10月3日(水) Re:除夜のテキスト祭 出品作
以下は、昨年末に開催された「Re:除夜のテキスト祭」に参加させていただいたときのテキストの再掲です。
■雷
父から聞いた話。
大雨の日、雷がゴロゴロと鳴るたびに母がビクビクしてるので、父が
「もうええ年なんじゃけえ、怖がってもかわいくないで」
と言ったら、ムッとして黙ってしまった。
気まずい空気になってしまったので、一旦ほとぼりが冷めるまで風呂に入ってきて部屋に戻ろうとしたら、中から母の声が聞こえてきた。
「ひいっ! きゃっ! 違うな…。ふわわわーっ!」
練習してやがる…。
■ダチョウ王国
「こないだね、友達に誘われてダチョウ王国ってとこ行ったんです。牧場にたくさんダチョウがいて、でっかいのにかわいくて、はしゃいじゃったんですけど。
食事にしようって連れてかれたところで出たのがダチョウの肉だったんですよ…」
おいしくてもちょっとやだな。
■床屋
床屋で髪を切ってもらいながらボーっとしてたら、
「終わりましたよ。気持ち良さそうに寝てらっしゃいましたね」
と言われた。
「えっ、嘘やん? 俺寝てた?」
と答えたら
「すみません、嘘です」
その嘘誰が得すんの。
■家族
弟は、いっとき2年間あまり仕事もバイトもしていない時期があった。
「ニートってさ、『働いたら負け』とかって開き直ってるようなイメージあると思うけど、本人にしたらめちゃくちゃ怖いんよ。
一生このままなんじゃろうか。親が死んだら生きていけんくなるんじゃないかって。
それがわかってても働けんのがニートなんじゃけど、そのうえ世間から『無気力』とか『ダメ人間』呼ばわりされてたら、そりゃ余計世間に出て行く勇気がなくなるよ。
でも、父さんと母さんはそういう俺の心境を理解して信じてくれてたんかな。
俺が無職の間、一度も『就職しろ』とか『やる気あるんか』とか言わずに、辛抱強く普通に接してくれててね。
おかげでクサることなく何とか就職できて、今の自分があるんやと思うわ。そこんとこはちょっと感謝してる」
俺は知っている。
弟の就職が決まったとき、父と母が
「もうあいつメシ作ったり掃除したりしてくれんくなるんじゃろうのう」
「残念だけど、しょうがないでしょ。就職できてよかったやん」
と複雑な面持ちで話していたことを。
















