『もっと知りたい伊藤若冲』

もっと知りたい伊藤若冲―生涯と作品 (ABCアート・ビギナーズ・コレクション)

もっと知りたい伊藤若冲―生涯と作品 (ABCアート・ビギナーズ・コレクション)

昨月の話だが上野の東京国立博物館にいってきた。特別展の「対決−巨匠たちの日本美術」を見るためである。20万人以上も入場した人気の展覧会となったらしい。運慶・快慶、雪舟・雪村、宗達光琳、仁晴・乾山、写楽歌麿などそれぞれの展示点数は少ないけれど面白く見れた。

芦雪の「猛虎図屏風」や宗達の「松図襖」も迫力満点だったけれど、若冲の「仙人掌群鶏図襖」が評判どおりとんでもない代物だった。この襖絵は大阪の西福寺が所有しており、年に一度しか公開していないにもかかわらず、最近の日本画ファンならだれでも知っているというものだ。

あえて「最近の」といったのは、若冲は2000年に京都国立博物館で開催された「没後200年」を記念する展覧会で、世間に知られるようになったからだ。それまでは知る人ぞ知るという状態だったらしい。

若冲に関する本は2006年に各地で展覧会が開かれたのを契機として多数出版されている。一番高いのは3万9900円の『伊藤若冲大全』。この本は数ある若冲本のなかで、売上げ4位@アマゾンだ。『若冲を塗ろう』という大人向けの塗り絵の本も出版されている。

本日紹介した『もっと知りたい伊藤若冲』は、狩野博幸著の『目をみはる伊藤若冲の『動植綵絵』』の次に買う本かもしれない。ちなみに狩野先生は京都国立博物館時代に若冲を世に知らしめた美術史家だ。現在は同志社大学教授ということで、ホームページを見てみると、先生おすすめの一冊というのがあった。九鬼周造の『「いき」の構造』である。注釈付きの講談社学術文庫版を早速買って読んでみることにしよう。