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formadiのブログ

2013-12-04

ミシェル・ウエルベック『地図と領土』 01:25

フランスで50万部を超えた 鬼才ウエルベック最大の衝撃作
孤独な天才芸術家ジェドは一種獰猛な世捨て人の作家ウエルベックと出会い、ほのかな友愛を抱くが、作家は何者かに惨殺される。目眩くイメージが炸裂する衝撃作。

ウェルベックの最新作。翻訳は『素粒子』に続き野崎歓。
美術家が主人公だということで読んでみた。ジェフ・クーンズとダミアン・ハーストの名前が一ページ目から踊っていたし。
クーンズと言えば、最近ではガガの3枚目のアルバム「ARTPOP」のアートワークを担当した彼です。
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主人公はジェド。彼の20代から晩年までを描き、そこに作家・ウェルベックや彼女となりその後も関係が続くロシア人のミシュラン社員・オルガ、ギャラリスト・  、アートの媒介人・  との群像劇が挟み込まれる。
これまでのウェルベックの作品は、読みやすくはなかったという。その点で、普通の小説である『地図と領土』は新境地だ。
あらすじを追ってみよう。
若く名もないジェドは地図を使った写真の作品を作り出す。すると個展にミシュランの社員の女性が来ていて、二人は付き合う。フランスで4本の指に入る美人で、彼女の引き立てのおかげで作品は売れ社交界へのデビューも果たす。が、翌年彼女はロシアに転勤してしまう。時を同じくしてジェドは写真作品をやめる。10年で着々と名を成していったジェドは、新しく個展をすることになり、友人の作家・ウェルベックに文章を依頼する。文章のお礼として肖像画をプレゼントすることになった。新しい作風として著名人の肖像画を披露した個展には久しぶりに彼女が訪れ、大晦日に再会する。一方、ウェルベックは殺されていた。同じくして父親も死へと向かう。老人ホームにいたのだが、安楽死を選んだのだった。ウェルベックは、医師に殺されたことが判明する。殺しに使った道具が一致し、肖像画が保管されていたことから足がついたのだ。そして、ジェドは60を迎えた。

解説で興味深かったのは、p399の最後

闘争領域の拡大

闘争領域の拡大

ウェルベックの処女作。
読みながら鬱状態を追認できる作品。目端が利く以外は凡庸なエンジニアが次第に崩壊していく様を丁寧に描いている。
そしてきっと崩壊していったのではないのだ。最初から、壊れていた。それにやっと気づくことができだすのが後半だったということだけなのだろう。部下との抜き差しならない関係性は魅力的に描写され時に緊張感があるものの笑えるのだが、結局はバカにしていた部下と同じだけ主人公もモテないし、孤独であることを突きつけられる、しかもそれが鬱と合いまって兆候するという展開には度肝を抜かれた。
若い時には夢と希望に溢れているのが一般的で、つまり闘争領域は拡大し続けるように想像された。しかしそんなことはなく、齢を重ねるに従い拡大などしなくなる。部下の醜男はそれでも童貞であることが肝となって、拡大をやめなく続けている。隣の女子高生は自分に気があるかもしれないと信じることができ、クラブハウスでは若い女とホテルに行くことも吝かではないと振る舞えてしまう。そこにきて主人公はモテないくせに、拡大はストップしてしまっているのだ。この中途半端さに付き纏う恐怖は確かにあるのだ。

ある島の可能性

ある島の可能性

特定秘密保護法 16:41

特定秘密保護法について世間では議論が喧しいです。落ち着いて自分はどう考えるか明らかにするため記事を作りました。リンクを引っ張りながら考えていきます。特定秘密保護法の全文はこちら

視点・論点 「特定秘密保護法案」 | 東京大学教授 長谷部恭男
この視点が、最も腑に落ちました。全面的に同意します。
(一方、「憲法学と国法学は、東大法学部的にはかなり近い。長谷部先生も、国家を第一に「法」を考える立場。だから、個人も「民」も決して国家を優越する何かであってはならない。 」というツイートを見かけなるほどなと)

特定秘密保護法は「治安維持法」ではなく「スパイ防止法」である | 池田信夫 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
一番よくある誤解は「戦前の治安維持法のように言論統制を行なう法律だ」というものだ。治安維持法はすべての国民を対象にする法律だったが、特定秘密保護法は「我が国の安全保障に関する情報のうち特に秘匿することが必要であるものについて、特定秘密の指定及び取扱者の制限その他の必要な事項を定める」(第1条)ものであり、その対象は一般国民ではない。(...)

報道の自由が侵害される」というのも誤解である。報道機関は第22条で除外されており、規制対象ではない。特定秘密の取扱者の秘密漏洩を「共謀し、教唆し、又は煽動した者」(第25条)は処罰されるが、これは今の国家公務員法や自衛隊法と同じで、特定秘密保護法で新たに処罰の対象になるわけではない。(...)

「原発反対運動が取り締まりの対象になる」ということもありえない。特定秘密は、防衛外交・特定有害活動・テロリズムの4分野に限定されている。「財物の窃取若しくは損壊、施設への侵入、有線電気通信の傍受、不正アクセス行為その他の特定秘密を保有する者の管理を害する行為により、特定秘密を取得した者」(第25条)は処罰されるが、これは現行の刑法や不正アクセス禁止法とほとんど同じだ。(...)

 こういうスパイ防止法は、どこの国にもある。日本でも中曽根内閣のころから何度も国会に提出されたが、野党やメディアの反対でつぶされた。民主党政権でも同様の法案が検討されたので、これが日米防衛協力の障害になっていることは民主党も知っているはずだ。上にみたように、メディアのあおっている不安には根拠がない。

 しかし安倍首相がこのような国防の根幹にかかわる重要法案を臨時国会に提出し、わずか1ヶ月で成立させるのは拙速である。これは国家安全保障会議(日本版NSC)が12月4日に発足するのに合わせたのだろうが、両方とも一刻を争う法案ではない。

 特定秘密の指定基準は第三者機関でチェックすることになっているが、法案では明記されていない。必要以上に広い範囲の情報を特定秘密に指定し、それにアクセスする人を逮捕するようなことがあってはならない。この法案はそういう微妙な部分を政令にゆだねているので、今後も監視が必要だ。

また、池田信夫さんの議論もまっとうであるように思いました。この二つの議論の総体が、そのまま自分の意見と言ってしまって差し支えないです。

(異議あり 特定秘密保護法案ワイド)暴挙・愚挙だ。廃案に 上野千鶴子さん:朝日新聞デジタル
情報公開法があるのにそれを有名無実にしようとする権力の横暴。
(...)
法案の最大の不気味さは秘密がどこまでも拡大し、歯止めが利かなくなる可能性があること。情報公開をしたくない為政者を守る法律にすぎない。公文書の管理と情報公開の流れは世界的トレンド。米国にさえある情報公開のルールを、さらに後退させたもので、対案どころか、廃案にするしかない。

反対派の意見です。情報公開は確実に進めなければなりませんが、国の情報を現時点ですべて公開すべきとも思いません。数年後、数十年後に確実に公開する。また、資料は絶対に破棄しない。このようなことを決めた上で、国家の判断で公開しない情報を決めることは、外交防衛の視点から当然の行為であるように思います。民主党政権において防衛資料が多数破棄されていたということがありました。特定秘密保護法以前にもそういうことはあったのであり、別途考えるべきことでしょう。資料破棄は言語道断です。情報公開の基礎を揺るがします。

特定秘密保護法案、絶叫ではなく議論が必要なら、その中身は? | 冷泉彰彦 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

意見の異なる相手に「恐怖や怒り」を生じさせるような効果は期待していないからです。その点では、俗にいう「ヘイトスピーチ」とは異なる

「ヘイトスピーチ」とは勿論異なるのですが、意見の異なる相手に「恐怖や怒り」を生じさせてしまっている現状は事実だと思います。震災後の官邸前のデモからの歩みによりデモに慣れがでてきており、偶然先日みたデモでは、歩道を歩いている自分にも威圧的な感覚が与えられました。もしも、デモは自由であり民主主義の根幹であると、日夜行政府、及び立法府の関係者に攻勢がかけられれば、彼らに「恐怖や怒り」を生じさせるのは当然でしょう。でもそれは国が規制できることでもないので、デモをする側の裁量に任されているのだと思います。特定秘密保護法によってデモが規制されるなんてことはあるわけないと思うし、あれば世論によって正そうと動くべきだと思います。

政府が「安全保障に関する情報」を秘密にすることが経済合理性や人命保護という観点から「プラス」である場合です。仮にそうだとして、つまり政府がそのように判断したからといって、勝手に「では秘密にしよう」とすべきではありません。それでは、恣意的に過ぎます。行政権の肥大を招き、結果的に国政の正当性を毀損する危険すら出てくるからです。

これは「プラス」であるに決まっていると思います。

軍事外交上の機密訓令に使われる暗号や、重要な施設に許可された関係者だけが出入りする際の暗証番号といった「既に秘密扱いが法令や社会通念上認められているもの」あるいは「既に秘密扱いが認められている対象の秘密を保持するための手段」

安全保障上の軍事バランス確保や、通商に関する外交問題など、「こちらの出方を相手に知られてしまっては、相手の行動が変化して当方の不利益になる」という種類の情報

この二つについて国民にコンセンサスが取れていないのだとすれば、それはまさに日本国民の側の問題だと言わなければなりません。先程の長谷部恭男氏の解説の通り、現時点でその機密の定義を細かくすることは不可能であり、他の法でもそんな細かくは定義しないのが通常です。

「政府が情報を隠す」ことが、経済合理性や人命保護という観点から「マイナス」である場合です。例えば経済的に過大な譲歩をする約束を他国と交わしているとか、大変に危険な場所に自衛隊派遣しているにも関わらず危険性を示す情報を隠しているというような場合もあるでしょうし、更に自衛隊の装備に関する入札に不正があったが防衛機密の名の下に不正行為を隠蔽しているというような場合も想定できます。
 そのような場合は、政府の「情報隠蔽という誤り」を暴露して政策を修正するという機能が、この社会には必要です。そうした観点から考えれば、内部告発者の保護、ジャーナリズムによる情報提供者秘匿の権利の保護といった制度を整備することが必要となります。

これは問題です。国は現時点でも「マイナス」の情報を隠そうとするのですから、このような時こそジャーナリズムの出番と言えるかと思います。

田原総一朗「特定秘密保護法案の本当のターゲットは『日本国民』だ」 〈週刊朝日〉

 大変危ない代物である特定秘密保護法案が、11月26日に衆院本会議で可決された。自民党、公明党、みんなの党が賛成したのである。朝日新聞は27日付の社説で「数の力におごった権力の暴走としかいいようがない」と憤激し、毎日新聞は「あぜんとする強行劇だった」とあきれかえった。

確かに拙速な議論で無理矢理に通すのはよくないと思います。

 特定秘密保護法案の対象は防衛外交スパイ活動テロ防止などの4分野で、防衛防衛省、外交は主として外務省が担当するのだが、スパイ活動テロ防止を担当するのは警察なのである。もっと言えば、防衛外交スパイ活動テロ防止が加わっていることがこの法案の最大の問題点であり、新聞、テレビ、雑誌の報道でも、このことの指摘が欠落していたのだ。
 警察といっても、この場合は公安警察だ。スパイ活動テロ防止のための任務とは、つまり国民を監視するということなのである。
 例えば原発反対のデモを行うとする。デモのための打ち合わせをして、範囲はどこからどこまでにするか、規模はどのくらいにするかを決める。もちろん、整然としたデモを行うわけだが、警察がその気になれば、こうした当たり前の活動さえも、テロ防止と結びつけられなくはない。いやむしろ、積極的に結びつけようとするのではないか。
 要するに、公安警察が狙っているのは治安維持、いや治安強化であり、その対象はほかならぬ、日本国民全般なのである。
 現在でも、多くの市民運動に警察は少なからぬ関心、というより警戒心を持ち、治安維持の観点からできる限り詳細にとらえようとしているはずである。主たるメンバーのリストは当然作られ、その行動が記録されているに違いない。
 そこにスパイ活動テロ防止という大義名分が加われば、その範囲がさらに大きく広げられることになる。繰り返し記す。特定秘密保護法案の最大の狙いは治安強化であり、対象はわれわれ国民全般なのである。

と、ここまでいろいろ書いてきたが、この説明だと納得する部分が大きい。特定秘密保護法が、「防衛」「外交」のみであれば容認できるという反対者も多いということだろうか。私も、「防衛」「外交」のみに絞った特定秘密保護法に改案するのなら容認するという立場に変更したい。

落合弁護士による「特定秘密保護法案の刑事手続上の論点」(江川 紹子) - 個人 - Yahoo!ニュース

法案が想定する各種犯罪行為は、高度の政治性(...)公安事件の特徴としては、「犯罪があるから捜査する」だけでない。
たとえば「捜査すべき組織や人がいるから捜査する」「捜査することに意味、意義がある」「捜査により組織や人に打撃を与える」といった政治的、恣意的な捜査が行われることが往々にしてある。

そうか、このような恣意性があるのか。こわいな。

秘密保護法案:衆院委で参考人質疑 田島氏ら4教授が意見− 毎日新聞
 田島氏は「内閣が(30年を超える秘密指定を)承認すれば永久に出ない可能性もある。(特定秘密の)指定も有識者が直接関与する仕組みではない。これではチェックは果たせない」と批判した。また、同法案に国民の知る権利が明記されたことについても、「明記されたから保障されるということではない」と指摘した。
 これに対し、東大大学院の長谷部恭男教授(憲法)は「特別な保護に値する秘密の漏えいが、みだりに起こらないように対処することには高度の緊要性が認められる。必要な制度を整備することは十分合理的だ」と述べ、法整備の必要性を強調した。
 春名幹男早稲田大客員教授(インテリジェンス)は、情報公開法や公文書管理法を改正し、情報公開の仕組みをより透明化する必要性を指摘。永野秀雄法政大教授(情報公開法)は、民主党が提案している文書の不開示が妥当か裁判所が判断する「インカメラ審査」について、裁判所の厳格な秘密管理の法整備がなければ現実的ではないとの考えを示した。

春名氏の指摘が最もだ。情報公開の仕組みの透明性の徹底化が特定秘密保護と両輪でなされるべきであろう。上記の参考人質疑における長谷部恭男氏の陳述文字起こしはこちらで、全体の映像は以下のものになる。


保全監視委に「第三者機関と言えるのか?」疑問の声が続出 特定秘密保護法案

事務次官クラスが入った官僚主導の組織となっていることに、維新側は「第三者とは別物」と反発。ネット上でも「自分で自分をチェックしてもどうしようもない」などと反対意見が続出している。

記事の通り、官僚を入れて身内を身内でチェックする第三者機関ではなく、外部の人間を入れて公明正大にやってほしい。

「特定秘密」チェック機関は法律施行までに設置 NHKニュース

「特定秘密」の指定の妥当性をチェックする新たな機関について、行政機関の内部に置く場合でも独立性と公正性を確保し、法案の可決・成立後、公布から1年以内とされている法律の施行までに設置する考えを示しました。

これならば第三者機関としては、認められるのではないでしょうか。

東京新聞:「秘密国家へ道、廃案に」 分野超え、ノーベル賞学者ら会結成
特定秘密保護法案 文化人らが反対声明 NHKニュース
映画愛する皆さん秘密法案反対を 高畑勲監督ら - 47NEWS
学者の会」「映画人の会」「表現に関わる人の会(表現人の会)」など別個に反対声明を発表しており、声をあげることは勿論いいことです。ただ、中には単なる反対ではなく、例えば「防衛外交に限っては妥当な法案だけど、治安維持に関しては言語道断」といった表明もあってもいいとは思いました。意見表明は何かがあるとこうやって起こることはこれまでにもありましたが、これほど盛り上がったのは初めてではないでしょうか。しかし、ノーベル賞学者はそれだけでクローズアップされるのはどうかと思いますが。

12月3日の「特定秘密保護法案に反対する学者の会」記者会見 (内田樹の研究室)
学者の会の記者会見全文です。アピール賛同者のリストはこちら

これは現代の治安維持法です。つまり、これは、やっぱり治安立法なんですね。治安立法なんですよ。それで、しかも、これはナチの全権委任法に限りなく近いんです。つまり行政府が、これが特定秘密だ。これは特定秘密に触れているというふうに判断すれば、何でもそれが取り締まりができるっていうね。ちょっとものすごい法な訳ですね。(栗原彬)

仮に同時代的には公開できないとしても、それは歴史の中で必ず検証されねばならない。その意味で、果たして、この法案を推進する政治家たちが、自らが歴史において、裁かれる。歴史という法廷の前に立つ。それぐらい、どうしても秘密にしなければいけない。自分は政治的生命を賭けても、そう判断する。それだけの覚悟があって、やっているのか。そうではなく、ただ、普通にやっていればいい。当たり前のことをやっていれば処罰されない。こういうふうに、多くの政治家は言います。しかし私は何が普通か、何が当たり前かを、政治家によって判断されたくはありません。(宇野重規)

貧困の程度というような、権力者にとっては往々にして不都合なデータが、いかに長年の間封じられてきたかということを、身をもって痛切に知っている(大沢真理)

声明では、基本的に「民主主義の危機」が叫ばれる。「民主主義の危機」っぽい事案があれば「民主主義の危機」と叫べばかたちがつく。そこから逸脱した、今回の事案は他とはちがいどこが特別「民主主義の危機」にあたるのか、その詳細な訴えこそ大切だろう。大沢の訴えなどは研究の実感に基づき、こちらを納得させる。

Secrecy Bill Could Distance Japan From Its Postwar Pacifism - NYTimes.com
翻訳がなされています。ここ(内田樹の研究室)ここ(極東ブログ)

特定秘密の保護に関する法律案Q&A | コラム | 自民党の活動 | 自由民主党

日本のメディアは国家権力と闘ってきたのか? 特定秘密保護法案に反対する記者クラブの偽善:JBpress(日本ビジネスプレス)
正式の記者会見だけでなく、「記者レク」と呼ばれる非公式の懇談会が大事で、ここで聞いた話はオフレコ(記事にしない)である。
 メディアが特定秘密保護法に反対するのは、こういう特権がなくなることを恐れているからだ。官僚が今までレクで教えてくれた情報を「守秘義務がある」といって教えてくれなくなると、正式発表まで書けなくなる。
 しかしレクで話すのは、役所にとって都合のいい情報である。書いたら役所が困るような本物のスクープは、記者クラブでは絶対に出てこない。役所が家賃や電気代を出すのは、彼らの利益になることを書かせるための賄賂の一種なのだ。(...)

クラブに張り付いて役所の情報をもらっている記者が「特定秘密を暴くと逮捕されるから法案に反対しよう」とは笑止千万である。
 国家機密を暴く報道は今でも違法であり、特定秘密保護法ができても違法だが、それが本物のスクープなら検察も起訴できない。報道の自由を守るのは法律ではなく、ジャーナリストの矜持と国民の理解である。


参院で野党委員長を初解任 異例の事態に - 47NEWS

野党の委員長を解任したのは衆参両院で初めてで、与党がポストを奪う極めて異例な事態となった。

選挙でひとつの勢力を多数当選させるということは当然こういうことも起きるということ。与党勢力としては使える力を使ったに過ぎないのだろう。たしかに、怖いことだ。数が多ければ、議論を経なくてもいいということなのだから。

朝日新聞の特定秘密保護法案への反対報道に思う 深沢明人

彼らは本気でそう考えているわけではないのだろう。
 本気でそう考えているなら、法律が成立した後でも、さまざまに論陣を張って法律の廃止を主張すべきだろう。
 しかし、彼らはそうはしない。法律が成立してしまえば、何事もなかったかのように日常に戻り、また別の話題に飛びつくだけだ。

自社の自説を熱心に繰り返し説くことは、もっと強まってさえいいと思ってきた。「公平」報道を掲げて無味乾燥報道しかしないのであれば、通信社のストレートニュースで構わないからだ。だから、朝日新聞の論調も別にどうでもいい。反対を掲げるなら、反対という論調に都合のいい見出しと人選をしてもおかしくはない。ただ、著者のいうように、流行りの話題では民主主義を守らなければと嘆き、又べつの流行りのトピックがでてくればそちらで嘆くというスタンスでは、建設的に議論を積み上げることなどできないだろう。


そして、ついに、採決された。
秘密保護法案 参院特別委で可決 NHKニュース

うんざりするほど当たり前のこと:日経ビジネスオンライン
小田嶋隆のコラム。

自民党にフリーハンドを与えた以上、この日の来ることは既定路線だった。(...)

特定秘密の指定について恣意的な運用が可能であること、行政府の権限を無限に拡大する恐れがあること、情報開示の方法と原則について明確な規定を持っていないこと、第三者のチェックが周到に排除されていること、条文の中に共謀罪とほぼ同等の規定がこっそり書き込まれていること、「適性検査」という信じがたい人権侵害規定が含まれていること、想定されている同盟国(米国)に対して無力なこと、罰則規定が重すぎることなどなど、書こうと思えば書くべきことはいくらでもある。(...)

特定秘密保護法案についての記事を書く気持ちになれなかったもうひとつの理由は、「活動家」みたいな仕事をしたくないと考えたからだ。
言い換えれば、現時点で自分がこの話題について原稿を書くと、反対運動を展開している活動家が書くみたいな文章になる気がして、その文章の色気の無さ(というのか、硬直した文体)に、わがことながら、あらかじめうんざりしてしまったわけだ。(...)

もう少し率直に言うと、私は、「私たち」という設定にうんざりしているということだ。
しばらく一人にしておいてくれ。
読者のみなさんにも、一人で考えることをおすすめしておく。


特定秘密保護法案のポイントは文書主義の徹底ではないか?という会話 - Togetterまとめ

これまで政府の持つ情報は原則秘密で、情報公開によって例外を作り出してきた、という感覚からは特定秘密保護法案は屋上屋を重ねる悪法だろうが、逆に特定秘密に指定されないものは原則公開となると情報公開法の立て付けを変える必要が出てくるよなあ。


特定秘密保護における第三者機関の独立性 - sunaharayの日記

特定秘密保護法が6日夜の参議院本会議で可決、その雑感: 極東ブログ
これまた丁寧で我が意を得たりと思えたブログ。

自民党、特に安倍首相はかなり譲歩したし、国内外から批判されていた問題点の多くも修正されたので、ここで廃案にするデメリットとメリットをバランスして見れば、しかたがなかったかという苦々しい思いはある。(...)日程的に押していたのは、本法案と両輪になる日本版NSCである国家安全保障会議の効果的な運用ということがあった。逆に言えば、この法案の阻止は日本版NSCの弱化に繋がり、現時点で日本の外交軍事弱化のメッセージを出せば、そうでなくても日本のメディアなどから発信される混乱した日本の外交軍事情報で中韓などが勘違いした攻勢に繰り出しているなか、さらなる混乱を招きかねない。

同感。

官房長官は5日の参議院特別委員会で、「法律の施行までに内閣府に20人規模の『情報保全監察室』を設置して業務を開始したい。必要な場合は立法により、できる限り『情報保全監察室』を『局』に格上げすることを約束する」と述べたが、現状では「必要な場合は立法」という口約束だが、これを(1)法改正に盛り込み、また、(2)同室の独立性を高めて行政から分離できれば、とりあず及第点ではないかと私は思う。(...)みんなの党に押され、土壇場でチェック機構が出て来たのは、当初はそれだけずさんな法案だったことが否めない。(...)今回の法案は「強行採決」という批判もあったが、そもそも現自公体制なら、往事の民主党政権のように最初から議論もせず文字どおり「強行採決」させることもできた。むしろ、安倍首相はそれを避け、みんなの党を中心に野党や国外の批判を吸収したがゆえに、土壇場の修正となった。

おっしゃるように、法案に盛り込めば及第点ではないか。それに、改善案を受け入れる態度は、賞賛されるべきだろう。それでもなおこの法案に反対するのであれば、具体的な問題点を挙げて対峙すべきだ。強行採決について書かれていることももっともだと思う。

一連の経緯で私が一番残念だったのは、民主党の海江田万里代表が「天下の悪法が衆院を通過してしまった。全くの暴挙であり、参院の努力で廃案に追い込もう」と述べたことだった。もともと民主党政権時に蒔いた法案であり、政権政党まで担った民主党が、この法案の重要性を理解できないわけがなく、そうであれば、土壇場を前倒しにしてチェック機構を法案に盛り込む提言を積極的にすべきだった。しかし、海江田代表の頭にあったのは、「廃案に追い込もう」ということだった。落胆した。現下の政治風景でなにが残念かといえば、現政権がこけたとき、金融・経済政策と外交軍事政策をきちんと堅持できる代替政治勢力が見当たらないことである。
 もう一つ余談めくが、知識人の頽落した光景にも溜息が出た。そんなものは1980年代の反核騒動で経験済みと言えないこともないが、むしろ、それ以降に登場した、オールタナティヴな知性が今回の件で、ばたばたと屈していく光景を見た。洒落た諧謔や、中立的な冷静な視点で議論を展開していたオールタナティヴな知性が、たとえば反自民ならなんでもいいといった素朴な政治構図に落ちていく様を見るのは、なんとも言いがたいものだった。

最大野党が創造的な対抗手段を常に取れるようにすることが政権を固定化しないために必要な最低限のことだし、知識人のいちような反応へのコメントも最もだと思った。

機密、かくも漏れるものか…福田元首相が経験談 : 政治 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
率直なコメント。好感が持てるし、その通りだと思う。

 福田氏は自らの経験を引き合いに「私も官房長官をした時以来、日本の機密情報はかくも漏れるものかと身をもって体験してきた」と立法の必要性を強調した上で、「そういう面ではとてもいい法律だが、これから相当運用を気をつけないといけない」と指摘した。
 福田氏は「国民にとって情報はとても大事。本当の情報なくして正しい判断はできない。これから政治家メディアの皆さんが状況をみながら注文をつけてよりよい運用がなされる法律に仕上げてほしい」と期待を寄せた。

【秘密保護法「日本の後退」】「21世紀に民主的政府が検討した中で最悪」 : 47NEWS
民主主義の発展や人権擁護に取り組む米財団「オープン・ソサエティー」は6日までに、日本の特定秘密保護法が国家秘密の保護と開示に関する国際基準を「はるかに下回る」とし、「日本の一歩後退」を示すことになると懸念する声明を発表した。
(...)
国防総省や国家安全保障会議(NSC)の高官を務めたハルペリン氏もコメントし、特定秘密保護法が「21世紀に民主的な政府が検討した中で最悪の部類」とした。

「第三者機関」について改めて考える(特定秘密保護法):源清流清 ―瀬畑源ブログ―:So-netブログ

安倍首相「丁寧に説明すべきだった」 特定秘密法で会見:朝日新聞デジタル
 首相は、知る権利を侵害する懸念について「通常の生活が脅かされることは断じてあり得ない。今ある秘密の範囲が広がることはない。報道などで友達から聞いた話をブログで書いたら民間人でも厳罰とか、映画などの自由な創作活動が制限されるということは決してない」と語った。

 首相は会見で秘密の指定、解除、保全のルールができたとして「格段に透明性も責任も明確になる」と語った。だが、新設する「保全監視委員会」や「情報保全監察室」といったチェック機関について、官僚が指定する秘密の妥当性を官僚自身がチェックすることで透明性をどう確保できるのか、など具体的な説明はなかった。

安部首相の会見全文はこちら