オーラルヒストリーの会第9回例会

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日 時■2005年12月4日(日) 13:00〜17:00
場 所■京都大学大学院人間・環境学研究科棟・地下会議室 アクセスは→こちら
主 催■オーラルヒストリーの会
報 告■
■第1報告『生徒指導の語り:中学校教員はなにを体験するのか』
  松嶋秀明(滋賀県立大学人間文化学部)
    司会:荒川歩(立命館大学人間科学研究所)
■第2報告『障害の意味の長期的変化と短期的変化の比較研究:脊髄損傷者のライフストーリーに関する博士論文から』
  田垣正晋(大阪府立大学人間社会学社会福祉学科)
    司会:安田裕子(京都大学教育学研究科)
■参加費は無料です。どなたでもご参加いただけます。予約はいりませんので自由に直接会場にお越しください。
 
懇親会■報告者を囲んで、開場近くで懇親会を予定しております。(18:00〜)
 
内容紹介■
■第1報告『生徒指導の語り:中学校教員はなにを体験するのか』【報告概要】
 本報告では、中学校教師、なかでも生徒指導にかかわった教師たちが、生徒をいかなる存在としてとらえ、自らの関わりをどのように意味づけているのだろうかという問いに答えるべく、教師へのインタビューから解釈的な探求を試みた。語りの内容を総合すると、
(1) 生徒を集団の一部として/個人としてとらえる視点軸、
(2) 生徒を教師に比べて未熟な存在として/生徒を教師と対等な存在としてとらえる視点軸
という、2つの相互に矛盾してみえる視点に言及していた。なかでも教師がそれぞれの生徒とのかかわりのなかで重視しているのは、「人間的なつきあい」と称される、生徒への半ば対等な関わりである。そのことは教師に葛藤を感じさせることもあれば、重要な思い出として本人の指導観を大きく左右することもある。また、この軸は明確な境界というよりも、教師の実践のなかでその都度、ゆれ動くものである。そして、こうした揺れをふくみつつ、教師が対話的に生徒にかかわることで、生徒からは次第に「動かない/不変の」対象として体験されること。それが、生徒にとっては結果的に肯定的に評価され得ることが、仮説として示された。
【報告者紹介松嶋秀明:滋賀県立大学人間文化学部・専任講師
■第2報告『障害の意味の長期的変化と短期的変化の比較研究:脊髄損傷者のライフストーリーに関する博士論文から』【報告概要】
 本研究は、脊髄損傷者のライフストーリーから、受障期間の長い者と短い者とにおいては、障害の意味づけにどのような違いがあるのかを検討した。対象は、受障期間が15年以上になる者(以下、長期)10名と、7年以内の者(短期)14名である。筆者が半構造化面接を各々に行い、KJ法(川喜田,1967)を参考にして分析した。結果としては、第1に、受障期間が長くなるにつれて、肯定的意味づけの内容および比較対象が増えた。さまざまな生活文脈を生きて行くにつれて、意味づけも複雑になると考えられた。第2に、受障期間が長い者のほうが、受障しない場合の自己を基準にして、現状の肯定的側面を語る傾向があった。肯定的意味づけは、受障前の自己だけではなく、受障しない場合の自己を基準とするほうが、障害との因果関係の顕著になると考えられた。第3に、障害に伴う不利益の特徴としては、長期、短期の話し手双方が、能力障害と社会的不利があると語った。第4に、長期の話し手には、受障後の生活のプロセスの評価を一旦見直して修正する意味づけがあった。第5に、受障期間が数年以上の人に見いだされる特徴として、障害者と健常者との間に区分がないとする意味づけがある。以上から、受障期間が長くなるにつれて、話し手は新たな不利益に遭遇しながらも、新しい肯定的意味づけを見いだしたり、1つの肯定的意味づけを多面的にしたりしているといえるだろう。なお、本研究は博士論文の一部である。
<キーワード> 障害の意味、脊髄損傷、ライフストーリー、
【報告者紹介】田垣正晋:大阪府立大学人間社会学社会福祉学科・ 講師
コーディネーター■やまだようこ(京都大学教育学研究科)
共 催■科学研究費プロジェクト:フィールドの語りをとらえる質的心理学の研究法と教育法 詳細は→こちら
問合せ■「オーラルヒストリーの会」事務局(京都大学国際交流センター 蘭研究室)
E-mail:araragi※@※ryu.mbox.media.kyoto-u.ac.jp
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Fax:075-753-2562
 
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