富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

San Juanico Bridge

fookpaktsuen2016-03-24

農暦二月十六日。未明にそろそろ鶏の呼応か、と思つてゐるとこちらから鳴き始めると遠くが呼応し、それの重唱でいつのまにか賑やか。この3泊の間、睡眠導入剤も服すこともなく初日はタクロバン到着遅くA氏と旧交温め半夜三更まで杯を重ねたが翌日二、三時間二夜は8〜10時間睡眠に昼寝つき。幸せ。朝5時半にDの運転でA氏夫妻、親戚の娘一人と夜明けに出かける。普段も朝の早いフィリピンだが今日から復活祭の祝日始まり朝早くから郷里への土産抱へた人々が長距離バス待ち少なからず。サンファニーコ大橋(San Juanico Bridge)へ。レイテ海峡を渡りサマール島と結ばれた全長2,600mのフィリピンで一番長い橋。マルコス政権下に日本の戦時補償の一環で建設され1973年に完成。S字型が美しい。タクロバン側から中央まで歩けば、と勧められ歩き出すが歩道の欄干が低く高度恐怖症は海抜40mには肝を冷やす。絶景。サマール島の橋から眺め南の方角は霧のなかに椰子など群生の森、その霧の天空に片側がざっくりとした高い山が浮かび水墨画のやう。

タクロバン市街に戻りパークホテル参観。1970年代末にマルコス政権肝入りでタクロバン市街の北側、海を見下ろす高台の一等地に建設された高級リゾートホテルで1980年にイメルダ夫人の誕生日祝賀の日に公式開業。イメルダ夫人はタクロバン出身で地元には別荘もあるが自らの威厳のために建てたようなホテル。沖合のマラボット島はこのホテル専用のプライベートリゾートの由。マルコス失脚、開発経済成長の停滞もありタクロバンの経済も振るはず、このホテルも老朽化するなか2013年の台風で高台のホテルは被害も大きく復旧こそしたが、かなり傷んだまゝで地元にはイメルダ崇拝が遺るがホテルは今後の収益見込めねば改修も能はず朽ちるのみ。レイテ公園に日本から寄贈のマリア観音と平和祈念塔参観。公園はゴミだらけで観音さまの碑も塔もスプレーで落書きあり公園はゴミだらけ。この公園どうやら夜中は猥雑極める悪所のやうで朝も陽がすつかり昇つた七時過ぎだといふのに売れ残りの残党も早晩の年配の輩もをり。

A氏宅に戻り朝食。美味い炒飯。今日の午後には昨日、ヒヌンダヤンから出てきた親戚の女性たちに加へA氏西貢もDの運転するA氏の車でヒヌンダヤンに還る由。A氏は復活祭の祝日の間、此処で家事手伝ひのSと閉じ籠りとなるため食料品やビール買ひ出しの要あり。A氏愛飲のメビウスだが昔のマイルドセブン系の日本の煙草は市街のSMに行かぬとないさうで、その買ひ出しに行こうとすると女たちが皆、それに合はせて出かけると言ひだし(朝食前は出かけない、早くヒヌンダヤンに帰りたいと言つてゐたのに)アタシ一人が留守番。郊外の、隣宅も建てたが住んでもゐないコンドミニアムで外から開けっ放しで賊にでも入られやうものなら金銭ばかりか易々と命も奪はれるか。風通しよき廊下に寝転がって読書。昼前にA氏にDの車でタクロバンの空港に送つてもらふ。A氏にはこの四日間顎、脚、枕とすつかりお世話になつた。13:40発のセブエアーのマニラ便。出発時間の掲示などないので待つしかないが搭乗時間過ぎてもマニラからの便が到着せずFlightradarのアプリで見ると、それはマニラを発つたばかりでタクロバン着が14:10とある。このアプリこんなに便利だとは。暫くしてアナウンスあるが搭乗客は「いつもこんなもの」と慌てもせず。空港はフィリピン航空、セブエアーとAir Asiaの共用で3社のマニラ便とセブエアーのセブ行きのプロペラ機の時間が前後して待合室はかなりの混雑。トイレに行きたいが席を立てば誰か座られさうだし荷物置いてゆくわけにも行かず隣席の客に「ちょっと荷物見てくれます?」と頼んでもいゝが、それじゃテロリストだと疑はれること心配する馬鹿な世の中、偶然だが隣席の西洋人の荷物のタッグ見たらブリュッセルと住所あり洒落にならぬ。着陸した飛行機は20分ほどで客を乗せて出発してゆく。その間、機長もフライトアテンダンドも機体から降りず。機内清掃まで済ましてスタンバイとは大変だ。1時間余の遅れで出発。予約時にP200だか追加で指定で非常口になるextra leg room席予約したら確かにプレミアムエコくらゐの余裕あり。タクロバンの空港離陸するとA氏のコンドミニアムまでよく見える。マニラ着。復路も予定通りなら晩のCXのフライトまで5時間もあるのでマニラ市街に出られゝばと考えてゐたが復活祭祝賀が今日から始まるとは知らず(香港は明日から)空から見下ろしたマニラの幹線道路は驚くほど車は少ないが、この連休の間はMRTなどかなりの間引き運転、それに加へ昨日のブリュッセル空港での爆発テロでマニラの空港も厳重警戒と昨晩のテレビニュースは伝へ、タクロバンからの便の延着では空港待機せざるを得ず。CXのチェックインで先発便狙つたが間に合はず。ラウンジでここ数日の画像をネットに上網してゐる間にあつといふ間に搭乗時間。復活祭の休日入りが嘘のやうに空席目立つCX902便で香港に還る。香港の気温は摂氏15度。覚悟したほど寒くはないが小雨。連日とんでもない雨や雷だつた由。
▼香港のテレビ局ATVの臨終近いなか勝ち組であるはずのTVBも放送の本業では上場27年目で初の赤字(428万香港ドル)の由。所詮人口750万人で(広東省での視聴加へれば2千万人だが)視聴者離れ深刻で視聴率減=広告収入減。新聞も同様だがテレビも新聞も売り上げ伸ばすには下手したら広東省市場の開拓で、そのためには党政府のプロパガンダ受け入れざるを得ず、それじゃ香港での人気低下。二進も三進もいかぬマスコミ業界。