降臨

なにか明るい。 夜明け前にキャンピングカーが電気を付けて登山の準備をしているのかと思ったら夜が明けていた。 いや〜〜、飲みすぎて少々頭が痛いが気分は悪くない。 昨日のバーベキューの後片付けを行った後、荷造りをして予定通りの7時出発。カントクのiPhoneをエイプのインバーターに取り付けて充電をセットしてから瓶ヶ森林道を走る。


瓶ヶ森林道は30年前と違いいまでは完全に舗装されており非常に走りやすい。 伊予富士を抜けて東黒森岳に差し掛かった処で森林限界でクマザサに覆われた山々が目に入ってくる。 いや〜〜、クマザサに会うのは何年ぶりだろうか? そんな思いで瓶ヶ森林道を走り自念子ノ頭を抜けたところで西黒森から雲の滝が落ちているではないか! 近づいて写真を撮っていたらカントクがついてきていない。 転倒でもしたかと思い、あわててUターンしたら自念子ノ頭を抜けたところでこの雲の滝に見とれているではないか。 あまりにも美しい風景に心を奪われたそうだ。 本当にめったに見ることのできない素晴らしい自然のなせる技だ。 しばし時間を忘れて二人でこの様子に見入っていた。 カントクがぽつりと「神々の降臨だぁ!」と呟く。 以前、石鎚に訪れたときにはオーラを感じることがなかったそうで、石鎚を舐めていたとか。 ところが今回この林道を走ってそれが大間違いであったと気付いたそうだ。

ここからの風景も素晴らしく、瓶ヶ森、子持ち権現と美しい風景が続く。 土小屋に到着してやっと人ごみに出会うが、どうもしっくりこない。 人が多すぎてまるで銀座のようだ。 登山ブームもいいが、ここまで人が増えると山の自然を保つことが出来ないのではないか? そこそこが一番だ。
瓶ヶ森林道を後にして石鎚スカイラインに入り面河方面に進む。 このスカイラインからは石鎚山槍ヶ岳のように美しくそびえる姿を見ることが出来る。 面河に到着したらなんと料金所がないではないか!? いつの間にかスカイラインは無料になったようだ。 瓶ヶ森林道の舗装と言いスカイラインの無料化といい、まったく浦島太郎になったような気分だ。

四国カルストと降臨??

ここからは四国カルストに向かう。 もみじラインを抜けて国道494号線を走り県道212号線から国道33号線に入り南に下る。 軽快に走っていると目の前に大きなループ橋が飛び込んでくる。 谷間に掛けられたループ橋はそれは見事な建築物だ。 このループ橋を渡って国道440号線に入りさらに山間の道を進んで行く。 これでも国道か?という狭いタイトな道を四国カルストに向けて登っていき、四国カルスト入口についたところで一休みだ。
カントクと仰向けにひっくりかえって空を見上げながら休憩だ。 連続走行でお尻と腰が痛い。 やっぱり年かなぁ、なんて話をしていたら、女性ライダーが駆るXRモタードを筆頭にして男性が乗る2台の改造スパーカブが通り過ぎる。 荷物は全てスーパーカブが背負って走っている。 カントク曰く、「女王様とその僕(しもべ)ライダーだ!」 これには爆笑!! まさにその通り。(^_^; そんな馬鹿な話をしながら、何の気なしに後輪のタイヤを見ていたらズバ!!っと釘が刺さっているではないか!! コーナーで少し後輪が流れるなぁ、と思ったらパンクだった。(T_T) ただ、チューブレスのおかげで空気は6分目以上入っている。 瞬間パンク修理材を持っているが、これを使うと後が大変なので、そのままスタンドまで走ることにする。
四国カルストに入ったところのレストランでカントクが「うんこが降臨してきた!」と言いながら、トイレに駆け込む。 なんと水洗洋式ウォシュレット付きのトイレだ。 カントクが快腸にうんこを降臨させている間、バイクの横でこれからの道筋を確認していたところ、女王様とその僕ライダーが売店から出てきた。 歩いていても女王様が先頭♪ 思わず笑ってしまったフラリーマンだった。 その少し後でモンキー3人組がやってくる。 これも女性ひとりと男性ふたりなので、僕ライダーかと思ったら残念! 女王様ではなくXXXであった。 外観も中身もあれでは少々悲しい・・・。(^_^; とか何とか一人で妄想をしていると、カントクが降臨から帰ってきたので、寒風山を出発した際にインバーターにセットしたiPhoneを取りだしたところ、全く充電が進んでいなかった。 (T_T) やはり出発を繰り上げて、やっつけ仕事でバッテリーを乗せたので何か接続間違いがあったのだろう。 カントク、ごめんね!(帰宅後チェックを行ったところ、原因は回路ミスではなくインバーターの故障だった。 980円の安物はダメだった・・・。)
 
それにしても四国カルストの牧歌的な風景は、ここが日本ではないような気持ちにさせてくれる。 遥か北に今日走った石鎚山系が見える。 あんな遠くからここまで走ったのかと思うとバイクの偉大さに感激!

パンクときく屋のチャンポン

釘の刺さったタイヤをかばいながら四国カルストを後にする。 宇和島に抜ける側の下りはきれいに整備された広い2車線の林道で快適だ。 タイヤの方は大きな問題はなくそのまま走ることが出来る。 途中いくつかガソリンスタンドを覗いたが、日曜日という事で人がいない。 宇和島に入る手前で開いているガソリンスタンドを見つけたがおばさん一人で店番をしており、パンク修理は出来ないという。 ここで少し空気を追加して宇和島まで走ることにする。 しかしこの空気を追加したのが裏目に出てしまった。 釘が動いて空気がどんどん抜けていく・・・。(T_T) 宇和島に入る直前の下りではカーブで後輪が流れて怖い怖い!!
なんとか「きくや」まで到着。 ここでチャンポンを食べてからスタンドを探そう! という事できくやに入る。 ここは、嫁の実家の近くなので、帰省した際には必ず食べにくるお店だ。 有名店なので、相変わらずの行列で30分待ってやっと席に座ることが出来た。 ここから待つこと10分。 やっとチャンポンだ!! 朝飯を食っていなかったためこれがうまいうまい! いつも食っているチャンポンが違うものみたいにうまい! 今回の旅行は食いものは大成功かな!?

と下界の暑さとチャンポンの暑さで汗だくになりながらバイクに戻るとなんと後輪がペッタンコではないか!! (T_T) こりゃ10mも走れそうにない。 そこでカントクがこの周辺をサーチして、「ホンダ・ヤマハ」の看板を50mほど南に見つけてくれる。 取りあえずそこまでバイクを押して行ったがシャッターが下りて完全にお休みだ。 しかし手押しの空気入れがある。 ここでカントクとフラリーマンが頭を巡らせて今手元にある物でパンク修理に入ることにする。 
まず釘を抜いてみる。 するとびっくり! 長さ5〜6cmはあるコンクリート釘が出てきた。 こんな大きなものが思いっきり根っこまで刺さっていたようだ。 次に穴を埋めるゴムを自転車屋の周りを探すがチューブの欠片もない。 するとカントクが荷物を括っている平ゴムを切って穴埋め用のゴムとして提供してくれた。 これを瞬間接着剤をたっぷり塗った穴に二つに折り曲げて六角レンチで突っ込み、さらに隙間を瞬間接着剤で埋める。 3分ほど接着剤が固まるのを待って空気を入れて仮の修理は完了♪ さすが、現場慣れしているカントクと山屋さんのフラリーマンだ。 あるものでなんとかしてしまう能力はサバイバルに通じるものがある。

和霊神社と多賀神社

これで取りあえずは一安心と、宇和島城を下から見た後、和霊神社に向かう。 ここは宇和島では一番ありがたい神社だそうだ。 お賽銭に瓶ヶ森林道で拾った5円玉を投げ込み、「幸せな一生が長く続きますように」とお願いする。 (x_x)☆\(ーー; ビシ!! 次は秘宝で有名な多賀神社だ。 ここは、XXXで△△△。 そして□□□□が、☆☆☆☆だった。
神社巡りで神聖な気持ちになった二人はダイキと100均、吉田のフジ、シンバシで今晩の夕食の材料を買い集める。 今晩のおかずは、南予名物のじゃこ天とシシャモに手羽元とちょっぴりさっぱり系だ。 嫁の親戚に出会わないか少しドキドキしながらの買い物だった。 (^_^;

明浜の海水温泉

予定では三崎町まで走るつもりだったが、多賀神社でエネルギーを使い果たして疲れたので明浜の海水温泉に変更することにした。 海岸線ではなく山からミカン畑を見るために法華津トンネルを抜けて明浜に向かう。 峠では逆光ではあったがなかなか素晴らしい眺めだ。 峠から山を下り海岸線を走って明浜へ。 最近出来たばかりだそうで施設も新しく、家族連れのキャンパーで満員状態だ。 ここでキャンプはきついので、ちょっと山道に入って石切り場の資材置き場でキャンプすることにした。 そのまえに「温泉」だ♪ ここの浴場は非常にきれいで眺めも抜群! その上人情にも厚い。 受付でダメもとでiPoneの充電をお願いしたら快く引き受けて頂いたのだ。 温泉でゆっくり心と体の疲れを癒やしてから資材置き場に向かう。 やはりツーリングには温泉は欠かせないと確信する。 資材置き場ではテント2〜300張りは出来ようかという広場を二人で独占して気分が良い。 しかし、湿気と暑さと蚊には参ってしまった。 下界では山の中のようなわけにはいかない。 今日は雲も出てきて星は見えない。 そんな中でも、風呂上がりの渇いた喉と今日のツーリングでの興奮のおかげで宴は進む♪ じゃこ天も魚も鳥も美味い、うまい! こんな調子でだいぶ出来あがってきたところで突然雨が降り始めるではないか! あわてて濡れると困る物を片付けてテントに飛びこむと、雨脚はだんだん弱くなり「これはやむなぁ」と一言しゃべったあと、2秒で爆睡に入ってしまった。(とカントクが言っていた。) なんと幸せな寝付きだろう。