『文藝春秋 2月特別号』 ゴルフ欄掲載
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いかなる県庁にも遊びにいくような趣味はないのだが、とりあえず知事室にあがりこむと、人払いをしたうえに小声で、つぎの知事選に立候補しないことにしたと言う。真剣な顔で、まだ誰にも漏らすなと念を押す。国政に戻るつもりなのかと、一瞬身を引き締めた。資金の相談でもされたらどうしようと思ったのだ。
ところが会話はあらぬ方向に進んでいく。じつは自分はゴルフ好きなのだと切りだしてきた。国会議員に当選してからいままでゴルフは我慢してきたのだともいう。公職を辞したあとは存分にゴルフをしたいのだが、東京に移住するため相手がいない。
そこで君にゴルフ会の事務局をやってほしいというのである。マイクロソフトを辞めてどうせ暇を持て余しているだろうというのだ。
話はそれだけかと確かめると、それだけだという。あとはもう大笑いするしかない。それではと引き受けたのがゴルフコンペ「国際孔球会」だ。
孔球とはゴルフのことだ。当初は「日本孔球会」としたのだが、それではゴルフ会員権の会社と間違われる可能性がある。そこで国際と大きく出てみた。しかし、いまだかつて外国で開催したことはないし、外国人も参加したことはない。
最初は二人の共通の友人に声をかけた。現在登録されている50人ほどのメンバーにはジャーナリストや学者が多いのはそのためだ。ジャーナリストでは大宅映子さんや蟹瀬誠一さんなどが常連である。
ちなみに大宅さんはドラコン女王である。メンバーには桜美林大学の諸星裕さんなどシングルプレーヤーもいるのだが、レディースティーからとはいえ、驚くほどの大飛球をぶっ飛ばす大宅さんにはかなわない。
慶応大学の曽根泰教さんや東京大学の横山禎徳さんも常連である。二人ともゴルフが終わってからの話があまりにも面白く、追い出されるまで食堂にいることになる。コンペのホームコースである桜ケ丘カントリー倶楽部には嫌われているはずだ。
当初、このコンペでは最年少だった。運営の手伝いが欲しいので、2003年度JC会頭の揚原安麿さんに声をかけた。揚原さんは福井県在住だ。じつは年一回、このコンペは冬の福井で開催される。寒いのでラウンドはしない。この時期、越前蟹はゴルフに勝るのだ。