「メジャー」を生みだす 感想

堀田純司「「メジャー」を生みだす マーケティングを超えるクリエイターたち」、角川oneテーマ21

個人的には、「期待していたものと違った」感が強いです。

前書きで、「メジャーとは少年ジャンプである」みたいなことが書いてあって、少年ジャンプになるためにはどうすればいいのか、みたいな分析を期待していたのですが、

実際に本書に登場するのは、インディーズだかメジャーなのだかわからないような音楽バンドの人だったり、浅野いにおさんだったり、少女まんがの作家さんだったり。

メジャーって、何でしょう。


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私見では、「メジャー」と「マイナー」の間に、「マイナーだけどそのジャンルではメジャー」みたいな立ち位置があると思っていて、
本書に登場する人たちは、その「ジャンルの中ではメジャー」な方々だったのではないかしら。

浅野いにおさんとか、まんが読みをこじらせると一度は通過する作家さんだと思いますが、
「まんが好き〜、わんぴーす超おもしれ〜」とか仰っていそうな「メジャー」読者が浅野いにおさんをどれだけ読んでいるものかしら。

年末の人気投票ランキングみたいなのに入るような作品群とか、今なら「ダンジョン飯」とかもそうだと思いますが、
まんが好きの中ではそれなりに名前が通っていたりしても、わんぴーすさんを好まれていらっしゃるような方々との間には断絶があるような気がしています。

個人的にはいろいろとこじらせてるせいでメジャーに対するコンプレックス(劣等感)とかアレルギー(拒絶反応)みたいなものがあって、
職場の飲み会とかで、「まんが好きなの?、どんなの読むの?、わんぴーすおもしろいよね。」、とか話しかけていただいても、あ、はい、わんぴーすさん読んでませんごめんなさい、みたいにいたたまれない気持ちになることも、しばしば生じるわけです。



アーティストやクリエイターを自称なさる方々が「メジャー」をひとつの指標にすることはわかりますが、
だからといってそれが「メジャー」に結びつくかというと、必ずしもそうはならないはずで、
もっと外的な要因が大きいのではないかと思ってしまいます。

あ、本書に登場する方々を貶める意図はなくて、単に、本書の題意と内容との齟齬を感じた、程度の意味合いです。