2014年に読んだ本をいくつか
良かった本も悪かった本も。
ノンフィクション系
これが見納め
- 作者: ダグラス・アダムス,マーク・カーワディン,リチャード・ドーキンス,安原和見
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 2011/07/23
- メディア: 単行本
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2014年に読んだ本で、一番読んで良かったと思った本。でもどう感想書けばいいのか難しい。
概要としてはドタバタ旅行記。ただし扱っているテーマは動物保護。序文で「一度も吹き出さずに読めるページは、1ページもない」とあるように、基本的には笑える本。けれど、著者の指摘する問題点、とくに人間側の抱える問題への指摘はとても厳しい。読んでる間は楽しいのに、感想を書こうとすると真面目になってしまう本。
旅行記の部分は面白い。普段イギリスの文明化した都市部に住んでる作家が、文化の全く違うアフリカ奥地や南の島、中国などへ希少動物を見るために出かけていく。飛行機のチケットをとるのにわいろを要求される。チケットを取るのにたらいまわしにされる。アフリカでは蚊の退治のために徹夜する。毒蛇の多い島に行く前、専門家にアドバイスを受けたら「対策は蛇に噛まれないことです」と諭される。中国のホテルで「赤い壁に金の龍の像、なのに音楽はエルトン・ジョンだからわけがわからない*1」とカルチャーショックを受ける。
こういう部分は軽く読んで楽しめます。
その一方で、笑えない自然保護の現状も書かれています。
たとえば保護動物を観光名所にする理由。希少動物を見世物にするのはよくない部分もあります。けれど、「観光収入>密猟収入」になるようにしておかないと、密猟が増えてしまうという事情があるそうな。
そもそも絶滅の危機の原因は人間がつくっているわけで。あとがきで著者の一人、マーク・カーワディンが述べているけれど、地球上に人間が登場してから、種の絶滅スピードは加速度的に増えているのだとか。
自然保護と言えば「愛や道徳や人間の素晴らしさ」などというイメージがあったのですが、この本を読むと、自然と人間のかかわりについてもう一回考え直したくなります。コーヒーノキの顛末を読んだ時は「人間全然素晴らしくない、愚かじゃん」と思ってしまったり。
なんかまあ、Amazonレビューのほうが文章上手いので、気になる方はそちらを読んでください。
お金の心理術
- 作者: 多湖輝
- 出版社/メーカー: ゴマブックス株式会社
- 発売日: 2014/08/02
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人とお金のかかわりについて、心理学者が考察している本。著者はレイトン教授や頭の体操で有名な多湖輝。
まず「なぜみんなお金を気にするのか、気にしてしまうのか」ということに、この本は簡潔に答えています。
「お金の使い方は自我を反映しているから」
「何にお金を使うかは自分の責任で、他人に転嫁できないから」
この文章読めただけでも十分だと思いました。
原本が1960年台のため、古くなっている話題も数か所あるけれど、それ以外は十分現在も通用しそう。
題名と表紙で貯金法やお金稼ぎの本に見えてしまうのが残念。
予想通りに不合理
予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 増補版
- 作者: ダンアリエリー,Dan Ariely,熊谷淳子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2010/10/22
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なぜか手を出した行動経済学の本。一般向けに書いてあり、ときどきジョークも入るので読みやすいです。
人間が無意識に判断している行動パターンについて分析されていて、「そうだったのか」と目からうろこだらけ。経済=お金の話題もあるため「お金の心理術」とつながるところも少しあり。
細かいことですが、「〜というわけで実際に大学内でチョコを売ってみた。」「学生つかってアンケートを取ってみた。」など、著者の行動自体がいちいちおもしろいのでそれも楽しめます。
池上彰の政治のニュースが面白いほどわかる本
[図解]池上彰の 政治のニュースが面白いほどわかる本 (中経の文庫)
- 作者: 池上彰
- 出版社/メーカー: 中経出版
- 発売日: 2012/12/14
- メディア: 文庫
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面白い。わかりやすい。知識が増えた。でもおすすめするか迷う本。
テレビのニュースの解説として構成されているので、内容もテレビのニュースに出てくるものに限られます。
取り扱っているニュースも政治のニュースというより「政治家」の話題。まず1章が「『国会議員』はどんな仕事をしている?」という題で、最初に議員の給料の話をとりあげる。要はちょっと印象操作があります。2章以降は1章ほどの大げさは無いけど、最初にそこで引っかかってしまったというか。
「面白いほどわかる」のか、面白がれる話題を取り上げているのか、すこし考えてしまう。
あくまで視聴者向け、消費者向けの本なのだと思います。
知らないことがたくさん書いてある本なのは間違いないけど、これ1冊で自慢げに人に話をするのは自重したい感じです。
日経の東工大講義録みたいな、世の中の問題を中立な立場で伝えてくれる話を期待したらちょっと違った、というのが感想。
賢人の読書術
- 作者: 成毛眞他
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2013/05/10
- メディア: 単行本
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前者が理論の本なら、こちらは実践の本。
各章が見開きでまとまっている。半分が図で半分が文章。文章量も多くなく、具体的なアクション指示が書いてあって行動にうつしやすい。ビジネスマン向けぽいです。
5人の多読を薦める人がいれば、スローリーディングを薦める人も。この本全体で何かの手法を薦めるわけではなく、筆者ごとのおすすめを紹介する形式。内容が具体的なので、なにか1つくらいは実践したいところ。
「本を読む本」(こちらは古い)と内容が重複するところもあって、前者を先に読んでおいてよかったと思った。
内容と全然関係ないけれど、文章少ない、要点簡潔、図を重視、という紙面がパワポ的(?)で、プレゼンの見本にもできそうな気がしました。
残念系
ストレスを柔らげる
- 作者: ジョナサンヒルトン
- 出版社/メーカー: 産調出版
- 発売日: 2007/02/01
- メディア: 単行本
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性格のタイプと、ストレスの影響を受けやすいかどうかには関連があることをうかがわせる、確かな証拠があるようです。性格、つまりあなたがどういうタイプの人間かが、日々遭遇するあらゆる状況に対するあなたの反応に大きな影響を与えることを思えば、それほど意外なことではないでしょう。
というような直訳に近い文章。
内容も「運動しよう」「リラックスしよう」「ストレッチ」など一般的で、(読めた範囲では)特別目新しい内容も無かった。これなら日本語の本を読んだほうが良かったかも。
今気が付いたんですが、原著者は医者やセラピストやトレーナーなどなく「写真関係のライター」らしいです。確かに写真は良いかも。
ところで「やわらげる」って「和らげる」しか変換出ないんですが…
*1:著者はイギリス人