富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2017-05-29

農暦五月初四日。電車の中とか歩道で、この高温多湿でがっちりと抱擁するアベックには頭が下がるが左の相四つでお互ひ須磨帆を見てゐるといふのは奇妙なものである。早晩に湾仔。よく通る道にある茶餐庁の看板に大きく「金玉在其中」とあるのには今まで気づかず。金玉は金玉満堂といつた言葉ある通り金の玉で「素晴らしいもの」で(日本語ではそれが転じて睾丸の意)、この「金玉在其中」はこの肆にそれほど素晴らしいものがありますやうに、つまり商売繁盛のやうな意になるのだが「金玉在其中」と書かれると日本語的につい「陰嚢か?」と思つてしまふから。黄昏にバーMに京都B氏誘ひ早酒。鵝頸橋の料理屋に老香港のオヤヂばかり9名も集まり宴会。デザイナーT氏が長年勤めた会社から退職され慰労会。恒例で鵝頸橋公衆便所お練りで通り抜けバーSに騒ぐ。半夜三更に広島バクダンつけ麺。

民国政府の汪精衛といふと親日で日本軍の傀儡政権のやうにいはれるが党内では蒋介石との不和があり対日和平工作でカウンターパートであつた近衛文麿が失脚し強硬派の平沼騏一郎首班となつたことで工作は頓挫。歴史に「もし」はタブーだが、この和平工作が成功してゐたら中国にしてみたら国共内戦も、日本にとつては太平洋戦争に至る時代もどうなつてゐたか。世界は現在の図式とかなり違ふものになつてゐたことは確か。