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1800-08-31 ”The Audacity of Rhetoric” このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

The Audacity of Rhetoric

レトリックの勇敢さ

スラヴォイ・ジジェク

2008年9月2日

http://www.inthesetimes.com/article/3862/

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1800-08-30 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

 1月に合衆国がマーティン・ルーサー・キング・Jr牧師の悲劇的な死の追悼を行った際に、バッファロー大学のヘンリー・ルイス・テイラー・Jr教授(都市史)は苦々しく述べた。「私たちは皆、この男が夢を持っていたことを知っている。私たちはその夢が何であったかを知らない」

 キング牧師の1963年のワシントンDCにおけるデモ行進――彼が「我が国の道徳面での指導者」として賞賛された――の後の歴史的記憶の消去について、テイラーは言及している。

 死の数年前からキング牧師は、活動の焦点を貧困と軍国主義へと変えた。なぜなら、単なる人種的な兄弟愛だけでなく、これらの事柄を扱うことによって平等が真に実現されると彼は考えたからである。そして彼はその変更――被差別民(pariah)をはるかに超えたものになること――の代償を払ったのだ。そして彼は、その変更の代償――さらなる、社会ののけ者(pariah)となること――を払ったのだ。*1

*1:原文は"And he paid the price for this change, becoming more and more of a pariah."

GomadintimeGomadintime 2008/09/20 15:36 ユーをハッピーにしにきました。
一番最後のところですが、this change(活動の焦点を貧困と軍国主義へと変えたこと)によってキングは代償を払った、その具体的内容(結果)がbecoming〜なわけです。つまりキングがますますpariahになっていったということでしょう。

flurryflurry 2008/09/20 16:10 きゃー! こっそり期待していたひとから期待通りの一撃が! とってもハッピーです!

……まったくもって、ご指摘の通りだと思います。あうー。

1800-08-29 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

 バラック・オバマ上院議員にとっての危険とは、歴史的な検閲が後になってキング牧師に行ったことを、すでに自分自身について行いつつあることである。すなわち、選挙での選出可能性を確かなものとするために、彼の公約(program)から論争的な話題を消し去ってしまうことである。

 モンティ・パイソンの宗教パロディ映画「ライフ・オブ・ブライアン」における有名なダイアローグでは、キリストの時代のパレスチナにおいて、ユダヤ人の革命レジスタンス組織の指導者が、情熱的に「ローマ人はユダヤ人に悲惨のみを与えた」と訴える。彼の部下が「しかしながらローマ人は、教育を導入し、道路を建設し、灌漑設備を造り……」と意見すると、指導者は勝ち誇って話を結ぶ。「確かにそうだ。しかし、教育、ワイン、公衆秩序、道路、上水道、公衆衛生は別として、ローマ人は我々に何をしてくれたというのだ?」

 オバマの最近の声明も、これと同一の線に沿っているのではないだろうか? 「私は、ブッシュ政権時代と根本的に縁を切ることを支持します!」*1とは、つまるところ「ええ、そうですとも。私はイスラエルを無条件に支援すること、キューバへの制裁を継続すること、法を破った通信会社に訴追免除を与えることを誓います。しかしながら、今もなお私は、ブッシュ政権時代と根本的に縁を切ることを支持します!」ではないだろうか?

*1:原文は"I stand for a radical break with the Bush administration!"

1800-08-28 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

 オバマが「希望を抱くことの勇敢さ」*1「私たちが信じることが出来る改革」*2について語るとき、具体的な内容を欠いた改革というレトリックを彼は使っている。何のために希望を抱くのか? 何を改革するのか?

 オバマを偽善だと非難するべきではない。今日の世界における合衆国の複雑な状況を前提にするなら、新しい大統領が、経済の暴落や政治的反動を抜きにした実際的な改革を、どれほど提示することが出来るだろうか?

 しかし、そのような悲観的な見方は不十分である。私たちの国際情勢は確固たる現実だけでなく、イデオロギー的な輪郭(contour)によっても定義されているのだ。言い換えるならば我々の国際情勢は、口にすることが出来ることと出来ないこと、見えるものと見えないものによって定義されているのだ。

*1:"audacity to hope,"

*2:"a change we can believe in,"

1800-08-27 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

 10年以上前にイスラエルの新聞Ha’aretz紙が、当時の労働党党首エフド・バラク(Ehud Barak)に、もし彼がパレスチナ人として生まれていたとしたら彼は何をしたであろうかと訊ねた。バラクはこう答えた。「テロリスト組織に参加したでしょうね」

 この言明はテロリズムを承認するものではまったくなく、パレスチナ人との真の対話を行うための空間を開くための唯一のものだったのだ。

 同様のことが、ソビエト書記長ミハイル・ゴルバチョフが、グラスノスチ(情報公開)とペレストロイカ(改革)のスローガンを掲げたときに起こった。ゴルバチョフがその単語によって「本当に意図していた」ことは問題ではなかった。まさにそれらの単語自体が、世界を変える雪崩を解き放ったのだ。

 あるいは今日において、拷問に反対するひとでさえも、拷問のことを公的に議論する価値がある話題だとみなすことを受け入れることで――第二次大戦後のニュールンベルグ裁判や、さらにはジュネーブ条約にまで遡ってしまう、途方もない後退だ――、拷問を正当化してしまっているのだ。

 言葉とは決して「単なる単語」ではない。言葉とは「私たちが何をすることができるか」についての輪郭(outline)を定めるときに問題となる、重要なモノ*1なのだ。

*1:原文は"They matter because they define the outlines of what we can do." ここでのmatterは、ジュディス・バトラーの本の題名"Bodies that Matter"のように「問題となる、重要である」と「物質」とのダブルミーニングでしょうか。

1800-08-26 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

 この点において、オバマは公的に話せることの限界を変える並外れた能力を示しつつある。現在までに彼が成し遂げた最も偉大な達成とは、洗練された、刺激的でないやり方によって、一度は口に出せなくなった話題――政治における人種問題の継続した重要性、一般生活(public life)における無神論者の積極的な役割、イランのような「敵」と対話する必要性――を公開演説の中に導き入れたことである。

 そしてそれは、領域全体の座標を変更するような偉大な達成なのだ。ブッシュ政権でさえも、そのような公約を行ったことでオバマを最初は非難していたが、現在では彼ら自身がイランとの直接対話を行っているのだ。

 もし合衆国の政治が現在の行き詰まりを打破するならば、それは私たちが考え、行動することのできるやりかたを変えるであろう新たな言葉を必要とするのだ。

1800-08-25 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

 世間一般の緩い基準においてでさえも、「単なるお喋りを止めて、何かを行いなさい!」という昔からの格言は、口にすることのできるもっとも愚かな事柄の一つである。

 最近の私たちは、沢山のこと――外国への干渉や、環境破壊――を行い続けているのだ。

 おそらくは、一歩下がって正しい事柄について考え、発言するときである。

(了)

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