『サウス・バンド』

サウス・バウンド

サウス・バウンド

奥田英朗さんの作品です。
彼の作品では、断然『インザプール』から始まるシリーズが好きですが、このお話はそれに通じるモノがあるので、好きです。

ひと言で表すと、小学校6年生の少年と理不尽な父とが織りなすアドベンチャー(?)です。
第1部は東京が舞台で、父親はただのぐうたらで働きにもいかず、息子の学校にいちゃもんをつけたりするどうにもならない大人です。
ついでに、煮ても焼いても食えなさそうな不良も出てきたりして、ついつい思い出したくもない自分の小中学校時代を思い出しちゃいました。
私が通っていた学校も不良が多かったのです。公立だったし。
第2部が、いきなり南の島(西表島)に飛びます。東京で父親(とその元仲間)が問題を起こして、居られなくなったから、主人公一家は唐突に南の島に移住します。
そこでも、父親は相変わらず。でも、朝から畑を耕したり漁をしたり、働き始めます。
最初は単なる移住だと思っていたのに、住み着いた先の土地が曰く付きで、気が付けばとんでもないことに……。
そこで、第1部には第2部への伏線がけっこう張ってあったのか!と気が付くわけです。
第1部が少しかったるいけれど、それを過ぎればお話のテンポも良いし、何より主人公父のキャラが良いです。
母も素敵です。
色々と問題のある家族だけれど、彼らなら大丈夫!と太鼓判を押せるような素敵な家族のお話です。
これは、中学生くらいの子に読んで欲しいな。


コンビニがないのは困るけれど、南の島に移住したくなりました。
人間、何も無ければないでけっこう楽しく暮らしていけるのですね。