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成毛眞ブログ RSSフィード

2009-11-04

11月花形歌舞伎・夜の部

| 06:49

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昨日は祝日。まだ3日目だから、あくまでもこの寸評は、陸上競技でいうところの向かい風参考記録だ。

今月の「三人吉三」は通し狂言である。「月も朧に白魚の〜」で有名な大川端の場から芝居は始まる。お嬢吉三は菊之助であるから安心して見ていられる。けっして弁天小僧ではない、きっちりとしたお嬢吉三だ。リアルなワルを感じることができる。お坊吉三の愛之助はもう必死だ。関西の人が江戸のワルを演じることの難しさがあるのかもしれない。おおむね吉右衛門風だが、初演だそうだから、仕方がないのかもしれない。松緑は前回と変わりがない。「松緑」だ。ワルは一切感じられない。リアルでいい人なんだろうなぁ。

二幕目は伝吉の歌六が良い。しかし、花形歌舞伎を見に行って、まさか歌六がもっとも良かったなどとはとても言えない。若手では手代十三郎の松也の声と口跡が素晴らしい。この人が辰之助でも文句はあるまい。久兵衛役の権一は素でお爺さんだ。多少台詞が怪しくても八百屋のお爺さんだということがわかればそれでよい。

三幕目は吉祥院の場だ。このへんから愛之助が良くなる。いやらしいのだが、背筋が立ったワルが出てくるのだ。この感じで大川端をやれば良いのだと思う。松緑は「墓地の場」で実の弟妹を殺してから仲間のところに戻るというきわどい役なのだが、あいかわらず「松緑」だ。裏の墓地の場で弟役と妹役を殺す芝居をしてきた役者、という風情なのだ。それはそれでよいのかもしれない。30年後が楽しみである。

大詰では雪がどんどん振ってくる。そこまでしなくてもと思われるほど大量に降ってくる。菊之助が梯子を登るために振袖をからげる所作が、とくに意図していないのだろうが色気たっぷりだ。清元は若手が多く、本日は延寿太夫は出演していない。竹本の三味線弾きが聞いたことのない「合いの手」を入れ続けていた。

紅葉狩は鬼揃いだ。つまり主人公亀治郎の侍女が鬼女が変身して出てくるのだ。前半は退屈だ。緊張感がない。中盤の菊之助はかなり戸惑っているように見受けられた。能仕立てと猿之助仕立ての場つなぎなのだから大変なのかもしれない。後半は長唄常磐津・竹本の三方掛け合い合奏による大スペクタクルなのだが、出てくるのはどう見ても鬼女ではない。マンドリルだ。檻の中を足を踏みならして駆け回り、最後には鉄格子にしがみついて、見物客を威嚇する猿だ。やかましいいだけで、見るに堪えない。

Mandrill

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toro-rutoro-ru 2009/11/05 01:10 私は現在就職活動中であり、成毛さんの著書「本は同時に10冊同時に読め!」を読ませていただきとても参考になりました。そこで、いくつかご質問したいことがあるのです。
内容の中に、読書をしている人間でないと話がつまらないと書いてありましたが、仕事の商談ではスポーツの話や
テレビの話なども話題に出てくると思うのですが、それについていけなかったら話がまとまらないと思うのですが本当に読書だけしていればいいのでしょうか?
二つ目に、成毛さんは本書を読んでいる限り、大企業をあまりよく思っていないようですが(華麗なる一族を読まれて大企業へいく気はなくなったと)、結局マイクロソフトという大企業で出世の階段を上がっているように見え矛盾が生じ、読書さえしていればどんな会社でもいいとは思わないのですが、いかがでしょうか。
三つ目に、本書の中で知識と教養さえあれば将来1億でも2億でも稼げるのも夢ではない、そして「生き方」は国が違えば文化が違えば無限にあると書いてありますが、結局それって起業しろということなのでしょうか?その
「生き方」というのは例えばどんなものがあるのですか?
とても、嫌な質問だと思いますが、ぜひ答えていただければ幸いです。
正直私は、親を含め、身の回りの人間に、「俺はこの本(本書)に書いてある通り読書を腐るほどして、入る会社がどうあれ庶民からぬけだす!」といっているのですが、「読書だけしたところで、成毛さんのようになるわけないだろ、この人はたまたまマイクロソフトの社長になれたからこういうこと言えるのであって、おまえが同じように読書をしたからといって庶民から抜けられるわけない。読書だけでコミュニケーション能力は磨かれないし、人生は読書だけでない、出会いこそ大切なんだ。成毛さんは儲けるためにこの本を書いていて、おまえもそのカモになっただけなんだ。ノウハウ本は読むなといっておきながら、この人だってノウハウ本を書いているじゃないか」と突き返されました。本当のことを教えてください。極端に読書をすれば庶民から抜けられるのでしょうか。
お忙しいと思いますが、ぜひお答えお願いいたします。

yossymay2yossymay2 2009/11/05 02:15 toru-ruさん、差し出がましいですが、成毛さんの答えを予想してみます。
>>仕事の商談ではスポーツの話やテレビの話なども話題に出てくる・・・
そういう話題中心の人との商談は、長期的には止めたほうがいいです。
>>結局マイクロソフトという大企業で出世の階段を上がっているように見え矛盾が生じ・・・
マイクロソフトがまだ小企業の頃に入社しました。当時はリスク以外の何ものでもありませんでした。
>>本書の中で知識と教養さえあれば将来1億でも2億でも稼げるのも夢ではない・・・
少なくとも知識と教養がなければ夢となるでしょう。
>>たまたまマイクロソフトの社長になれたから・・・
ビルがたまたま決めたのかもしれませんね。たまたま。
>>読書だけでコミュニケーション能力は磨かれないし、人生は読書だけでない、出会いこそ大 切なんだ・・・
もちろんです。そして読書はコミュニケーション、出会いの質を高めます。
>>成毛さんは儲けるためにこの本を書いていて・・・
多くの人に読んでもらうためです。
>>ノウハウ本は読むなといっておきながら・・・
何か1冊のビジネス書、ノウハウ本を読んで影響される人生は止めたほうがいいです。10冊同時に、即ち大量の本を読むことしかオリジナリティーを出す方法はないと思います。
んー成毛さんほど鮮やかに切り返せないなあ。お邪魔しました。

founderfounder 2009/11/05 07:44 toro-ruさん、

yossymayさんがポイントを押さえてくれたので、少し追加して書いてみます。

1.これは事実なのですが、社会人になってから現在まで、商談でプロ野球やバラエティー番組を話題にしたことはありません。そもそも野球の試合を最後まで見たことがないかもしれません。最近では少しゴルフが詳しくなったので、話題選びが楽になりました。

ともあれ、人によっては属している業界に配慮する必要があるかもしれません。コンピュータ業界は変わった趣味を持つ人や、趣味を徹底的に追及した人のほうが業界から人気がありました。人と付き合うことだけでビジネスが成立するような談合的な業界では、いわゆる無駄話が必要なのかもしれません。その意味では『10冊・・』では言いすぎかもしれませんね。

2.マイクロソフトに入社したときはマイクロソフトという会社を知りませんでした。じつは日本の株式会社アスキーに編集者希望で入社したのです。次の日からアスキーマイクロソフトというアスキーの子会社に出向させられました。社員8名だったと記憶しています。すぐにシアトルに出張させられました。このとき、マイクロソフトはまだアスキー本体より小さく、当然株式公開前で、MS-DOSの発売以前です。当時は株式上場で利益を得るという常識はありませんし、ストックオプションもありません。当時のマイクロソフに不安を感じてましたので、シティバンクなどを中途入社受験してましたが、そのたびに説得されていまにいたります。

3.大きくなったマイクロソフトの社員は全世界全員いわゆるホワイトカラーでした。この中でポジションを維持するためには、シアトル本社の多国籍経営チームの中で存在を認められる必要がありました。個別の国のお笑いやスポーツの話ではまったく役にたたないのです。結局は全世界の共通話題は科学や世界史、文学になってしまうのです。どうしても読書が必要でした。

4.ボクは仕事上で講演をしたときもありましたし、営業から社会人をスタートしましたが、本来はひどい人見知りです。いまでも朝起きて、家族といきなり顔を合わせることが難しいのです。また受身の授業で学習することも苦手です。そのため、独学といってもよいほど、本を読むことになりました。いまでも付き合っている人は、高校の同級生などじつはほんのひと握りです。つまり、コミュニケーション能力がない人が本で救われたということになります。

5.間違いなく「たまたま」マイクロソフトの社長になったのです。過去にさまざまな公式の場で言っていますが、成功の秘訣は「運が良かったのからです」。しかも「たまたま」マイクロソフトが驚異的に成長する時に社長だったのです。これもいろいろなところで言っているのですが「驚異的に成長する会社においては、会社にしがみついているだけで給料もポジションも上がります」。何しろ入社した時は100人程度だったマイクロソフトは3万人を超える企業になったのです。しかし、ビル・ゲーツと話をするときに、巨人戦と吉本のお笑いしか話題がないと「マイクロソフトにしがみつくこと」は不可能です。

6.「ノウハウ本を読むな」と書いたのは誤りだったかもしれません。本意は「自己啓発本を読むな」です。そして「本物の自己啓発をしたければ多様な本を読むべきだ」というべきでした。

7.読書家はそれだけですでに庶民ではありません。庶民とは他人と同じ日常を送っている人です。それはそれで幸せであれば良いのだと思いますが、ボクにはそれでは不満足です。平均的な人がみんなやっていそうなことの1つや2つをまったくやらず、平均的な人がやらないことを1つか2つやると、庶民ではなくなります。いわゆる変わった人になります。ボクの場合は野球やバラエティー、マンガ本を全く見ないかわりに、読書をし歌舞伎など伝統芸能に耽溺するということになります。こう説明するとそれほどの変人ではありません。伝統的な知識人というべきかもしれません。それでも、いわゆる庶民と伝統的な知識人を比較した場合、確率的には伝統的知識人の所得は平均を上回ると確信しています。

8.伝統的知識人でも運が悪ければ成功しません。運についてはこう信じるようにしています。「人それぞれに運の総量は生まれたときに決まっている。それを少しづつ使っていく」というモデルです。そのため、ボクは無駄に運を使うようなことをしません。パチンコや賭け事をしません。駅のホームで列の先頭に立ちません。

toro-rutoro-ru 2009/11/05 11:37 成毛さん、そしてyossymay2さん答えてくださってありがとうございます。
状況がどうあれ、とにかく読書をしてオリジナリティをつくっていきます。
それしか道はないと確信したと同時にに不安の種を刈り取ることができました。
お忙しいのに本当にありがとうございます!

tamaggtamagg 2009/11/06 04:43 上の方の質問と成毛さんの回答を読んで、読書の重要性を改めて認識しました。読書は成功者に必要とされる最低限のことであって、成功するか否かはあくまで運に依るところが大きいと。確かに読書家が必ず成功しているとは限りませんが、成功している人は必ず読書をしていることに成毛さんの著書を読んだ後、読書について意識するようになって気づきました。しかも、極めて極端な読書家が多いと思います。



ところで、読書のジャンルについて質問なのですが、成毛さんは哲学書などは読むのでしょうか?僕は小説は全く読みません。基本的に心情理解が苦手であることから、読まないというより読めません。しかし、哲学書はけっこう重要なんじゃないかと最近感じたりします。

ricarikaricarika 2009/11/11 14:09 初めてコメントさせて頂きます。いつもブログ参考にさせていただいております。
成毛さんは歌舞伎のコメントを多く載せていらっしゃいますが、その他能・狂言、文楽等の伝統芸能をご覧になることはありますか?

founderfounder 2009/11/13 03:57 ricarikaさん、回答が遅れました。やっとネットが繋がる環境に移動しました。じつは歌舞伎以外の商業芸能はまったく見ないのです。にもかかわらず、伝統芸能というカテゴリーを作っているのは、祇園町などの花街情報を書こうと思っていたからです。しかし、書こうとする度に「○○おかあさん」なんかに怒られるような気がしてやめてしまいます。

founderfounder 2009/11/13 04:09 tamaggさん、哲学書はいまではまったく読みません。大学時代はかっこをつけて哲学雑誌の「エピステーメ」を購読したり、サルトルを読みつくす個人プロジェクトなど試みましたが、ぜんぜんまったくなんにもわかりませんでした。哲学はその時代の科学を背景にしているということだけを納得したということ位でしょうか。現代の科学的な知見をもっていたら、サルトルの妻で哲学者のボーボワールが「第二の性」を書くとはとても思われません。

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