Hatena::ブログ(Diary)

弁護士兼務取締役の独り言 このページをアンテナに追加 RSSフィード

    Twitter

2008年07月07日

私たちが社会に貢献しなければならない理由

| 00:07 | 私たちが社会に貢献しなければならない理由を含むブックマーク 私たちが社会に貢献しなければならない理由のブックマークコメント


シリコンバレーの新しい流れ - 女。京大生の日記。

社会起業家シリーズ1 - 女。京大生の日記。


少し前から考えていたことをまとめてみました。相当単純化して説明するために色々考えるべきことを省いています。しかし何か致命的な欠点等あればご指摘願います。


税金の役割


歳入とは一会計年度における一切の収入のことをいいますが、現在の日本政府の歳入はいくらくらいかご存じでしょうか?


答えは50兆円前後です。ある程度の変動はありますが、これまでずっと50兆円前後(公債金収入は含まず)で推移してきました*1

この50兆円は所得税法人税消費税・その他たばこ税等の特別税からなっています*2。これらの税金は、一定程度以上の収入がある人たちが支払ったものです。このお金は公債と違って返ってきません。


では税金は何のために払うのでしょうか?

社会のインフラ構築・教育・社会保障等のため、すなわち社会を動かしていくためです。


学生はただ乗り


ほとんどの学生は税金を払いません。普通は税金を支払うほどの収入がないからですが、税制自体も学生はほとんど払わなくてすむ*3ようになっています。この結果、大学を卒業した人ならば少なくとも22年間は、ほとんど税金を払わずにすみます。

しかしその22年間の間にも、この社会を維持するためのコストはかかっています。このコストを支払うために使われる税金が年間国民一人につきいくらかというと、


50兆(円)÷1億2700万(人)≒40万(円)


すなわち国民一人あたり毎年40万円*4税金が、この社会を維持するために支払われているわけです。

ところが、大学まで行った学生は22年間ほとんど税金を払っていないのですから、

40万(円)×22(年)=880万(円)は、他の人が代わりに支払っているわけです。

やがてこの学生が働き始めて一定額以上の給与収入を得るようになると、所得税などを支払うようになります。しかしこの税はそのときの社会を維持するために支払うのであり、過去の未払い分を清算するものではありません。


それでは、学生は過去の負債をいつ支払うのでしょうか?


なぜ学生は税金を払わなくてよいのか?


僕は少しだけジャマイカに滞在していたことがあるのですが、ジャマイカ首都キングストンは世界最悪の犯罪都市のひとつです。殺人の発生率は日本の60倍です。そこらで何もせず昼間からガンジャ吸ってるおっさんがゴロゴロいたり、安物のコカインキメてラリってる奴がふらふらしてたりします。発展途上国なのにも関わらず物価が日本とほとんど変わらず国民の半分以上がゲットーに住んでいます

ジャマイカから日本へ帰ってきたとき、僕は心の底から日本は恵まれていると感じました。世界最高水準のインフラが整備され、救急車も無料で利用でき、昼間に銃声が聞こえることもありません。

これらは決して当たり前なことではありません。この社会を維持するには膨大なコストが必要なのです。


ではなぜ学生はこのコストを支払わないことを許されているのでしょうか?

それは、将来社会を担う人材を育成するためです。税金を支払わなくてよいのは、いわば投資にあたります。毎年40万円の負担をしないかわりに学生はその能力を伸ばすことができたのですから、その投資に対するリターンを投資家である社会に対して将来返還しなければなりません。

すなわち、学生には、働き始めたら社会に貢献する義務があるのです。


ただし、投資は失敗することがあります。せっかく学生に投資したけれど、残念ながらその人が一人で生きていくだけで精一杯の能力しか身につけられなかったのならば、仕方ありません。

しかし東大京大に入れるような人たちは、日本の人口の上位5%に入れるほどの能力を持っています。その能力は独力で身につけたものではありません。直接的には親の援助のおかげでしょうが、今まで安全に、何の気兼ねもせずに生活できるようなインフラや社会制度が整っていたおかげです。自分の力でここまで来たと思っているのなら、傲慢もいいとこです。


自分の幸せだけを追求したい?


そんなこと、許されるはずがありません。


働くことの意味は、まず最低限自分の食い扶持を確保し、次に親への感謝に、そして残りは社会のためにその能力を使うことにあるのです。




とまあ偉そうに書いてきましたが、僕は以上のような考え方はあまり好きじゃありません。

社会貢献というのは利他的なものですから、自発的にしかなされません。義務づけたところでやりたくない人はやらない以上、意味がありません。


しかし完全に自発性に任せるというのは問題です。もはや日本はそんな悠長なことをしている場合じゃないからです。


慈善事業における欧米と日本の違い


1週間前、マイクロソフトのビル・ゲイツがビジネスの一線から身を引きました。ビル&メリンダ・ゲイツ財団の運営に専念するためです。

アメリカイギリスには、社会的に成功した人は慈善事業をしなければならないという社会通念があります。ビジネスがうまくいった人が慈善事業をしないと、むしろ「何でやらないの?」という目で見られます。


日本にはビジネスで成功した人が慈善事業をするという慣習はありません。むしろそういったことは奇特な人がするもの、とされています。大会社の社長が引退して慈善事業を始めた、というニュースは日本でほとんど聞くことがありません。

僕はこれが非常に不満です。

日本の慈善事業をやろうという人はほとんどビジネスとしてしようとすることはないため、その効果が非常に狭い範囲にとどまっています。1対1の関係なのです。しかし慈善事業にビジネス的な発想を持ち込めば、レバレッジを効かせることができます。この場合のビジネスというのは儲けるという意味ではなく、組織の力で効率的に大きな影響を及ぼすということです。

ビジネスがわかっている人が始めた慈善事業の例としては、勝間和代さんのChabo!くらいでしょうか。


欧米ではビジネスで成功した人が引退して慈善事業をしますから、当然日本よりはるかに効果的な事業展開ができます。そして社会にそのようなことをする基盤がありますから、事業展開するのも容易です。彼らにとって社会に貢献することは当たり前のことであり、偽善と言われることなんて当然ありません。

しかし日本にはそのような基盤はおろか、社会的な了解すらないのです。


「世界観、ビジョン、仕事、挑戦――個として強く生きるには」講演録(JTPAシリコンバレー・ツアー2008年3月6日) - My Life Between Silicon Valley and Japan

日本では、金持ちが隠れています。表に出ていいことは、何もありませんからね、と。優秀な人も、勉強していないフリをする、頭がいいというのを見せないようにしています。そのほうが生きやすいですからね、と。




昨今よくいわれる格差問題は、手に負えないところまで来ています。このまま放置すれば、いずれ日本の資本主義社会は崩壊するんじゃないかと本気で危機感を感じています。今下流にいる人たちが高齢者になったとき、日本政府は彼らを支えきれるのでしょうか。

政府に頼らず、国民自らの手でこの格差を是正するような基盤やシステムを作らなければならない時期に来ているのではないでしょうか。

これからの能力のある学生は、「社会のために働くんだ!」という熱い思いを自発的に持って行動するべきです。

社会に貢献することは当然の前提として、いかに効率的に社会に貢献するのか。これがこれからの課題となるでしょう。


なぜ弁護士を目指すのか


僕は弁護士になるべくロースクールで勉強しています。それは日本最高の法律事務所を作るためです。そして僕が考える日本最高の法律事務所とは、「日本で最も社会貢献度の高い」法律事務所です。

どのようにすれば社会貢献度を上げられるか、また効率的な社会貢献ができる組織はどんなものかなど、すでに色々と具体的に考えています。

裁判官検事ではなく、弁護士を選んだのも、積極的に社会に対して関わっていけるからです。


僕は社会と親のおかげで京都大学法学部を卒業でき、現在は弁護士になるための勉強をすることができています。

弁護士になるというのは、僕の人生の目的を実現するための手段にしかすぎません。僕の人生の目的とは、「僕と関わるすべての人を幸せにすること」です。世界のすべての人と関わることはできませんから、せめて僕と関わる人はすべて幸せになれるように全力を尽くそう、そしてその範囲や効果を最大限にするにはどうすればいいか試行錯誤し続けよう、と考えています。



早く働きたいです。早く仕事がしたいです。



続き。というか補足。続・私たちが社会に貢献しなければならない理由

*1財務省一般会計税収、歳出総額及び公債発行額の推移

*2財務省日本の財政を考える

*3基礎控除・勤労学生控除・所得控除等

*4:これは一人あたりの社会を維持するために必要なコストではありません

あ 2018/02/12 07:57 「自分と関わる全ての人を幸せにする」じゃ多くのエリート気取りと何一つ変わらないじゃん。
エリートの周りにはエリートが集まるんだから、周りの人だけ幸せにしてたら一生日本は変わらないよ。

日本全体を幸福にする覚悟がなきゃ。