June 17, 2011 うけためて一服 ‐ 2
Satellite
(短歌研究 創刊800号記念「うたう」作品賞 佳作 2000)
欲しかった。薄い気体に生まれ出る
陽光の色ここでスパーク
無反応だろうが回るレーダーの
ように焦らず恋は待つもの?
沈黙を守り続けた子羊が
柵を飛び越え喋りはじめる
ご用心こだわりすぎも困りもの
見切りをつけて諦めるも吉
「あたしこの恋愛がいい」カタログの
頁を折って電話を掛ける
あくまでも優しく不意に毒舌な
彼女の口に甘いケーキを
蛇口から滴る朝がアイスノン
効果で腫れた瞼を癒す
取換えのきかない君からみた僕は
在庫の余るなにかの部品
込み上げる力は巡り走り出す
抜け落ちたネジ道に弾ける
逸らされたすれ違う目を追っている
昼のかけひき What's your game?
振り出したいつものビタミン3錠が
僕を冷やかし噛み砕かれた
旺盛な食欲みたく健やかに
且つ貪欲に会いたい、君に
ねこみたくじっとしたままブラインドの
まだらな影で煙草を吸った
足取りはこのままずっと変ロ調
バンドエイドを肌身離さず
長い影伸びて静かに太陽が
連れてく連なる電信柱
何日の生が煙草で消えたのか
タバコ片手に計算しても
世紀末だから囁く「エイズはね、
実は集団幻想なんだ」
まばたきの振動でさえ消えてゆく
秘密は茜空の裏側
無機質に僕に触れてる指先が
コップの水に透きとおってる
随分とロマンチックが降らないね
週末ふたりで映画にゆこう
お出口はすぐそこですがお客様、
再入場はできないのです
How are you? くしゃとしたままポケットの
中に留まる半券気分
疲れ目に染みる別れは週間の
漫画扱い 読み流してる
眼前に赤いボタンが。押してみた。
たちまちポップ 蝉時雨アワー
ファジィな夜は絨毯に寝転んで
テレビと生を重ねて観てる
寝る前にラジオをかけた そうしたら
「君はアリーテシンドローム」と
走ろうがスキップしようが辿りつく
フェイドアウトな白線の位置
張り付いた昨日を剥がし念入りに
体を拭けば意外に愉快
ガラス戸の隙間に薫る雨そっと
膝のかさぶた疼かせている
ショートして軋む背骨を伸ばしたら
キチンとはまり軌道にもどる