けてしまうのなら、誰がどう言ってもそれで片付いてしまうと思うのだが・・・)

世間的には↑で書いたような、ブログ主からしたら・・・な内容を考えている人もいると思うが、じゃあそんな連中をどうやって自分の主張する方向に進めるのかがまったく見えてこない。

仮に言ってることが正しいとしたら、早く行動すればいい。
橋下が言ってることが間違ってるなら、分かりやすく「何がダメ」→「じゃあ代わりにどうするか」をタイトルあたりにでも書けばいいのに。

結局橋下が支持されるのは「赤字」→「黒字」という分かりやすい行動を実践してるからだ。
それが事実上どうであれ、それを世間に伝える事で自分のやりたいことをやってるわけだ。
仕事の結果を出している。

別にブログ主を公務員だとは書いてないが、少なくとも教育にぶら下がってる人ではあるんではないだろうか。
どうでもいいけど。

福島第一でもそうだが、原発(教育)のことを詳しく研究してる連中はテレビや会議室で、あれは駄目だ、これは駄目だと言ってるがなにもしない(してても見えない)
正しいことや、正しいやり方を言ってるのかもしれんが意味が無い。
本当に意味があるのは今現場で動いて結果を出している人達だけだ(大阪を変える、という意味で)

fjhiro3fjhiro3 2011/11/18 12:12 正しく日本語を読んでください。「もっぱらの見解っていったい誰の見解なのですか? あなたの見解なら、その見解を裏付ける何の根拠もないでしょう? 根拠があれば出してください」と言う意味です。行間を読めてますか?

あなたの決定的な間違いを指摘しておきましょう。
橋下氏は大阪府の財政を黒字にしたとメディアを通じて豪語していますが、少し調べればわかるように、粉飾決算でごまかし、実際は800億円以上の赤字で借金を増やしています。大阪府の外部監査人からも「不当な財政操作で是正すべきだ」という報告書が出されています。

橋下が財政を健全化したというウソを信じている人がとても多いので驚きです。橋下氏は「嘘も100回言えば本当になる」といったナチスのゲッペルスの言葉を地でいっているのでしょう。この点でもファシズムに親和性ありです。

他方、大阪市の平松氏は、大阪市の借金を減らしています。

これが「事実上どうあれ」、「仕事の結果を出している」というのなら、間違ったことをやりまくって、借金を増やして、子どもたちを苦しめても仕事をしていることになる。そんな仕事なら、むしろやらない方がマシだというのが正常な感覚だと思うのですが…。

何もやっていないというのは、あなたに見えていないだけではないですか。たとえば、長期低線量被曝の影響を研究して公表する人がいなければ、「安全です」という大本営発表ばかりが世の中に流通し、避難すべき人が避難しなくなって健康被害を受けてしまう。あるいは、原発の利権構造を世間に知らせなければ、政官財が、国民の安全を犠牲にして公共料金から甘い汁を吸い続ける構造を温存することになる。

これに歯止めをかけるだけでも、大変な仕事ですよ。

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