山ごもり(2月24〜25日)

会社の同僚と週末山に入ることにになっていた・・・が、諸事情で今回はフラリーマンの単独行となった。 一人歩きは慣れているので決行で問題ないだろう。 早朝4時起き。しかし、雨が振っているではないか・・・。 (T_T) まぁ、明日は晴れるとの予報なので取りあえず出発! 登山道までは、車が入れない道もあるため、車〜エイプと乗り継ぐ。 最初からエイプで出かけるには寒すぎるので、こんな時には、ステップワゴン+エイプは強力だ。
車止めでは小雨になりエイプに乗り換えて無事登山道入り口まで到着。 雨に濡れてスリップしやすくなった道を注意しながら歩く。 久しぶりの山中。 雨のせいでむせ返るような土の匂いが懐かしい。 ビールとお酒たっぷりの30kg近くある重たぁ〜〜いザックを担いではいるが、チャリ通勤のお陰で足取りは軽い。 山の風景や、沢の水音を楽しみながら歩いているとあっと言う間に1時間が過ぎてテン場に到着。
到着直後、急に雨脚が強くなり慌ててテントを広げる。 あ!グランドシートがない!? 仕方が無いのでそのままテントを張ってテントの上にフライを被せる。 このテントにはバスタブがあるので問題ないだろう。 しかし山では忘れ物一つで命に関わることもあるので注意が必要だ。 テントに腰を下ろして持ってきたお弁当を開いて、フライにパラパラと落ちてくる雨音を肴にビールを一本! これこれ! これがやりたくてここまで苦労してやってきたというものだ。
30分ほどテントで休んでから、デイパックにお昼ごはんの焼きソバとビール、雨よけのフライにガスストーブなどを入れて再出発! 岩場を歩き、山道を登ると次第に景色が変わってくる。 今までほとんど見えなかった雪が道端にも見え始める。 山道が雪化粧で美しい。 沢には小さいながらも氷柱が現れ始める。
そんな風景を楽しみながら歩き続けること約3時間。 なんとか目的地に到着♪ ここは展望はいまいちだが、木々の囲まれた周りの自然が美しい。 雨が少々強いので、木にツエルトのフライを括りつけてタープ代わりに使う。 沢の水をコッヘルに入れてスノーピークの超小型ストーブでお湯を沸かす。 ストーブのガスは、1本100円のカセットコンロのガスをチャージしたものだ。 普通、これだけ気温が低いとこの安物のガスでは火力が弱いが、自作のガスボンベブースターを取り付けているので2分もすると火力が強くなってくれる。 
お湯が湧くまでは、ソーセージを食べながらビールを一口♪ う〜〜ん! 至福のひとときだ。 昨晩、カップ焼きそば用にキャベツと豚肉を炒めて持ってきている。 これを、コッヘルの上に乗せてお湯と一緒に温める。 ソーセージがなくなったところでお湯が湧きカップ麺に注いで3分待ち。 出来上がった焼きそばに持ってきた具を入れれば超豪華なお昼ごはんの出来上がり。
具沢山な焼きそばを食べながら2本目のビールを開けると、雨がいつの間にか雪に変わっているではないか。 どうりで風が急に冷たくなってきたと思った。 先日、娘の引越しの際に痛めた左肘が寒さで再び痛み始める。 自分では若いつもりだが、かなり体も衰えている。 そろそろ自覚が必要かな? などと取り留めもないことを考えながらフライの下で雪見酒(ビール)。 天気が少々悪くても、フライ一枚で本当に快適だ。 こんな風に1時間を過ごしてからテン場に戻る。 帰りは下りのうえ、重いビールもなくなって軽快だ。
3時過ぎにテン場に戻ったが、雪は殆んどやんでくれた。 さて、今日のメインイベントの一つ、焚き火の準備。 地面に直接倒れている枯れ木は水を吸って火がつきにくい。 出来るだけ立木に倒れかかっている枯れ木を探し、着火に必要な小枝は、岩陰で雨に濡れていないものを集める。 ビールの空き缶を真ん中でカットして、キジ紙を入れてメタノールを注ぎ簡易アルコールランプを作る。 これが焚き火の着火剤がわりだ。 以前はメタを使っていたのだが、何個も必要な上高価なので、ラジコンの燃料希釈に使っているアルコールを使うようになった。 このアルコールランプを中心に乾いた小枝を配置して焚き火のスタートだ。 さすがに濡れた地面+濡れた木ではなかなか思うように火がついてくれない。 うちわで扇ぐだけではなく、濡れた木の皮をのこぎりで剥ぎ、次に火にくべる木を火の周りで乾かす。 そんな地道な作業をビールを飲みながら1時間ほど行ったところで、雨の中でも消えないぐらいの立派な焚き火が出来上がった♪ この火の上に網を置き、ステーキ肉をのせる。 塩、ガーリック、醤油で味付けをしてあっと言う間に今晩のメインディッシュ、ステーキの出来上がりだ。 焚き火で焼いたステーキは木の香りが移って燻製のような香ばしさがたまらない! さて、ビールを飲もう、とザックを探したら2本しかない?? あ〜〜!! 朝食用のビール2本を車のクーラーに入れたままだ・・・。 持ってくるのを忘れてしまった・・・。 あか〜〜ん。

(T_T) そうは言ってもまだビールは2本。 お酒も500ccあるので気を取り直して残りのビールでステーキ♪ うまぁ〜〜〜い!!! 美味い!! (^o^)/
焚き火も絶好調で何を放り込んでも燃えてくれる。 ビールもなくなったところで日もどっぷり暮れてきて小雪が降り始める。 マグカップに日本酒を入れて、焚き火で熱燗♪ 寒い夜にはこれが一番だ。 火の番をしながらお酒を温めて雪見酒! 焚き火と熱燗で身体はポカポカで、時折首筋に冷たい雪が入ってくるのが気持ちがいい。 沢の水の音が響き、時間がゆっくりと流れていく。 はっと気がつけばお酒が空だ。 最後の一杯をマグカップに注いて再び焚き火の中に入れて熱燗にする。 ちょうどいい調子に温まったところで突然焚き火がガタっと傾きマグカップがひっくり返ってしまう!! 「うぁ〜〜!!」と絶叫! お酒のアルコールが小雪をバックに焚き火の中で青白く燃え上がる様子は非常に美しかったが、これで全てのアルコールが消失してしまった。 時間はまだ8時過ぎだ。 この夜長をアルコール無しでどう過ごせばいいんだぁ〜〜!? せめてビールがあと2本あればと後悔するがあとの祭り。
口に入れるアルコールはなくなってしまったが、血液中のアルコールが残っていたのでそのまま焚き火の面倒を見ながら、色々なことを考えてこの至福の時間をゆっくり過ごす。
午後10時頃、デイパックにピールが残っていることに気付き再び一人で乾杯。 なくなったと思っていたところで出てきたこのビールは宝石匹敵する!! やっぱりうまい! (^_^;  あっと言う間に飲み干したあと、テントに入って就寝だ。 足の裏にホッカイロを貼って寝袋に入るとこれが最高! 温かい足元と、今日の登山の疲れとアルコールが程よくミックスされてあっと言う間に眠りについてしまった。

山ごもり二日目

明け方、眠りが少し浅くなったところで、フライシートのバラバラという音が耳に入ってくる。 どうも雨が強いようだ、と思いながらまた眠りに付く。 朝になって半分夢を見ながら半分目が覚めたというような状態で1時間ほど過ごす。 これがまた気持ちがいい。 雨を覚悟してテントを開けるとなんと雪ではないか! 霰のような粉雪が積もっている。 昨日の合羽やタオルなども乾くどころかカチンカチンに凍っているではないか。
早速、沢に水を汲みに行ってカップうどんを作る。 飲み過ぎた翌朝、しかも雪がふるほど寒い朝にはうどんが一番! 今日の天気予報は曇のち晴なので、カップうどんを食べたあと、再び寝袋に潜り込んで雪が止むのを待つことにする。 ところが、止むどころか段々雪が強くなって来るではないか!? 起きたときには5cmほどだった積雪も9時過ぎには10cm以上になってしまった。 こりゃいかん! ということで、寝袋から這い出て撤収作業に入る。 10時過ぎ、撤収作業完了。 ザックを担いで帰路に向かう。 いつもは沢沿いの道を歩くのだが、雪が積もっているので山沿いの道を選ぶ。 しかし、少し坂がきついと足が滑る!? 仕方が無いので6爪の簡易アイゼンを靴に取り付けることにする。
さすがはアイゼンだ! 全く不安なく雪道を進むことができる。
1時間ほどでやっとエイプのところまで到着。 ほっとしたところで問題発生!? なんと鍵の入り口が凍ってしまいキーが入らないではないか! 指は冷え切っているため、ほっぺたで鍵を温めて何とかキーを挿入する。 しかし今度はキーが回らない・・・。 持っていたライターでキーを温めて差し込み、また温めて差し込み・・・。 3回目でやっとキーが回ってくれる。 だが、本当の苦労はここからだった。 エンジンが凍って始動しないのだ・・・。 チョークを絞り何度もキックを行う。 積雪でタイヤが滑って押しがけできないためキックしか手がない。 何十回もキックした後、僅かにブルブル〜〜、と点火の兆しが見え始めた。 そこからもう10回ほどでやっとエンジンが始動してくれた♪ やった〜〜!

エイプで林道を半分ほど走ったところで道の雪はなくなり雨となる。 カーブを回ったところで、何か大きな獣がいるではないか! なんと天然記念物のニホンカモシカだ。 距離はたったの3m!? 突然の遭遇にお互い固まってしまう。 ゆっくりと止まってポケットに入れてあったデジカメで激写!! (^o^)  その瞬間、急斜面に向かって逃げて行ってしまった。 今まで何度もカモシカには遭遇したが、これだけアップで写真が撮れたのは初めてだ。

車止めでエイプをステップワゴンに積み込み一路温泉を目指す。 温泉は天気が悪いためかほとんど客がおらずフラリーマンの貸切状態だ。 ここで温泉に浸かってお昼ごはんを食べて、お昼寝してまた温泉。 いや〜〜、今回も素晴らしい山行となった。