筒井康隆氏についての… このページをアンテナに追加

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2017-11-17 「筒井康隆自作を語る#4」レポートその2

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筒井康隆コレクション』完結記念 筒井康隆自作を語る#4

 約10分の休憩後に後半スタート。

・『敵』(1998)

 純文学書下ろし特別作品として刊行新潮社の矢野氏とエピソードの入れ替えなど相談した。老齢ということを考え始めた時期だった。

・『わたしのグランパ』(1999)

 新潮社の純文学書下ろし作品は必ず買うという読者がいた一種ブランドだったが、この頃は売上が厳しくなっていきていた。「わたしのグランパ」は「オール讀物」に掲載。映画化も早い段階で決まっていた。グランパには高倉健さんという話もあったが、結局菅原文太さんになり、文太さんだからこそユーモアも表現できて良かったと思う。ヒロインはホリプロタレントスカウトキャラバンで選んだ。選考会で喧嘩するときの怖い表情を演じてもらったが、石原さとみ(当時/石神国子)さんが一番で選出された。文太さんとは二三度お会いした。溺れる女の子をグランパが助ける場面のオーディションでは文太さんにしがみつくだけではなく足を絡めてきた子を選んだというエピソードもあった。

・『愛のひだりがわ』(2002)

 岩波書店大塚社長(当時)の依頼で書いた。映像化の話もあったが、舞台が近未来で予算がかかりすぎたり、候補の女の子がすぐ大きくなってしまい実現しなかった。

・再編集の文庫短篇集(2002)

 日下/徳間文庫で全6巻の再編短篇集を編ませていただいた。同時期に新潮社からも何冊か刊行。

 オリジナルの短篇集が品切になっていた。殆どの作家はそのままになってしまうが、再編集の短篇集が出るのは有り難かった。

 日下/2006年には角川からも再編短篇集が出て未収録だった作品が収録。

 タイトルを聞けば内容は憶えているが、いつどんな雑誌に発表したかというのは失念してしまう。そういえば先日、松浦寿輝氏が好きな短篇を挙げたリストに「馬」という作品があり、どんな短篇だったかと一瞬考えた。最近はいろいろな方が自分の好きな作品を選んでくれているが、「おれに関する噂」や「佇むひと」などベストに入ってもよいと思う作品も入っていなかったりする。人によってそれぞれのベスト作品が異なるというのは有り難いが、代表作がこのままだと「時をかける少女」になるのでは。まあいいけど。

 日下/2010年には金の星社からジュヴナイルコレクション全5巻が出て、私が出版芸術社で編集した「細菌人間」まで収録されています。

・『銀齢の果て』(2006)

 老人ものの集大成。年齢のばらつき、様々なキャラのバランスが絶妙と評判だった。山藤章二氏がとげぬき地蔵で終日スケッチをして、キャラ全てを描いてくれた。映画化の話もありかなり進んだが役者が何人か亡くなったりして実現しなかった。ただ別の製作会社で映像化の話が再浮上している。

 日下/子役は大きくなるし、老人役は亡くなってしまう。

 製作期間を短くして撮影しないと駄目。

・『巨船ベラス・レトラス』(2007)

 『大いなる助走』以降、ある時期までの文壇を描いた。山田風太郎賞を受賞した『罪の声』の作者・塩田武士の新作『騙し絵の牙』はその後の文壇を描いて面白い。パチンコのことなど編集者に本当にあんな状況なのかと聞いたら本当だと言う。

・『ダンシング・ヴァニティ』(2008)

 「新潮」の原稿料はエンタメ系と同じで気の毒だった。原稿料を下げる代わりに楽して書いてやろうと考えた(コピー&ペーストを駆使)。清水良典・絲山秋子両氏は高く評価して賞までくれた。単行本は人形が三体並んでいるが実際は一体でこれもコピペ。

・筒井康隆展

 来年の秋、世田谷文学館で筒井康隆展が開催予定。そこで神戸に残っているポスター類などを販売したい。

・『漂流』(2011)

 文庫化の話が進んでいる。ハイデガーで終わっているが、古典から最近の作品までとりあげている。

・『ビアンカ・オーバースタディ』(2012)

 「太田が悪い」が流行った。『涼宮ハルヒ』シリーズを読んでラノベを書いてやろうと考えた。

 日下/あとがきにタイトルだけ挙がっている続篇『ビアンカ・オーバーステップ』を実際に書いた方がいたが。

 本人(筒城灯士郎)にも会い、作品も読んだが、すごくて驚いた。どこに才能が眠っているかわからない。谷崎潤一郎賞と山田風太郎賞の選考委員をしているが、最近はエンタメよりも純文学のほうが力のある作品が多いと感じている。

・『日本SF傑作選 1 筒井康隆 マグロマル/トラブル』』(2017)

 日下/初期短篇を中心に25篇を収録。「フル・ネルソン」や「デマ」も収録。

 SFファンは「フル・ネルソン」や「ビタミン」も受け入れてくれて星雲賞もくれた。

 日下/「デマ」や「上下左右」など当時は文庫に入れられない短篇もあった。

 「上下左右」は大きなケント紙を使って写植を貼りながら書いた。最後「SFマガジン」の今岡氏が丸めて持ち帰った。

・『モナド領域』(2016)

 創造主たる、宗教上の神は描いていない。むしろ「神というものはない」ということを描こうとした。「最後の小説」としたのはこれでもう書くものがないなと感じたから。

 日下/『聖痕』発刊時のインタビュー記事を示して、この時も「最後の小説」とおっしゃっていますが…。

 そうか。「最後の小説」…、あと二、三回行けるな(会場大爆笑)。

・最近の短篇について

 先日91歳で短篇集を出版したというひとがいて羨ましかった。あと八年ほどあるのでゆっくり書いて一冊にまとめたい。

 日下/もっと早く読みたいです。

・『筒井康隆コレクション』(2014-2017)

 日下/品切になっている作品を復刊するとともに新規の読者だけでなく往年の筒井ファンにも喜んでもらえるよう未収録作品や付録にも力を入れて編集。三年をかけて無事完結できた。このトークイベントも奇数巻刊行のたびに開催して今回が最後となる、読者の皆さんと会場に来てくださった皆さんに感謝します。

 筒井さんは日下さんに感謝をされるとともに会場にも「ありがとう」と声をかけ、手をあげて拍手に応え会場をあとにされました。

 最後にLivewireの井田氏からは予定していた「新宿祭」は名称を変えて来年秋に開催を予定するとの発表があり、会場が沸きました。

 筒井さん、日下さん、出版芸術社の皆様、Livewireの皆様、楽しい時間をありがとうございました。

2017-11-16 「筒井康隆自作を語る#4」レポートその1

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筒井康隆コレクション』完結記念 筒井康隆自作を語る#4

 行ってきました、新宿文化センター。実はこの日は世田谷文学館で開催中のコレクション展「SF再始動」に行っており、いつもより遅れて18:20頃到着。既に列は3階から2階まで延びていました。

 18:30開場後、受付でコレクション7巻を受け取り、恒例のポスターを買って会場へ。流石4回目ともなると常連の方々が多く、落ち着いた感じでした。

 19:15、Livewireの井田氏の司会で日下さん、筒井さんが登場され大拍手で迎えられました。「SFマガジン」に追って詳細が掲載されると思われますので走り書きメモをもとに簡単レポートします。

 日下さんは出版芸術社自体が厳しいときもあり、今回のイベントは1年ぶり。無事コレクションを完結することができて良かったと挨拶されました。またこれまで年表として作成していた資料も今回の範囲が30年以上となるため、著作リストで代えさせていただいたと説明

 筒井さんは「生まれる前から筒井康隆をやっております筒井康隆です」と。のっけから笑いに包まれイベントはスタート。

・『虚人たち』の最近の動きについて

 テレビでカズレーザーさんが紹介して売れ出し、今は書店で切れている状況。カズレーザーさんにはまだ感謝を伝えられていないので、知り合いの方がおられたら、お礼を伝えてくださいと筒井さん。

・『夢の木坂分岐点』(1987)

 『虚人たち』のあと文芸誌新潮」の岩波氏に依頼され連載。一人の人間の中にある様々な人格を変転させたり活躍させたりした。『虚人たち』と並んでメタフィクションの集大成とも言える。谷崎潤一郎賞を受賞し、『虚人たち』の泉鏡花文学賞とのふたつで大きな自信ともなった。この頃からSF界からは離れていったように思う。SFはSFで進化していたし、自分は自分で進化していた。星新一小松左京・筒井康隆というSF御三家フェアよりも北杜夫遠藤周作・星新一というフェアをと星さんが言ったことがあったが、それだと星さんが一番最後になってしまいますよと言って、星・小松・筒井フェアが継続された(大江健三郎井上ひさし・筒井康隆フェアではなかったのと同じ)。

・『歌と饒舌の戦記』(1987)

 ポスト・モダンで饒舌体ということを考えると『文学部唯野教授』の先駆的作品と言える。ソ連軍侵攻という内容で、北海道へも取材旅行に行った。冒頭部分はあるTV番組で再現ドラマ化されたこともある。

 日下/『コレクション』にも収録した。SF作家クラブ総会の場面は面白い。

 あの頃のSF作家クラブの総会で、ちょうど高千穂遙事務局長をしていた頃、花粉症でマスクをしたまま喋るものだからよくわからず、隣で堀晃手話通訳めいたことをしていたのを憶えている。

・『驚愕の曠野』(1988)

 河出書房新社の「文藝」が季刊誌になるというので編集の吉田氏より依頼があり、一挙掲載した。以前より構想していた、入れ子構造の物語。その後吉田氏とは「文藝時評」をやったりした、また最近連絡があり、カセットブックで出ていた「誰でもわかるハイデガー」を書籍化する予定がある。

・『イチ、ニのサン!』(1986)

 アトリエ経営の頭川氏より依頼があり、ドイツの画家・ミハエル=リューバの絵で出した絵本

・『新日本探偵社報告書控』(1988)

 従兄である筒井敏雄氏が、自分がやっていた探偵社をやめるというので。処分する前に報告書を見せてもらった。木造住宅の一室で読みふけり、特に面白かったものを提供してもらい、作品に仕立て上げた。

・『残像に口紅を』(1989)

 ジョルジュ・ペレックの『湮滅』(当時未訳)の、フランス語で最も重要な「e」を使わず長篇を書いたという話を聞き、敵愾心を憶え、日本にもある「文字落し」の手法で書いた。初めてワープロを購入し、使えない言葉のキーに赤丸を貼って執筆した。最初に「あ」を消したが、「マージャン」や「ラーメン」といった「あ」の音引きも使えなくなるということもあり苦労した(注意して書いた後、チェックの際に「ああ」という感嘆詞を付け加えてしまい、校正者がひっくり返ったことも)。最後の数頁はあらかじめ書いたが、ワープロの不具合で消えてしまったこともあった。

 日下/使えない文字のキーに画鋲を付けて指が血まみれになったという逸話も。

 単行本時、後半を袋とじにして、未開封のまま持ってきたら返金という但書も付けたが、ひとりも来なかった。

・『フェミニズム殺人事件』(1989)

 『文学部唯野教授』ではフェミニズム批評は語られていないが、その当時はまだしっかりした理論が確立していなかった。『フェミニズム殺人事件』は『オリエント急行殺人事件』の逆を意識した作品。「小説すばる」で結末を掲載せず、読者による犯人当て懸賞を実施した。

・『ロートレック荘事件』(1990)

 チャンドラー原作の映画『湖中の女』、特に主役のロバート・モンゴメリー視線で描かれるところを意識した。技法ではなく着想で書いた。

 日下/書かれた時期は新本格と呼ばれる作家・作品が多く生まれた頃だが。

 そのあたりの作品は読んでいなかった(叙述トリックについては知っていた)。ミステリを多く読んだのはSFに会う前。

・『朝のガスパール』(1992)

 パソコン通信での意見や事件を物語の展開にとりいれた。ASAHIネットの会議室「電脳筒井線」には個性豊かな、自分の役割をわかって演じている優秀な人材が多くいた。担当者・大上朝美さんによる解説にそのあたりのことは全部書いてある。

・『パプリカ』(1993)

 日下/今敏監督によるアニメーション映画も素晴しい。

 車からピエロが出て来る冒頭部をはじめ、原作にはない、今監督のアイデアあふれる場面場面が素晴しい。今監督と対談した際、自分から『パプリカ』を是非アニメにと依頼し、実現した(同じ年に同じ制作会社のマッドハウスから細田守監督で『時をかける少女』もアニメ化)。「文学部唯野教授」と同時期の連載で胃に穴が二つあき、連載を中断しながら書き上げた。

・断筆宣言(1993)

 「無人警察」が高校教科書に採択されるにあたり、日本てんかん協会より抗議があり、その際に協会側の意見ばかり新聞が掲載したこともあり、断筆宣言に至った。

 日下/筒井さんの断筆宣言で、自主規制・言葉狩りの風潮に歯止めがかかった。

 出版社とはどのような条件下で執筆再開が出来るかを検討し、文藝春秋新潮社角川書店と覚書を交わして断筆を解除した。

 日下さんの「当時、出版芸術社でホラー作品集を企画したところ、筒井さんから逆に叙情ものを集めたらと言われ『座敷ぼっこ』を作った。とても売れ行きが良かった」との言葉に「断筆していたときですから助かりました」と筒井さんが返され、ここで前半が終了。休憩に入りました。

2017-11-15 塩田武士氏と対談

[]更新!

「偽文士日碌」

 「ダ・ヴィンチ」で塩田武士氏と対談。「アメトーーク」ではカズレーザーさんが今度は『残像に口紅を』を紹介。話題が追いつきません!

2017-11-14 新作短篇は「白笑疑」!

[]更新!

「偽文士日碌」

 筒井さん、日下三蔵さん、Livewireの皆さん、出版芸術社の皆さん、楽しい時間をありがとうございました。新作短篇は「白笑疑」!「玄笑」との関係は?などと考えてしまいます。楽しみです♪

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「文芸におけるバランス感覚」

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絶望図書館 立ち直れそうもないとき、心に寄り添ってくれる12の物語』