富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2014-07-28

農暦七月初二。雲一つない晴天。猛暑。早晩にジムで走る。日が長いので、まるで未だ昼間のやう。月刊『東京人』8月号・特集「東京人的台湾散歩」読む。台北が面白いのは今更言ふことでもないがアタシの人生で悔やまれるのが1980年代初頭、台北訪れたときに大陸からの帰路で、開放改革に前進する「大陸の面白さ」に比べ台北を勝手に何だか面白みに欠ける都市といふ印象で、それには蒋経国時代で反共色強く抑圧が感じられ(実際に毎日、空襲に備へての避難訓練まであつたのだから)マイナス印象強かったから、もあるのだが台北なら台北でもっと深いところを歩いてゐれば当時の台北ワンダーランド感じられたのに……と残念でならない。上巻だけ読んで中断してゐたジェラルディン=ブルックス『古書の来歴』(武田ランダムハウスジャパン)下巻読了。ユダヤ教の実在する世界最古のハガダー(ハッガーダー、הַגָּדָה שֶל פֶּסַח, haggādhāh、絵入りの祭文集)がサラエボの博物館に保存されてゐたことから豪州出身の古文書学者が、このハガダーの数奇な運命を古文書に書かれた追記や頁の隙間に圧死してゐる小さな羽根虫、一本の髪の毛から時代を遡り維納、ベネツィア、スペイン……と、この本の数奇な来歴を辿るといふ物語。古本で、フレデリックフォーサイス的なサスペンスものか、と思つて入手したがサスペンスもなく劇的なところはあるものの、実在するハガダーの来歴にドラマチックな脚色なので、一寸、手に汗握り一気読みといふほど面白くは感じられず。アタシがユダヤの歴史などよく知らぬこともあるが。
▼大阪の空港で「日本発行以外のクレジットカードはご利用できません」ラウンジでダイナーズだけは海外発行もOKだといはれ日本から戻つた翌日にダイナーズカード申請したら一週間で十八日にカード届いたが早速にZ嬢用に付属カード申請を十九日に郵送でしたところ二十四日(木)に付属カード発行の承認は出来ました、が申請書でサインが一カ所漏れてゐたので……と電話あり。サインは本人と付属カードの対象者それ/\一カ所だけのはずでサイン漏れのはずもないが申請書送り返してくれゝば直ぐにサインして返送するから、と伝へると申請書は一旦受理されてしまふと返送できないので新しい申請書を送るから必要箇所だけ記入してサインバックすれば良いといふので了解したが二日待つても申請書届かず廿六日(土)にカスタマーサービスに電話して事情説明の上、メールで送れないかと求めるとメールで送るといふので待つてゐたが届かない。ジャンクメールやゴミ箱も探したが見当たらず今日、もう一度カスタマーサービスに電話して今すぐ申請書を送れといふと自分とは担当部署が違ふので担当からちゃんと送られせるから、といふ。半日経つてやつとメール届いたが開けてみると新規のカード申し込みで付属カード申込じゃない。晩に三たび電話。事情を説明するが先方のデータでは付属カード申請は受理となつてゐて未サイン云々の記録はなく、たゞカード発行されてゐないのなら、このまゝぢゃ発行されないから申請書送付はしてもらはないと発行できないと辻褄の合はぬ説明。責任者出せ〜っ!で人生幸路師匠なみに久々に怒る。電話で数分待たされたが電話対応セクションのシニアスタッフは別の電話の対応で忙しい、といふので今晩でも明日でもいゝから電話かけ直すように命ず。晩に電話に出たスタッフは申請書ならサイトからダウンロード出来る、といふから、そんなこと最初から知つてゐるが廿四日に電話してきたスタッフが必要事項だけ書けばいゝようにしたフォーム送るから、といふので、また新しく送ると誰が対応してくれるのか、そも/\何で最初のサイン漏れのフォームのことが記録にないのか不審な点もあり、こんな状況ぢゃ埒も明かぬ、誰かシニアなりスーパーバイザーのレベルのスタッフがきちんと状況検分の上、自分がハンドリングするとはっきり言へるまで信用も出来ないので書類は書いても送らぬ、と伝へる。香港はクレジットカード申請など容易といへば日本など比較にならぬほどコンスタントに対応が進む、が反面、一度そのコンスタントさから逸れるとカスタマーサービスなど自分はその場対応だけなので経過の追跡がなく今回のやうに最初の記録がきちんと遺つてゐないと、いくら口答で説明してもその場その場の紋切り型対応しかされず困つたことになる。

朝、通りがかりのマクド二店舗いくら夏休みで学生がゐないとて、やはり心成しか客がいつもより少なく見える。それでも細々と老人客多し。昔なら茶樓で飲茶だらうが朝の散歩に出たのかポツンと独り新聞など読みながらマクドなのは十数ドルの朝食セットの安さゆゑ。老人がマクド?と思ふが香港にマクド登場が1975年、40年前だと思ふと当時三十歳の働き盛りが今、七旬。若いときからの馴染みか。今朝のNHKのバラエティ番組(朝イチ)でも、この話題で一人のコメンテーターが「外国の人に食の安全について理解してもらうのは本当に難しいことだと思うが」だったかバカ発言してゐたが中国の食品企業の問題以前に、かうしたファーストフードで世界を席巻する食品産業全体が、どれほど怖い状況なのか、の認識が大切。丘亦生「香港的福喜化」(今日の蘋果日報)興味深い記述あり(こちら)。「中国の福喜」の問題でなくマクドと福喜の親会社OSIの昵懇なる関係。

今次事件中的主角,是全球最大的肉類和蔬菜加工巨頭之一的福喜集團(OSI),去年營業額逾60億美元,在福布斯全球私人企業榜排62位,產品質量多次獲獎,是有頭有臉的大企業。福喜與麥當勞更識於微時,在60年前已開始合作,現任大股東兼行政總裁Sheldon Lavin,也是由麥當勞當年引薦給福喜的創辦人,現時兼任麥當勞叔叔之家慈善基金的信託人,兩家公司可說情同金蘭姊簞。因此,即使出事後,麥當勞仍然對這個拍檔不離不棄,僅表示棄用上海福喜的產品,其他福喜加工廠的產品會繼續幫襯。當然,感情分之外,也可能因為福喜太大,一下子全面棄用,要找另一家供貨恐怕亦不容易。

同じ蘋果日報で陶傑「麥中之亂」も面白い。これは中国の対マクド=米国への挑戦なのだ、と(こちら、笑)。

東京人 2014年 08月号 [雑誌]

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古書の来歴 (上巻) (RHブックス・プラス)

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