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成毛眞ブログ RSSフィード

2009-12-24

消費税引上げ+国民総申告+控除廃止は可能か

| 12:19

一般会計が92兆円まで引き上げられた。近い将来には消費税の引き上げが必至になるであろう。その場合の思考実験をしてみる。

(1)消費税が5%から10%に引き上げられたとする。

(2)まずは、たとえば年収330万円の人の所得税率を10%から0%に引き下げるべきだ。消費税は逆累進性があるので。低所得者の生活を考慮すると、これ以外に方法はないと思う。

(3)次にすべての控除をやめる。給与所得控除65万円と基礎控除38万円の停止だ。現在はその2つの控除の合計額である103万円がパート給与の境目だ。103万円以上になると税金を取られるからだ。

しかし、控除をやめ最低税率を0%にすると、現在の所得税率の境目である195万円までパート給与は跳ね上がることになる。所得税を払っているすべてに人にとってはこれだけでは増税になる。

(4)しかしさいごに、すべての就業者による電子申告による確定申告の義務化をしたうえで、経費を認めることにするのだ。営業マンのスーツ、大工さんの個人持ちの道具、公務員の個人交際費などあらゆる経費を含むことにする。この経費率を現在の控除率と同じにすると、全体としては減増税はない。しかし、業種・職種によっては個人の損得が発生するであろうから微調整は必要だ。

じつはこの4段目が重要なのだ。その理由は・・

1.源泉徴収から確定申告にすることで、税金を支払っているという実感を持つことになる。そのため、税金の使われ方に対して国民全体の監視が強くなる。

2.サラリーマンにも経費が認められるとなると、衣服や道具などに対する需要が増えるであろう。GDPの多くの部分を個人消費が占めているのだがら、使ったほうが得という制度が望ましい。単に補助金を個人に配るだけでは、デフレ下ではその多くが貯蓄にまわるのだ。

3.また、電子申告をするためにはITエンジニアやスクールなどが必要になり、ここにも需要が生まれる。もちろん、電子申告の経費は控除できるようにする。環境や介護などの新産業ももちろん重要だが、労働力の転換は短期間では難しい。それに比べてIT分野の需要喚起は労働力の調達が比較的に容易なため即効性があるのだ。電子申告は領収書の電子化なども促すことになるため、企業のIT投資も増えるだろう。

4.個人交際費を経費として認めるのだから、なにかと送別会などの義務的な付き合いの多い公務員も、怪しい資金を作る必要はなくなる。

5.また、個人消費に関係する政策の自由度が増すであろう。政府国内旅行を増やしたければ、今年は経費として国内視察費を5万円まで経費として認めるとすればよいだけだ。

6.問題があるとすれば、いわゆる製造業労働者などの制服組には、スーツなどの経費が発生しないにも関わらず、基礎控除給与所得控除がなくなるため、増税になることだ。これについては、(2)のように所得階層別の税率を、0%の可能性も含めて大幅に見直さなければならないであろう。

ともかく、このような大規模な税制の変更などは、大規模で長期的な思考実験をし続ける必要があると思う。選挙を目的に、思いつきでやられてはたまらない。


参考資料

国税庁によれば所得税確定申告者数は約700万人、源泉還付申告者は1千万人、その他を含めると2千万人が所得税の計算をして申告していることになる。

http://www.nta.go.jp/kohyo/katsudou/report/2003/japanese/tab/tab12.htm

いっぽう、統計局のデータによると労働力人口は6600万人あまりだから、3人に1人は申告しているのだ。国民総申告制に移行しても電子化による合理化も進むので不可能でなない。

http://www.stat.go.jp/data/nenkan/16.htmの16-2による

ところで年収300万以下の人の比率は全給与階級中26.9%だ。

http://www.nta.go.jp/kohyo/tokei/kokuzeicho/minkan2000/menu/05.htm#a-03

yamada090101yamada090101 2009/12/24 20:09 うーん
おっしゃりたいことはよくわかりますが、とても非現実的です。
数字をいくら並べても説得力がないですね。
さすが仕上がった人といった感じです。
政治家はブレーンがいるけど成毛さんには・・・
パソコンは全員が使っているわけではないので、全員電子申告・・・

電子申告の義務化は難しいですね。
現状の源泉還付申告者・・・
まともな申告をしていない方が8割以上だと思います。
領収書を用意している方が2割未満ということです。
用意したとしても配偶者のものですとか関係ないものを含めるでしょうね。
顧問の税理士さんにでも聞いてみたらいかがですか?
影響力のある素敵な方ですし、軽はずみな発言は慎んで頂ければと思い書きました。
他の発言もみな薄っぺらいものかと思ってしまいますので、がっかりしました。
しがない実務家より。

founderfounder 2009/12/24 23:26 yamada090101さん、書き方が悪かったかもしれません。電子申告以外に確定申告を受け付けないという制度です。したがって、電子申告が面倒であれば、申告しなくて良いわけです。新制度下では控除がないわけですから、申告なき場合還付はありません。(ちなみに、源泉徴収をやめるとはいっていないのです)現在、国は源泉で15兆円ほど徴収していますから、もし国民全員が電子も領収書あつめも面倒だから申告はやらないということになると、数兆円の税収増が見込めます。

現在の制度は電子申告をするインセンティブがあまりないのです。しかし、この思考実験ではとりわけ中位所得層に非常に大きいインセンティブが働くことになります。制度を変えるということを考えるのですから、現在の状況を敷衍しては思考実験が成立しません。

また、経費は家族分が混ざることは覚悟の制度となるでしょう。本分に書きましたように、全体として現在の控除額と均衡すればよいのです。実務上は現在も個人企業のほとんどは家族の自家用車の経費などを会社に付けまわしているのです。なかには家族で行った焼き肉屋の領収書を出している個人会社もあると思いますよ。サラリーマンの捕捉率は100%です。このこと自体が本当は不公平なのです。

ungo21ungo21 2009/12/25 23:26 そもそも、ほとんどの企業が採用している「源泉徴収」なんてナチスが軍事費を市民から調達する為につくりあげたシステムですからね。それが「先進国」日本で未だに残っているのは、いかがなものかと・・・。

founderfounder 2009/12/26 02:59 ungo21さん、おっしゃるとおりで、源泉徴収+申告不要(給与所得控除)の制度こそが問題だと思います。結果的に多くの給与所得者は、政治というか税金の使い道について自分の問題ではなくなってますよね。まずは申告必要の制度に移行、つぎに源泉徴収廃止だとボクも思います。ブログ本体では議論が複雑になるのでやめましたが、源泉徴収廃止については源泉徴収義務者が雇用主であるというシステムをやめ、あくまでも義務者は個人であり、現在と同額を給与口座からの自動引き落としにするだけでも効果があると思います。税務当局は徴税コストが上がることを問題とするでしょうが、この雇用環境では徴税関係雇用も増えて一石二鳥かもしれません。

founderfounder 2009/12/26 03:09 個別メールで質問をいただきました。給与所得者が確定申告した場合の経費について、携帯電話や自動車などの費用も計上するのではないかという指摘です。これこそが狙いです。営業マンであれば携帯電話使用料の30%、工場作業者であれば自動車費用の50%までを経費をして認めるなどとすることで、新しい需要が生まれるからです。ほかにも配偶者との食事ですらたとえば年に上限1万円まで慰労費として認めても良いぐらいかもしれません。冷え込んだサービス業に6000億程度のマネーが追加的にまわります。デフレ下ではお金の価値はどんどん高まります。しかもデフレは人口動態を反映した構造的なものです。ある程度のお金を使ったほうが得だという制度に切り替えないとまずいと思うのです。

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